空に星が輝く様に
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247部分:第十八話 運動会その五
第十八話 運動会その五
「もうね。全部ね」
「おい、言ったな」
「今の言葉聞いたぞ」
「忘れないからな」
男子達が今の言葉に一斉に突っ込む。四組は男子と星華達を中心にした女子の主力とでだ。完全に分裂してしまっていた。
そしてだ。星華はそのギスギスした雰囲気の中で競技に出るのだった。彼女の次の競技は。
「ハードルね」
「四百メートルよ」
「いけるわよね」
「楽勝よ」
毅然として三人に述べた。
「ハードルは向かいから得意だったしね」
「じゃあ今度も一等ね」
「そうよね」
「ええ、そうよ」
その通りだというのであった。
「全部の競技で一等になってやるわよ」
「じゃあね。今度も頑張って」
「御願いね」
「さて、じゃあ」
その場で足を伸ばしはじめる。準備体操である。
「また言ってくるわ」
「女子は星華ちゃんが主力だしね」
「そうよね」
「だからね」
「健闘を祈るわね」
「任せてよね」
星華はあくまで強気だ。言葉にそれが何よりも出ていた。
「それじゃあ。やってやるから」
「まあ精々頑張れよ」
「そこまで優勝言うんならな」
男子の声は冷ややかなものになっていた。そうした不協和音は四組の中に満ちていた。月美もこのことは気になっていて昼食の時に言うのだった。
「ちょっと。今は」
「そうなのね」
「うん・・・・・・」
こう椎名に言う。いつもの顔触れと食べていた。場所はやはり校庭の芝生のところだ。木陰に入ってそこで六人で食べているのである。
「どうしようかしら」
「どうしようもない」
椎名が言った。
「とりあえずつきぴーは」
「私は?」
「今は難を逃れるべき」
こう月美に言うのである。
「そうするべき」
「難って?」
「その流れじゃつきぴーにもとばっちりが来てもおかしくないから」
「来るのかしら」
「八つ当たりがある」
椎名が今考慮に入れているのは人間の負の行動であった。
「そんなの受けることないから」
「だからなの」
「お昼はここにいて」
また月美に対して述べたのだった。
「それで」
「それで?」
「競技の間はクラスの端にいて」
「端になの」
「出来るだけ目立たないようにする。競技はもう出たの?」
「ええ」
椎名の問いにこくりと頷いて答えた。
「一応は。借り物競争に」
「ならいい。もう大人しくしていること」
「大人しくね」
「具体的に言えばいつも通りしていればいい」
しかしであった。今椎名が言うのはその場所であった。同じことをしていても場所が違えばそれで何もかもが全く違うからである。
「端っこで」
「それは絶対なのね」
「とにかく目立たないようにすること」
これが第一だというのである。
「そして何も言わないこと」
「静かにもして」
「男子と女子が争っていても関わらない」
「クラス委員なのに?」
「どうやらつきぴーのことは今はどうでもいいから」
月美の話を聞いてである。そこまで見抜いたのである。
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