ガンダム00 SS
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ep22 cooperate mission
前書き
今回は2代目ロックオンのライル・ディランディのストーリーを書きました。
時間軸としては、2ndのブレイクピラー事件後です。
西暦2312年
ソレスタルビーイングの艦船ーープトレマイオス2の第1、第2デッキのハッチが開く。機体の初期加速に必要ならロングレーンが前方に展開し、射出準備が整った。そのデッキの奥には、ガンダムが出撃体勢を取っている。
その機体ーーケルディムガンダムサーガのパイロットであるロックオン・ストラトスは管制室のオペレーターに向かって声を発する。
「ケルディムサーガ、ロックオン・ストラトス。出撃するぜ!」
レバーを左に捻ると、機体の両足に固定されたカタパルトが急加速し、機体が宙域に放たれる。ロックオンは初期加速の勢いを殺さぬまま、GN粒子を散布して機体を目的地に向けて加速させる。
数十秒後、もう1つのデッキから重武装のガンダムが出撃した。ティエリア・アーデのセラヴィーガンダムだ。
セラヴィーの射出が終わった途端、母艦のプトレマイオス2、通称『トレミー』が大きく旋回して巨大アステロイド群の中へと進行していく。
ロックオンとティエリアは、初期加速で宙域に飛び出した時点で連邦軍が展開するエリアに入ったのだ。トレミーは気づかれるわけにはいかず、一目散に逃げなければならなかった。
ティエリアから通信が入り、ロックオンは回線を開く。ティエリアが間を置かずに言葉を発した。
『ここはすでに連邦の監視宙域。我々に与えられた作戦時間は150秒だ。すぐに基地を叩く』
「了解。ここ最近で1番リスキーなんじゃないの?」
『そのための強襲装備だ。当てにしている』
「ハハッ、その期待に応えるさ」
彼らに与えられたミッションは、連邦正規軍の中継基地を叩く内容だ。
ブレイクピラー事件以降、アロウズの攻撃は熾烈を極めている。まさにソレスタルビーイングの居場所を突き止めているかのような正確さで、奇襲攻撃を仕掛けてくるのだ。
結果として、彼らの疲弊具合は戦闘を重ねるごとに増している。ガンダムの補給をしようにも、敵がきてしまっては対応も難しい。
そこで、戦術予報士のスメラギは敵基地を潰し、前線で戦うアロウズ艦隊の補給を断つ策を立てた。
任務を与えられたのは、ロックオンとティエリア。ロックオンのケルディムサーガが基地内部に侵入し、機雷でそれを破壊する。その間にセラヴィーはサーガの破壊工作のための時間稼ぎをする。破壊を確認後、トランザムで宙域を離脱。これらを150秒でこなす電撃作戦が、スメラギから提示されたミッションだ。
ケルディムサーガのメインモニターが、連邦正規軍が所有するアステロイド型中継基地を捕捉する。同時に、駐留していた輸送艦2隻からMSが飛び出してきた。太陽炉を積んでいない旧式MSが多いが、中にはジンクス部隊も混ざっている。
音声通信でティエリアが指示を出した。
『ここは引き受ける。ロックオンは基地の破壊を』
「そっちは頼んだ。すぐに終わらせる!」
ロックオンはレバーを前に押し、機体を加速させる。アステロイドに設置されたビーム砲の攻撃を避け、GNビームピストルで潰した。ビームの出力や狙い、破損位置などは計算通りだ。
「狙撃は兄さんほど上手くないが、近距離なら俺にも分があるんだよ」
『テキMSフジョウ!テキMSフジョウ!』
「ティエリア!」
その途端、ケルディムサーガの足元で大きな爆発が起きた。ビームに熱せられなかったジンクスⅢの腕がこちらに飛んでくるのを、ケルディムサーガが紙一重で躱す。セラヴィーの砲撃で、ジンクスⅢは一瞬で大破していた。
「このまま基地内部に入る」
ロックオンはケルディムサーガを基地内に進行させる。いくつものゲートが眼前にあったが、GNビームピストルで風穴を開けて先へ進んだ。
アステロイド型の基地は、外観以上に広く資材が豊富だった。補修中のMSのコクピットに入るパイロットを見て、ロックオンは呆れた調子で呟く。
「今さら遅いって。早く撤退しろよ……」
ケルディムサーガの腰部にあるGNミサイルコンテナの一部が開き、機雷を基地内に散布させる。
それを見た連邦軍兵士がようやく逃げ出そうと散らばった。
「機雷散布完了。基地を出る」
ロックオンはそう宣言して、勢いよく基地から抜け出した。それと同時に、基地の外壁があちらこちらで爆発を始める。その爆発は1つの大きなものに収束し、基地は完全に破壊された。
ここまでにかかった時間は60秒。作戦時間は残り90秒だ。あとはトランザムで戦闘宙域を離れるだけだ。
だが、ロックオンは外の戦闘が思った以上に滞っていることに気づく。
セラヴィーが3機のジンクスと戦っている。他の敵MSは倒されたらしく、残骸が真空をぷかんと泳いでいた。
作戦時間、残り70秒。ロックオンはケルディムサーガを急発進させ、戦闘に突っ込んだ。
敵ジンクスは、それぞれ違う武装をしていた。1機は大型のソードを、1機は大型のキャノンを2つ装備している。最後の1機は標準装備だ。
ソードを持つジンクスがケルディムサーガに気づき、大振りの剣を横薙ぎにしてくる。ロックオンはそれをギリギリのところで躱し、右手のGNビームピストルの照準を敵の頭に合わせた。
トリガーを引き、ジンクスの頭を潰す。同時に左手のGNアサルトカービンで敵の足や腕に実弾を叩き込んだ。
残り50秒。
ケルディムサーガのコクピットにけたたましい警報が鳴り始める。左側にいる敵がこちらに向かってキャノンを構えているのだ。
「ッ!」
機体の左腕をキャノン持ちに向ける前にやられる。だが、その前に敵のキャノンがビーム攻撃によって蒸発した。同時に両腕も暴発に巻き込まれる。
ビームの根源を見ると、ティエリアのセラヴィーがGNバズーカⅡを構えていた。
ティエリアの張り詰めた声が聞こえる。
『スモッグを使用後、トランザムで脱出する!』
「オーライ!」
ケルディムサーガのミサイルコンテナが開き、スモッグ用の小型弾が発射される。周囲が一瞬で曇り、センサー類が役目を成さなくなった。
ケルディムサーガとセラヴィーが高濃度GN粒子全面開放システムーートランザムを発動する。その途端、機体が赤く染まった。
ロックオンはティエリアに続き、曇った前線を離脱した。
赤い光点と化したガンダムはスモッグの中でも目立っていたが、スペックが通常よりも格段に上がったため、残された敵は追跡できなかった。
戦域を抜けた2機のガンダムは、トランザムが終了し通常の能力に戻っている。
ロックオンがティエリアに音声通信で話しかける。
「まさか正規軍にあんな曲者がいたとはな。それとも戦闘続きで疲れたか?」
『そういうきみは、相変わらず大雑把な射撃が花になるな』
「それ褒めてる?」
『さあ、どうだろう』
「ククッ……。あんたも意外と面白いよな。刹那には負けるが」
ロックオンの台詞に、ティエリアは機体の向こうで苦笑混じりに呟いた。
『あれには敵わないさ』
2機のガンダムは、トレミーの収容コースに入る。この後、ケルディムの装備をパージし、各機のメンテナンスをしなければならない。
補給基地を潰したのは気休めに過ぎない。今回のミッションは戦いの一部分であり、大きな一歩にはなりえないのだ。
それでもソレスタルビーイングの恒久和平に向けた戦いは続いていく。連邦政府を裏から操るイノベイターたちの策略を駆逐するために。
終
後書き
2ndではソレスタルビーイング(CB)のサポート組織・フェレシュテがCBに合流して別働隊扱いになっているので、影のサポートがありません。そこで、特殊装備のケルディムを使った強襲作戦はありえたのではないかと思い、執筆しました。
ここまで00のメインキャラ狙い撃ちですね(上手いこと言ったつもり)。
次回も7月20日です。よろしくお願いします。
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