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転生とらぶる

作者:青竹
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機動戦士ガンダム
  2087話

 エデン。裏通りにある酒場だが、この酒場はジオンではそれなりに有名らしい。
 まぁ、シャアとセイラの母親のアストライアが歌姫として働いていた店で、ジオン・ズム・ダイクンと出会ったのもここらしいから、有名になるのも当然か。
 そんな酒場ではあったが……表通りではうるさいくらいにジオンの勝利を祝っている者がいるのとは裏腹に、この酒場は驚く程に静かだ。
 ただ、用心棒か何かなのだろう。店の前にはジオン軍の軍服を着た1人の男がいて、こっちを見ていた。
 何故ランバ・ラルのいる酒場に、ジオン軍の軍人が? という疑問は抱いたが、今はその辺りを気にする必要はないか。ランバ・ラルに会えば、その辺りもはっきりとするだろうし。
 最初はただ用心棒の男も俺を見ているだけだったが、やがて俺が店に近づいていくのを見ると、やがて口を開く。

「帰りな。ここは坊主みたいな子供が来る場所じゃねえよ。それとも迷子か? なら、表通りまで送ってってやってもいいが」

 へぇ。顔立ちも厳ついし、てっきり高圧的に出てくるのかと思ったが……
 俺を子供扱いしているという事は、少なくても子供に対して乱暴な態度を取るような真似をするつもりはないのか。
 突っかかってくるようなら、こっちも相応の対応をするつもりだったんだが……さて、どうするか。
 少し考え、取りあえずこのまま黙っていても意味はないので、大人しく口を開く。

「ランバ・ラルに会いに来た」
「……ラル大尉に?」

 ジオン軍の軍人は、訝しそうに俺を見るが、それも無理はない。
 そもそもの話、今の俺は10代半ばくらいの年齢にしか見えない。
 そんな俺が青い巨星の異名を持つランバ・ラルに用事があるのかと言われれば、それを不思議に思うなという方が無理だろう。
 うーん……いっそ影のゲートを使って、そのまま転移した方が良かったか?

「ああ。悪いが、入らせて貰うぞ」
「……あー、ったく。ちょっと待て。幾ら何でも、お前みたいな見覚えのない子供をラル大尉に会わせる訳にはいかねえよ」

 ラル大尉、ね。さっきもそう言っていたが、一応今のラルは予備役という感じで正式には軍人じゃないんだが……そうなると、セイラから聞かされていた話を使うしかないか。

「なら、ちょっと伝言をしてきてくれないか? それを聞けば、多分会ってくれると思う」
「……伝言だぁ?」

 軍人はあからさまに俺を怪しそうな視線で見てくる。
 いや、無理もないんだろうが。
 ともあれ、ランバ・ラルならこの伝言を聞けば恐らく会ってくれるとセイラも言っていたしな。

「ああ。勿論その伝言を伝えて、それでも会わないと言うのなら、俺も大人しく引き下がる」

 嘘だけどな。
 悪いが、セイラが国作りをする上で、ランバ・ラルという人物は非常に重要な鍵となる人物だ。
 そもそもダイクン派と呼ばれている者達の多くが既に存在していない以上、ランバ・ラルくらいしかダイクン派と繋がりがあると思われる人物がいないというのが痛い。
 もし伝言を聞いても駄目だというのであれば、強硬な手段に出るしかなかった。
 ……この軍人、外見とは違ってそれなりに性格は良いらしいので、出来ればそんな真似はしたくないんだが。

「分かったよ。ただし、それでも駄目だったら、大人しく帰れよ」
「ああ。『10年前にルシファを助けてくれてありがとう』と、そう伝えてくれ」
「……ルシファ? いや、まぁ、いい。分かった。なら伝えてくるから、ここで待ってろ」

 店の中に入ってくるなよと念を押してから、軍人の男はエデンの中に入っていく。
 ちなみにルシファというのは、セイラがまだアルテイシアとしてサイド3に住んでいた時に飼っていた猫で、ザビ家との戦いでラル派が不利になって地球に脱出しようとした時、セイラが連れてくるのを忘れて、それをランバ・ラルが助けに戻ったという事らしい。
 その猫も、地球からテキサスコロニーに引っ越してから暫くして、死んでしまったらしいが。
 問題なのは、ルシファと言われてランバ・ラルがそれを猫だと思いつくかどうかだが……

「いや、その心配はいらなかったらしいな」

 エデンの中から猛烈な気迫を発する男がこっちに近づいてくるのを感じ、あの伝言に効果があった事に安堵する。
 やがて、ばんっ、という激しい音を立てて扉が開かれ、そこから1人の男が姿を現す。
 年齢的には30代くらいか?
 髭を生やし、恰幅のいい身体をしているその様子からは、年齢以上の迫力を感じさせる。

「小僧、貴様があの伝言をコズンに頼んだ者だな?」
「正解。ランバ・ラルだな。俺の伝言を聞いて貰ったようで何よりだ。……よくあの伝言の意味を理解したな。10年も前の話なのに」
「……入れ。ここで話せるような事ではないだろう」

 それだけを言い、ランバ・ラルはエデンの中に入っていく。
 俺もまたそれを追って店の中に入り……その瞬間、店の中にいた客達の視線が俺に集まる。
 それは明らかに警戒の視線で、どれだけランバ・ラルが他の者達に慕われているのかという事を示していた。
 セイラの事情について知ってるのがどれくらいいるのかは、俺にも分からないが。
 ともあれ、この連中のボスたるランバ・ラルが俺を曲がりなりにも客として迎え入れた以上、強烈な視線は俺に向けてくるが、それ以上は何も行動を起こす様子はない。
 何かあればすぐにランバ・ラルを守ろうと考えているのは、気配ですぐに分かったが。
 そんな風に思いつつも、酒場にある奥の席に座ったランバ・ラルに対し、俺は首を横に振る。

「ここで話せば、その内容は他の連中にも聞こえる。今は静まり返ってるしな」

 実際、現在の店の中ではラジオか何かで音楽が流れてはいるが、それ以外の話し声の類は聞こえない。
 言うまでもなく、この場にいる全員が俺とランバ・ラルの話に耳を傾けている為だ。
 だがそんな俺の言葉に、ランバ・ラルは不愉快そうに眉を顰める。

「ここにいる者達は、全て信頼出来る者達だ。情報が漏れる心配はいらん」
「それでも、だ。残念ながら、この件はかなり大きな話となる。例え青い巨星が信頼する仲間であっても、念には念を入れたい」
「てめえっ、俺達がラル大尉を裏切るって思ってんのか!」

 俺とランバ・ラルのやり取りを見ていた軍人の1人が、我慢出来ないとでも言いたげに叫び、俺に向かって近づいてくる。
 ……まぁ、この酒場にいる連中の様子を見る限り、全員がランバ・ラル……面倒だな。ラルでいいか。ラルに心酔している者ばかりだ。
 だからこそ、俺がラルに対して侮ったような態度を取るのが許せなかったのだろう。
 その気持ちは分かる。分かるが……そうだな、こっちの実力を多少なりとも見せておいた方がいいか。
 見たところ、ラルの部下達は軍人ではあってもMSのパイロットに専念している連中だけ……という訳ではなく、きちんと歩兵としての訓練も受けてるようだしな。
 身長2m近い男が俺に向かって手を伸ばしてくるが、俺はその手首を掴まえる。

「ぐっ!」

 軍人らしい大男と10代半ばの俺。
 普通に考えれば、当然のように力で勝つのは大男の方だろうが……生憎と、俺はちょっと普通ではない。
 大男の顔が真っ赤になりながらも、俺の顔色は全く変わっていない。
 周囲で見ていた他のラルの部下達も、そんな仲間の様子を見れば、到底普通ではないというのは理解出来たのだろう。
 やがて、少しずつだがざわめきが周囲に広がっていく。
 顔を真っ赤にしている様子から、とてもではないが大男が冗談か何かをやっているのではないというのは分かったのだろう。
 そんなラルの部下達の様子を別に、俺は真剣な様子でこっちを見ているラルに尋ねる。

「どうする? このままだと、この男の手首は砕けるぞ。そっちがそれでいいのなら、俺は構わないが……」
「……この奥には店員用の休憩室がある。そこでいいか?」
「ああ」
「ただし、儂以外にハモンも連れていく。……あの猫の件となれば、ハモンも関わっているからな」

 そう言い、カウンターに座ってこっちを見ている女に視線を向けるラル。
 ハモン……? そう言えばセイラがラルと一緒に1人の女がいたとか何とか言ってた気がするけど、それがハモンか?

「分かった。なら、それでいい」
「おわぁっ!?」

 その言葉と同時に、掴んでいた男の手を離す。
 反射的に後ろに下がった男は、しっかりと俺の手の痕が残っていた手首を触りながら、半ば恐怖の浮かんだ視線をこちらに向けてくる。
 他の面々も俺が見た目通りの存在ではないというのは分かったのか、こっちを侮るような視線を向けている者はいない。
 そんな者達を余所に、俺はラルとハモンの2人と共に店の奥に向かう。
 そこは確かに休憩室と呼ぶに相応しい部屋で、テーブルと椅子が幾つか置いてあった。
 そのテーブルで、ラルとハモンの2人は俺と向かい合うように座る。
 そして数秒の沈黙の後、最初に口を開いたのはラル。

「お前が言っていたルシファというのは、とある御方が飼っていた猫の名前だ。その名前を出すということは……」
「ああ。セイラ・マス。いや、お前達にはアルテイシア・ソム・ダイクンと言った方が分かりやすいか? もっとも、アルテイシアの名前はここだと色々と危険だからな。取りあえず、セイラで通させて貰うけど」

 アルテイシアという名前が出た瞬間、ラルの表情は一段と厳しくなる。
 いや、ラルだけではない。ハモンもまた同様に、俺を見る視線は厳しい。

「お主……」
「ああ、そう言えば自己紹介がまだだったな。俺はアクセル。アクセル・アルマーだ」

 ラルの呼び掛けに、そう言えばまだ自己紹介をしていなかったなと気が付き、そう告げる。
 だが、ラルもハモンも俺が自己紹介をしても、態度が和らぐ様子は全くない。
 無理もないか。ラルやハモンにとって、セイラという人物はそれ程に重要な人物なのだから。
 ただし、セイラからの伝言を見れば……国作りやら、異世界の存在やらを知れば、どう反応するのか、その辺りまでは分からないが。

「アクセル・アルマー。……うむ。お主の名前は分かった。それで、アルテ……いや、姫様の話を聞かせて貰おう」
「俺が何かを言うよりも、これを直接見た方がいいだろうな。セイラから映像を預かってきている」

 そう言い、空間倉庫からデータ再生用の機械を取り出す。
 掌サイズとはいえ、まさか何もない場所からその再生機を取り出したのを見て、ラルもハモンもさすがに反応を示す。
 ……それでも、実際に俺に何かを尋ねてくる様子がなかったのは、さすが青い巨星と言うべきか。
 ともあれ、再生機を起動させて、録画された映像をそこに映し出す。

『ラル、久しぶりですね。10年前は世話になりました。私の事を覚えていますか?』

 映像に映し出されているのは、セイラの部屋。
 ただし、その口調は俺が知っているセイラのものではなく、アルテイシアの……ジオン・ズム・ダイクンの1人娘としての口調。

「おお……姫様」
「貴方」

 ラルとハモンは、一目見ただけで、そこに映し出されているのがセイラだと納得したのだろう。
 ラルは感動した様子で映像のセイラを見て微かに涙ぐみ、ハモンはそんなラルを気遣っている。

『本来なら、色々と話したい事があります。それこそ兄の事も。ですが、残念ながら今はそのような事を言っていられる場合ではなくなりました。今は、一刻も惜しい時なのです』

 そんなセイラの言葉に、ラルの表情が厳しく引き締まる。
 まぁ、10年も会っていないセイラが、いきなり俺を通して接触し、その映像では一刻の時も惜しいとそう言うのだ。
 明らかに何かがあると、そう考えるのは当然だろう。

『ですが、一刻の時も惜しい中でも、残念ながら今の私には何の力もありません。今の私は、客観的に見ればサイド7で働いている医療ボランティアの1人でしかないのですから』
「サイド7だと!?」

 セイラがサイド7にいるというのは、ラルにとっても完全に予想外だったのだろう。
 ラルがどこまでセイラの行方を辿っていたのか、その辺りは俺にも分からないが……ただ、ラルの父親のジンバ・ラルがセイラとシャアの2人を地球に連れていったのは間違いない。
 となると、もしかしたら今も地球にいたと考えている可能性もある。
 ……もっとも今の地球はジオンと連邦の最前線だし、月面のマスドライバーによる攻撃を受けたり、それ以外にもコロニー落としすら受けている。
 そう考えれば、地球にいるよりもコロニーにいた方が安全だったと、そう思う可能性はあるが。
 コロニーにいても、住んでいるコロニーがコロニー落としに使われるとか、そういう可能性はあるが。
 そんな風に考えている間にも、セイラは簡単に現在の状況を告げ……そして、決定的な一言を口にする。

『そして、ラル。私は……アルテイシア・ソム・ダイクンは、国を興そうと考えています』 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:5
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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