恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第七十一話 劉備、何進を匿うのことその四
「その通りじゃ。忌々しいことにじゃ」
「そうですか。やはり」
「それで追放されて」
「ふむ。察しがいいな」
何進は二人のその話に感心すらしている。
そのうえでだ。こう述べるのだった。
「まさにその通りじゃ。全てな」
「そうですか。あの薬をですか」
「飲ませられて」
「けれどあのお薬は」
徐庶が暗い顔で話す。
「妖術の類で。普通の仙人や道師は」
「その通りだ。使うのは妖術使いだ」
華陀がその通りだと話す。
「左道そのものだ」
「宦官達が左道に通じていたのでしょうか」
「いや、その道に通じている奴と結託しているようだ」
また話す華陀だった。
「どうやらな」
「そうなのですか。厄介ですね」
そこまで聞いてだ。徐庶は眉を曇らせる。
「只でさえ陰謀に長けた宦官達にそうした存在がつくと」
「全くな」
「ただ」
しかしだった。ここでこうも言う徐庶だった。
「宦官達は。もう董卓殿に一掃されたことになっています」
「気付いているな」
華陀は彼女の今の言葉から述べた。
「されたことになっている、だ」
「はい、違うのですね」
「どうやらな。奴等はまだ宮廷の奥深くにいる」
「そこで陰謀を巡らせてますか」
「その様だ。董卓殿との関係はわからないがな」
「それってまずくない?」
馬岱が顔に嫌悪を浮かばせて話す。
「あの連中が生きてたら。しかも大将軍がおられないなんて」
「その通りじゃ。まずいことになっておるのじゃ」
何進もこう話す。
「このままでは天下がじゃ」
「ですが。今はです」
「迂闊に動けないです」
孔明と鳳統が今の状況を鑑みて述べる。
「ここで動けば叛乱と見なされます」
「すぐに討伐軍を向けられます」
「それに。今は董卓さんの軍もありますから」
「討伐に向けられる軍もありますから」
「そうよ。動いたら駄目よ」
「絶対にね」
それは貂蝉と卑弥呼も止める。
「動いたら謀反人よ」
「董卓さんの軍が来るわよ」
「少なくともこちらから動けません」
徐庶もそれはわかっていた。わかっているからこその言葉だった。
「あちらから動くのを待つしかありません」
「私もそう思います」
「今は待つしかありません」
孔明と鳳統もこの考えだった。
「機を待ちましょう」
「あちらから絶対に仕掛けてきますから」
「その通りだな。そしてだ」
華陀がだ。話を変えてきた。
「何進殿の耳は。治せるか」
「はい、大丈夫です」
「猫子丹を治せる薬ですね」
「そうだ。それの素材はあるか?」
華陀は孔明と鳳統に対して問うた。
「材料さえあれば俺がすぐに調合するが」
「はい、あります」
「めぼしいものは全て」
あるとだ。明るい声で答える軍師二人だった。
「それじゃあすぐに材料を持って来ます」
「では何進さんの猫化を防ぎましょう」
「わかった。それならすぐにな」
こうして話が進みだした。そうしてだ。
薬の調合が進めていく。その中でだ。
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