恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第七十一話 劉備、何進を匿うのことその十
「残念なことに」
「ここでそう言うのかよ」
「御主が自分で言っておるではないか」
「それはそうだけれどな」
「しかし。馬鹿なら馬鹿でよい」
何進は丈が馬鹿であることを認めた。それでいいというのだ。
「それもまた個性じゃ」
「そう言ってくれるんだな」
「わらわも大した頭ではないしのう」
笑ってだ。こんなことも言うのであった。
「実際のう」
「そうか?少なくとも俺よりはな」
「御主は自分で言うか」
「馬鹿は馬鹿って認めるさ」
そのことについてやぶさかではないというのだ。
「事実だしな」
「左様か」
「ああ、それでな」
ここで話が変わった。
「何かこのままやばいことになりそうだな」
「そうじゃな。洛陽があれではな」
「戦乱か?ひょっとして」
「その可能性は高い」
強張った顔になってだ。何進は丈に述べた。
「否定できぬ」
「そうか。ひょっとして俺達はそれでここに来たのかも知れないな」
「この世界にか」
「実際何でここに来てるかずっとわからなかったんだよ」
こう何進に述べるのである。
「けれどな。その戦乱で何かする為だってんならな」
「戦うというのじゃな」
「ああ、そうさせてもらうからな」
笑顔で話すのであった。
「それでいいな」
「存分にな。それではじゃ」
「今から身体鍛えてくるからな」
それをするというのである。
「それじゃあまたな」
「ではわらわはじゃ」
「あんたはまた料理か」
「仕込みじゃ」
それをするというのである。
「今からそれをする」
「何か生き生きとしてるな」
「そうか?別にそうは思わぬが」
「いや、何か違うな」
「少なくとも料理は好きじゃ」
微笑んで東に述べるのである。
「仕込みも含めてのう」
「それでか。それでな」
「うむ。それで何じゃ」
「今度は一体何を作るんだ?」
問うのはそのことだった。次は何を作るかである。
「また肉料理か?」
「そうじゃ、肉じゃ」
まさにだ。その肉料理だというのである。
「肉まんを作る」
「ああ、ケンスウのリクエストなんだな」
「ただ。少し思うのじゃが」
「何だよ、思うって」
「肉まんではなくピザまんとやらにしようかのう」
首を捻りながらだ。こう言うのだった。
「アンディとやらに聞いたピザを作ってそれを中に入れてじゃ」
「ああ、ピザまんか?」
「あれも美味そうじゃしの。どうじゃそれは」
「作ってもいいけれどケンスウには駄目だからな」
丈は真剣な面持ちで何進に話した。
「それはな」
「駄目なのか。何故じゃ?」
「あいつピザまん大嫌いなんだよ」
「そうじゃったのか。ピザまんは嫌いなのか」
「だから止めた方がいいな」
「わかった。では肉まんにしておこう」
話を聞いてあらためて言う何進だった。
「それではな」
「そうしてくれ。それでな」
「うむ。それでじゃな」
「俺はこれで鍛錬に入るからな。また楽しみにしてるぜ」
「うむ、そうするがいい」
笑顔で別れる二人だった。かくしてだ。
何進は劉備に匿われることになった。まずは無事終わったのだった。
第七十一話 完
2011・3・21
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