FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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未来の君の言葉の真実は
前書き
ドカベンの最終回・・・仕事で帰るのが遅れたせいでチャンピオン全巻売り切れで読めずorz
・・・転職しよっかな?
「ウェンディ・・・」
共に多くの時間を過ごしてきた大切な家族。その少女から放たれる魔力にエルザは汗が止まらない。
「新しい体・・・私の体・・・」
「そんな・・・」
これまでの戦いにより傷付いたウェンディの体の感触を確かめるアイリーン。その間に、これまでの彼女の体は地面へと崩れ落ちた。
「ウェンディはどこだっ!?」
「もういないわ、どこにも。強いて言うなら私」
「ふざけるな!!ウェンディから出ていけ!!」
ウェンディを取り戻すために戦いへと挑むエルザ。しかし、それ以上にアイリーンは強い。
突っ込んできたエルザの腹部へと強烈な蹴りを放ち吹き飛ばすと、自らの魔法である高位付加魔術を使用しエルザの足元を爆発させる。
「ふむ、魔力も思ってたよりは下がってない。もともとこの娘にそれだけの力があったということか」
傷だらけで地面にひれ伏すエルザ。アイリーンは優位に立っている今の状況を最大限に生かし、エルザに次々と攻撃をぶつけていく。
「ウェンディ!!奴を追い出せ!!」
「無駄よ!!もうこの子の自我は死んだ!!今日から私がウェンディ!!ウェンディ・ベルセリオンよ!!」
彼女の体を取り戻すために果敢に挑んでいくエルザだったが、彼女はウェンディの体に傷をつけることに躊躇してしまう。それだけ彼女との思い出が多く、愛情が深いのだ。
「鎧に付加。爆破!!」
バニーガールのようなエルザの鎧を爆発させる。それにより彼女は大きなダメージを・・・
「!!ダメージが低い?」
「!?」
受けることなく立ち上がることができた。
「全属性耐性上昇神の王冠」
「!!」
聞き覚えのある声に驚愕するアイリーン。激しくぶつかり合っていた二人が見つめる先にいたのは・・・
「同じ付加術士なら・・・もしかしたら私にもできるかもって思ったんです。
ちょっと時間がかかりましたけど・・・私です・・・“ウェンディ”です、エルザさん」
「ウェンディ!?」
「バカな!?ありえない!!こんな小娘に全人格付加など・・・」
自身と同じことをやってのけたウェンディを見て動揺するアイリーン。そんな彼女に、今度は彼女が襲い掛かる。
「“あなた”の魔力、すごいです。“私”の体なんかに入ったのが間違いですね」
入れ替わっているのは人格だけ。つまり、本来その体が持てる魔力はそのまま残されているということ。
「エルザさん!!伏せてください!!」
アイリーンの体を使いこなし攻撃を仕掛けるウェンディ。ほれに対しアイリーンは小さな体を使って受け止めるのがやっとだった。
「分離付加」
押されているアイリーン。攻撃を受け止めるとこに意識を集中させている彼女に、ウェンディの分離付加を防ぐ手だてはなかった。
「体から“私”を引き剥がすつもりか!?」
「ええ・・・こっちの方が魔力は上ですから」
「こいつ・・・何者・・・」
タフさを兼ね備えているウェンディの予想外の実力に動揺せざるを得ない。ウェンディはさらに魔力を高めていく。
「私の体、返してもらいますよ!!大きいお胸には憧れますけど、私はその小さな体で生きてきたんです!!」
「おのれぇぇぇ!!」
引き剥がされるのは時間の問題。そう感じ取ったアイリーンは現在の自身の体に傷をつけ始めた。
「何を・・・!!」
「これでもこの体に戻れるかぁ!?やっと手に入れた体!!渡さん!!絶対に渡さん!!」
これまでの苦しみから解放されるために、ピッタリの体を手に入れたアイリーンは何としてでもそれを守り抜きたい。そのためなら、多少の傷も厭わないのだ。
「身体中の傷は私が生きてきた証!!妖精の尻尾で戦ってきた勲章ですから!!
傷なんていくつ増えても構わない!!その体には大切な人たちと触れあった記憶が残っているんです」
小さな頃から友に生きてきたシリル、大事なときに力になってきたナツ、如何なる場面でも彼女を救ってくれたエルザ、他にもたくさんの人々との記憶がその体には残されている。その証を守るために、彼女は全身全霊でアイリーンを引き剥がし、自らの肉体を取り返した。
「エルザさん・・・」
「ウェンディ!!戻ったのか!?」
「はい・・・後は任せても・・・いいですか・・・」
魔力も肉体も限界を迎えた彼女はその場に崩れ落ちる。彼女の強さから感情が昂ったエルザは、さらしに紅桜を用いた。
「あぁ、決着は私がつける」
「小娘どもが」
血で血を洗う親子の争い。それは最終局面を迎えようとしていた。
「こいつだ」
お団子頭のシェリアやソフィアと同い年くらいの少女と相対したシリルは、そう呟いた。それを聞いたセシリーはキョトンとしている。
「え~?こいつがティオスが会わせたくなかった人~?」
ティオスが全力でシリルを止めにかかってまで接触させたくなかった人物。それは彼女だと、シリルは感じ取った。
「あら、ティオスにあったの?よく生き残れたわね」
二人の会話が聞こえていたヨザイネは冷静にそう言ったかと思ったら、突然クスクスと笑い始めた。
「いや、でもそうね。あなたはティオスに殺される心配はないわよね」
「はぁ?」
彼女の言葉に首を傾げる。しかし、それと同時に彼のある言葉にも納得できた。
『・・・それはまだ知らなくていい。いずれわかることだから』
強敵であるはずの彼を相手にしなければならない状況で、なぜかその先があるような発言。ティオスはシリルを殺すことなど毛頭考えていなかった。しかし、その理由はなぜかは誰にもわからない。
「なんで俺はあいつに殺されないんだ?」
何かを知っているであろう目の前の少女に問いかける。すると、彼女は笑うのをやめ、真面目な顔でとんでもないことを発した。
「あなたがティオスの肉体だからよ、小さなドラゴンさん」
「へ?」
意味不明な彼女の発言に間抜けな声が出てしまったシリル。ヨザイネはその表情を見て、ニヤニヤしている。
「意味わかんないよ~!!ティオスの肉体~!?そんなわけないじゃん!!」
そう叫んだのは猫の姿から人の姿へと変化したセシリー。エクシードでありながら人として戦うこともできる彼女にヨザイネは目を見開いた。
「いいえ、これは紛れもない事実よ」
「そんなわけないよ~!!だって・・・」
ガシッとシリルを抱き締めるセシリー。彼女は少年の頭に手を乗せる。
「シリルはこれ以上大きくならないもん!!」
「おめぇぶっ殺されてぇのか!!」
思わず身内である彼女にパンチを繰り出す。それだけ彼に取ってその言葉は屈辱で、気にしていることだったのだ。
「ふふっ、そうね。その子はそれ以上大きくならないわね」
「お前もぶちのめすぞ!!」
セシリーの発言に震えているヨザイネに激怒するシリル。セシリーはそれを懸命に押さえつけている。
「だってあなたはこれからティオスになる運命なんですもの。もうその体での成長は望めないのよ」
「ふざけんな!!俺はティオスになんかならねぇ!!」
見た感じ悪党の成れの果てのようなティオスに自身がなることなど想像できるはずがない。しかし、ヨザイネは先程の発言とは異なることを言ってきた。
「そうね。あなたはティオスにはなれないわね」
「え~?」
「お前、さっきと言ってくること変わってるぞ?」
意味がわからず困惑しているシリルとセシリー。それに対し、ヨザイネは何と説明すればいいのかわからずにいる。
「なんて言えばいいのかしら、難しいわね」
しばしの沈黙。すると、考えが纏まらなかったヨザイネはタメ息をつき、背中から真っ白な翼を生やした。
「いいわ、別に。どうせあなたは私に負ける。それが運命なのだから」
まるで地上に降り立った天使のような神々しさを見せるヨザイネに一瞬ビクッとしてしまった。しかし、シリルはそれに臆することなくドラゴンフォースを解放する。
「俺はお前なんかに負けない。必ず勝ってみせる」
真剣な表情その物のシリル。厳しい顔つきで睨み合う両者・・・すると、セシリーがあることに気が付いた。
「あれ~?なんか・・・」
首を傾げ二人を何度も見つめる。彼女は自らが抱えている違和感が何なのか、イマイチわかっていなかった。
「ローグ、起きてぇ」
「うぅ・・・」
地べたに倒れていたローグが目を開くと、そこには彼の世界で最も大切な存在が涙目で立っていた。
「フロッシュ・・・無事だったんだな」
ポロポロと滴をこぼしている相棒の頬にそっと手をやる。いつもならそれで笑顔になるはずの彼女だったが、この時はその表情が直ることはなかった。
「スティングくん・・・」
「!!」
フロッシュに照準が合っていたローグの視線。その片隅に映ったのは、もう動くことのない大切な友の死に涙を流している茶色の猫。
「レクター・・・すまん・・・」
起こすことができない体。ローグはそのままの体勢でレクターに謝ったが、彼からの反応は得られなかった。
「フロッシュ・・・キセキは?」
「グラシアンのそばにいてあげるって・・・」
自らの命を賭けて戦ったドラゴンの亡き骸に付き添っているという相棒。ローグはそれを聞いて涙が堪えきれなかった。
「クソッ・・・俺にもっと力があれば・・・」
友をその手で殺してまで力を得ていながら、勝利は愚か大きなダメージすら与えることができなかった。それは彼に取って屈辱であり、絶望と言っても過言ではない。
「ローグ・・・」
「大丈夫だ、フロッシュ」
一頻り泣いた後、ローグは立ち上がった。
「必ず俺がこの戦いを終わらせる」
頼もしいはずのその言葉。しかし、フロッシュは彼の顔を見て恐怖していた。
いつもの優しげな表情が浮かぶはずがないことは重々承知していた。しかし、ローグのこの時の顔に見覚えがあった。
「ローグ・・・」
声をかけようとしたフロッシュだったが、ローグがそれを制した。彼の鋭い目付きで何かが近付いていることを察したフロッシュもそちらを見る。
「あんたは・・・」
近付いてくる人影。それを見たローグは安堵の呼吸を漏らした。
「グレイ、無事だったのか」
歩いてきたのは妖精の尻尾のグレイ・フルバスター。頼れる男の登場に安堵したローグは彼に近づいていこうとした。
「ダメ!!ローグ!!」
その時、ローグの前に突然割って入ったフロッシュ。彼女の表情を見てローグは足を止めざるを得なかった。
「どうしたんだ?フロッシュ」
「あの人・・・いつものグレイじゃない」
彼女が何を言いたいのかわからずキョトンとするローグ。彼はこれまで敵と多く遭遇してきた中で、仲間に出会えたことで心に油断が生まれていた。だからなのか、目の前の青年の異変に気付くことができなかった。
「おいおい、グレイはグレイだろ?おかしなことを―――」
ブシャッ
怯えているフロッシュの頭を撫でていた彼の目に突然映る飛び散る血液。それは、彼の目の前にいるカエルの着ぐるみに身を包んだエクシードから出ていた。
「「フロッシュ!!」」
あまりの出来事にローグとレクターの声が重なった。目を開いたまま倒れて動かなくなってしまった相棒。その体に突き刺さっていたのは、氷の塊。
「そんな・・・なんでですか?グレイくん・・・」
フロッシュを仕留めたのは目の前にいたグレイ。なぜ彼がそんなことをしたのかわからずレクターは号泣し、ローグは絶望の中で涙を溢した。
(何が・・・なんでフロッシュが・・・)
この時の彼の心は壊れかけていた。その中で起きた仲間と思っていた人物からの裏切り。それにより、押さえ付けられていたあるものが蘇る。
『だから言っただろ?あの時ガジルを殺せと』
「だ・・・誰だ?」
辺りを見渡すがどこにも声の主らしき人物はいない。しかし、これに似た状況があった。彼はその時と同じところに視線を映す。
『あの時ガジルを殺しておけばこんなことにはならなかった』
「お前は・・・」
声の主は、自らの影。本来あるはずのない影の目が、自身に語りかける。
『ガジルを殺せばお前と俺は一つになれた。そうすればこの世界の王になることができたんだ』
「俺は・・・王になど・・・」
この影が自分の弱い部分を映し出していることくらい彼もわかっていた。しかし、今の精神状態でそれを聞き流すことなどできるはずがない。
『お前はガジルを・・・いや、この世界の民を全て殺す存在』
「俺が・・・」
悪魔の囁きに耳を貸してしまったローグ。彼を止めることができる者は、もういない。
『俺と一つになれ、そして、奴を殺せ』
「・・・ああ」
影がローグの体へとまとわりついていく。それは次第に彼の意志と合致していった。
『俺に伝えろ。1年後、フロッシュを守れと。グレイに、フロッシュは殺される』
1年前の大魔闘演武の直後、この時代に現れた未来のローグがナツに残したその言葉。それは、黒魔術教団にいた彼がフロッシュを殺すことを示唆していたのではない。
ヨザイネに心の隙を突かれて敵味方の区別ができなくなった彼に殺されるということ。
そしてその瞬間、ローグの暗黒面が覚醒する。
「ローグ・・・くん?」
立ち上がったローグから放たれるプレッシャーは異様だった。その場にいたレクターは身体中から汗が流れ出るのを感じている。
「感謝するぞ、グレイ。これで俺は最強になった」
自らの影と一つになったローグ。それに対するは、悪魔に心を奪われた妖精。
「ローグも覚醒したか。順調だな」
地面に頭が埋まっているロメオに足を乗せているティオス。彼の周りにいる妖精の尻尾の魔導士たちは全員白目を向き、呼吸が止まっていた。
「本当はヨザイネにシリルを任せたくはなかったが、多少のリスクは背負ってやろう」
そう言うとティオスは瞬間移動を使うわけではなく、どこかに向かって歩き始める。
「あと厄介なのはあの二人・・・いや・・・」
頭をかきながら先へと急ぐティオス。彼のその目は水色へと変色していた。
「もう一人、厄介になりそうなのがいるか」
後書き
いかがだったでしょうか。
徐々にティオスの秘密や他のキーポイントも明らかになってくると思います。
それからまさかのグレイvsローグです。果たしてこの二人はどうなってしまうのでしょうか!?
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