ドリトル先生と和歌山の海と山
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第十二幕その十
「すぐにプレゼントだよ」
「その為に一杯買ったんですから」
トミーも先生に言います。
「今日もですよ」
「皆が言っている意味がわからないけれど」
本当にわかっていない先生です、それも全く。
「とにかく今日学校に行ったらね」
「お土産をあげる」
「親しい人達に」
「そうするのね」
「是非ね」
こう言ってでした、そのうえで。
先生はまずは朝御飯を食べることにしました、その時にも梅干しがあってその梅干しを食べてこうも言いました。
「今もあるね」
「うん、梅干しはね」
「高野山で買ったやつだよね」
「まさにそれね」
「神戸に帰っても食べられるんだね」
「梅干しを」
「そうだね、これはね」
実にと言った先生でした。
「和歌山の梅干しだよ」
「その梅干しも食べて」
「元気に学校に行きましょう」
「元気出してね」
「そのうえで」
「そうしようね、梅干しはね」
しみじみとした口調でその梅干しを食べつつ言う先生でした。
「食べると元気も出るからね」
「そうだよね」
「梅干しって食べると元気も出るのよね」
「美味しいだけじゃなくて」
「元気も出る」
「そうした意味でも素晴らしいね」
「だからね」
それでというのです。
「今朝も食べようね」
「はい、僕も食べますね」
トミーもここで梅干しをお箸に取ろうとします、ですが。
中々掴めません、それで戸惑って言うのでした。
「あれっ、何か」
「掴みにくいんだね」
「さっき納豆を食べたせいですね」
「納豆のねばねばでね」
あの独特の糸のせいでというのです。
「やっぱりね」
「はい、どうにもです」
「掴みにくいんだね」
「これは困りました」
「そうした時はまずはね」
お味噌汁を飲んでお話する先生でした。
「こうしてね」
「お味噌汁で、ですね」
「お箸をお味噌汁の中に入れて」
そうしてというのです。
「ぬめりを取るとね」
「いいんですね」
「そうすればいいよ」
「じゃあそうさせてもらいます」
「朝に納豆に梅干しにね」
それに卵焼きに海苔もあります。
「これはいいね」
「そうですよね」
「いい朝御飯だよ」
「日本の」
「何か僕もね」
食べつつ思う先生でした。
「どんどん日本に馴染んできているね」
「そうですね、何か今の先生は」
「今の?」
「完全に日本人になっていますよ」
そうした風になっているというのです。
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