空に星が輝く様に
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233部分:第十七話 姿の見えない嫉妬その六
第十七話 姿の見えない嫉妬その六
「あいつはないわよ」
「ないの?」
「そうかしら」
「あいつ確かに男たぶらかすけれど」
誤解のまま話す。
「斉宮と一緒にいるなんて考えられる?」
「けれど。剣道部と居合部って道場同じだけれど」
「ねえ」
橋口と野上はこのことを出してきた。
「だからそれも」
「あるんじゃ?」
「ああ、それはないわよ」
だが、だった。州脇がそれを否定した。
「星華ちゃんもそう思うわよね」
「それはね」
星華もだった。州脇の言葉に頷いた。そしてその理由も話した。
「斉宮はあんなのに引っ掛かる奴じゃないし」
「ほらね、それでなのよ」
州脇は今の星華の言葉に我が意を得た顔で返した。
「普通に考えてよ。ああした女に引っ掛かるのって」
「色ボケとか?」
「馬鹿とか?」
橋口も野上もそんな言葉を出した。
「そういう奴しかいないわよね」
「騙されるのは」
「斉宮ってそういうことには疎いのよ」
星華は話しながら困った顔になっていた。
「鈍感だし」
「そんな相手が西堀みたいなのと一緒になったりしないわよ」
これが州脇の持論だった。
「絶対にね」
「そういえばそうね」
「言われてみれば」
野上と橋口も州脇の言葉に頷いた。
「じゃああいつはないわね」
「それは」
「まあ男の誰かは今でもたぶらかしてるわよ」
州脇は腕を組んで月美を見据えて言った。
「それはそれで許せないけれどね」
「そうよね、本当に嫌な奴」
「何時か思い知らせてやるから」
野上と橋口も州脇に続く。
「ああいう奴許せないからね」
「とてもね」
「それでだけれど」
今言ったのは星華だった。
「誰なのかしら」
「誰なのかなのね」
「その斉宮と一緒にいたのが」
「それよね」
話が戻った。そのうえでまた話されるのだった。
しかし結局この時は何もわからなかった。陽太郎と月美にとっていいことは二人への疑惑が真実だったがそれが否定された。彼等の知らない幸運だった。
そんなことを話している間にも運動会は近付いていた。そこでだ。
椎名がだ。赤瀬と共にホームルームの時に教壇のところに立ってだ。こうクラスメイト達に対して言うのだった。
「優勝よ」
「いきなりそれか」
「優勝なのね」
「そう、優勝するから」
こう皆に告げる。
「この運動会、貰ったわ」
「またえらく自信あるんだな」
狭山がその彼女に対して自分の席から突っ込みを入れた。
「やっぱりあれか?その出場の割り当てでか」
「この通りで勝てる」
断言する椎名だった。
「優勝確実」
「アクシデントとかあったらどうするの?」
今度は津島が椎名に問うた。
「その場合は」
「その場合でもいける」
「それでもなの」
「そう、いける」
津島にも断言で返したのだった。
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