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空に星が輝く様に

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191部分:第十四話 夏の終わりにその九


第十四話 夏の終わりにその九

「そうも思います」
「月美ってさ」
「はい?」
「そういうところいいよね」
 こう言って微笑むのだった。
「とてもさ」
「とてもですか」
「ああ、いいと思うよ」
 微笑んだまままた告げたのだった。
「そういうさ、いいところも悪いところも見てそれで認めるっていうのは」
「人間誰もがそうだって言われまして」
「誰に?」
「お父さんにもお母さんにも」
 まずは両親からだった。
「それに」
「椎名かな」
「はい、愛ちゃんにも言われました」
 やはり彼女の名前も出たのだった。
「ですから」
「あいつにもな」
「愛ちゃんも。人間はそう簡単にわからないって言って」
「椎名が言いそうなことだよな」
「そうですよね。それで私も」
「わかったんだな」
 月美の言葉をここまで聞いてまた頷く陽太郎だった。
「成程な」
「わかったというよりは教えてもらいました」
「教えて?」
「はい、そうしてもらいました」 
 そうだというのである。
「それでなのです」
「そしてです」
「そして?」
「私もそれでそう考えるようになりました」
「ううん、そういう経緯だったんだ」
 それを聞いてだ。陽太郎も言うのであった。
「よくわかったよ」
「はい、それでなんですけれど」
「それで?」
「このステラーカイギュウもそうだっておもいまして」
「絶滅していない」
「そう思うようにしてます」
「絶滅したって思ったらそれで終わりだしね」
 陽太郎は自然とこの言葉を出した。
「それでもう完全にさ」
「そうですよね。それでもいるって思っていたら」
「探せるし見つけられるかも知れ名ない」
「そう思います」
「そうか、それじゃあ」
 ここまで聞いてだった。陽太郎は一旦笑顔で頷いてから。また月美に話した。
「これからだけれどさ」
「これからですか?」
「俺の家に来てくれて悪いんだけれどさ」
 こう前置きしてからの言葉だった。
「ちょっと行かない?」
「何処にですか?」
「見せたい場所があるんだ」
「見せたい、ですか」
「ああ、是非月美にな」
 また月美に対して言う。
「見せたいんだけれどさ」
「それは何処ですか?」
「来てくれればわかるよ」
 微笑んで話す。
「そこにさ。いいかな」
「わかりました」
 月美は陽太郎のその言葉にすぐに頷いた。
「それじゃあ」
「よし、じゃあ今から行こう」
 少し急いだ感じでの言葉になっていた。
「今からそこに」
「ええ」
「陽太郎」
 ここでだった。家の奥から母親の声がしてきた。実は家にいてあえて奥に引っ込んでいたのだ。全ては彼に気を遣ってである。
「外に出てもいいけれど」
「何だよ」
「変なことしたら駄目よ」
 母が言うことはこれだった。
「いいわね、幾ら奇麗な娘でもね」
「そんなことしないよ」
 息子はむっとした顔で母に返す。
「俺がそんなことするように見えるのかよ」
「ええと、西堀さんだったわよね」
「はい」
「陽太郎が何かしたら容赦する必要はないから」
 月美に対しても言うのだった。
「その居合で切り捨てていいからね」
「切り捨ててって」
「女の子も強いんだって見せてやって」
 随分と物騒なことを言うのだった。
「わかったわね。それでね」
「それは」
「ああ、気にしなくてもいいからさ」
 陽太郎はたまりかねた顔で月美に対して告げる。
 
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