オズのガラスの猫
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第一幕その一
オズのガラスの猫
第一幕 暇だと思ったので
ガラスの猫はその身体は透き通ったとても奇麗なガラスで出来ていてそこから赤い脳と心臓、宝石のそれが見えています。
その姿がとても奇麗だとです、ガラスの猫はとても自慢しています。
「あたしはオズの国一の美人よ」
「あんたいつもそう言うわね」
そのガラスの猫につぎはぎ娘が応えます。
「そう言って自慢してるわね」
「実際あたし位の美人はいないでしょ」
「そうかしら」
つぎはぎ娘はガラスの猫にあっさりとした調子で返しました。
「他にも美人さん多いじゃない」
「このオズの国にはっていうのね」
「そうよ、それでね」
「あたしが一番っていうのはっていうのね」
「違うんじゃないかしら」
「猫はこの世界で一番奇麗じゃない」
負けじと返すガラスの猫でした。
「そしてその中でもあたしはね」
「一番奇麗だから」
「それでよ」
「この世界、少なくともオズの国ではなの」
「一番の美人っていうのよ、世界っていうところをね」
そこをというのです。
「オズの国だけにしたのは謙虚でしょ」
「それだけでも充分言ってるけれどね」
「そうかしら」
「オズの国一っていうだけでもね」
「そこを謙虚って思わないのが駄目なのよ」
「あたしが?」
「そうよ、あたしの奥ゆかしさがわかっていないから」
だからだというのです。
「駄目なのよ」
「そうかしら」
「そうよ、とにかくね」
さらに言うガラスの猫でした。
「あたしはオズの国一の美人よ、このガラスの身体と頭、ハートがね」
「何よりの証拠っていうのね」
「そうよ」
まさにとです、胸を張って言い切ったガラスの猫でした。
「もう誰よりもよ」
「美人で」
「それが一番の自慢よ」
「そうなのね、それはそうとしてね」
ここでこうも言ったつぎはぎ娘でした。
「あたし最近冒険の旅に出ていないのよね」
「そういえばそうね、あんたいつもこのエメラルドの都にいるわね」
ガラスの猫もそのことについて気付いて言いました。
「あたしもだけれど」
「いつも踊って歌ってるけれど」
そのぬいぐるみの身体でひらひらとです。
「楽しくね、けれどね」
「冒険の旅に出たいの」
「そうなるかしらね」
こうガラスの猫に言うのでした。
「あたしとしては」
「そうなのね、まあね」
「まあっていうと?」
「あんたもあたしも寝ることはしないしね」
「食べることもね」
「時間が相当にあるわ」
何しろ寝る必要がないのです、夜も全ての時間を使えるのです。
「このこともあたしの自慢だけれどね」
「あたしもだけれどね」
「そうそう、あたし達のね」
寝る必要がないのでどれだけでも起きていられることはというのです。
「いいことよ」
「そうよね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「これが時々持て余すのよね」
「暇になる時もあるわね」
「そうならない?あんたも」
こうつぎはぎ娘に聞くのでした。
「時々でも」
「だから今思ったのよ」
「冒険の旅に出ていないって」
「冒険の旅に出たらいつも賑やかだったり色々な場所を見られるけれど」
それでもというのです。
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