レーヴァティン
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第五十八話 神仏の存在その六
「今この世界では。もうそうなって長いです」
「そうだな、しかしだな」
「わかっていることは。デルフォイでもこの島の伊勢の神託でも」
「神託でか」
「海の魔神がいてです」
「その魔神を倒して世界を救う者はだな」
「外の世界から来た方々、即ち」
「俺達だな」
「そう言われています」
「そうか、このことはわかったが」
「はい、しかし魔神のことは」
「一切だな」
「はい」
まさにとだ、僧正はまた英雄に答えた。
「肝心のことは一切わかっていません」
「わかるのはそのことだな」
「はい、そのことだけです」
僧正も申し訳なさそうに述べた。
「残念ですが」
「そのことはわかった、ではな」
「それではですね」
「もう少しこの寺で書を読ませてもらいたい」
「書をですか」
「面白い書が多い」
つまり学べる所がというのだ。
「術等については」
「術に興味がおありですか」
「様々な術を使えた方がいい」
一人一人がというのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「書を読みたいがいいか」
「はい」
是非にとだ、こう答えた僧正だった。
「どうぞ」
「それではな、学ばせてもらう」
英雄は僧正に応えた、そのうえで。
一行は術についての書も読んでいった、その書は実に多く彼等は様々な術を書で学び実際に使ってもみた、そうしてだった。
その術を使ってだ、身体でも身に着けていった。それに使った時間は結構なものだったがそれでもだった。
一行はその間術の修行に励んだ、そのうえで七人全員が魔術師こちらの島での陰陽師の術である陰陽術に僧侶の術、錬金術こちらの島で言う錬丹術に超能力の四つの術を身に着けた。そこまでしてだった。
英雄は仲間達にだ、こう言った。
「時間をかけただけにな」
「いいですね」
「そうだな」
こう言うのだった。
「一月かけたが」
「しかしその一月で」
「俺達は四種類の術を全て覚えられた」
「このことは大きいですね」
「実にな」
こう良太に述べた。
「力自体は専門に術を唱える者達には遠く及ばないが」
「それでも」
「使えるだけだ」
まさにというのだ。
「全く違う、だからな」
「ここで術を覚えたことは大きいですね」
「この寺に術の書が多くてよかった」
しみじみとして言う英雄だった。
「まことにな」
「これは瓢箪から駒、もっと言えば」
「これも運命だな」
神か仏の配剤だというのだ。
「俺達の」
「そうなるでござるな」
智も言った。
「武士は陰陽術も使えるでござるが」
「刀を使うだけでなくな」
「どうもでござる、拙者達は」
「色々な術を身に着けられるな」
「有り難いことに」
確かな声でだ、英雄は智に応えた。
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