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レーヴァティン

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第五十八話 神仏の存在その四

「当時のバチカンの腐敗はな」
「そうですね、まことに」
「あの腐敗には流石に日本の寺社はな」
「遥かに及びませんね」
「異端審問に焚書、侵略と虐殺がなかった」
 日本の宗教の世界においてはこうしたことは一切なかった、そもそも神仏という言葉がある通り日本は複数の宗教が共存しており神道は多神教のうえ仏教も様々な宗派や仏が存在している。一神教と違うのだ。
「一神教の悪い面、いや悪用が為されてな」
「そうしてでしたね」
「ああなったがな」
「日本ではです」
「あそこまではならなかったな」
「よく言われている比叡山ですら」
 織田信長が焼いたことでその腐敗が歴史に残ったこの寺でもというのだ。
「バチカンの腐敗を見れば」
「当時の比叡山の僧侶が腰を抜かしていたな」
「その域に達していた腐敗でしたが」
「日本はそこで腰を抜かす」
「そこまででした」
 腐敗もというのだ。
「そう思いますと」
「俺達の世界でもな」
「日本の寺社の腐敗は大したことがなく」
「こちらの世界でもな」
「はい、僧兵という武力で向かって来るなら別ですが」
 それでもというのだ。
「腐敗は特にです」
「政では深刻ではないな」
「鏡を拭く位のものです」
 政における問題での深刻さで言えばというのだ。
「その程度かと」
「そうだな、そして稲葉山の寺はな」
「それ程はです」
「深刻に考えるまでもないか」
「そうかと。それでは」
「ああ、明日はな」
「山に入りましょう」
 こう話してだった、一行は明日からのことも話して決めてから酒と鮎をさらに楽しんだ。この日は誰も遊郭には入らなかった。
 そして朝になるとだ、全員日の出と共に起きてだった。
 稲葉山に入り寺に参った、そうして寺の僧達に話して寺の中を見て回り僧侶達から話を聞き書を読むことに数日をかけたが。
 この島や世界のことはさらにわかった、しかしだった。
「海の魔神についてはですが」
「寺にある書を手分けして目を通したが」
「載っていませんでしたね」
「そうだった、そしてだな」
「拙僧達もです」
 寺の僧正の一人が寺の本堂の中で英雄に申し訳ない顔で答えた、英雄の後ろには他の面々も揃っている。
「残念ながら」
「知らないな」
「左様です」
 こう英雄に述べたのだった。
「調べてはいますが」
「そうなのだな」
「一体何者か。どうした神か」
「わからないか」
「海の神仏といっても多いです」
 僧正は英雄にこのことから話した。
「神道では須佐之男命がそうですね」
「そうだったな」
「この世界では住吉大社に祀られていますが」
「俺達の世界でもそうだ」
 まさにとだ、英雄は僧正に答えた。その髪の毛も髭も奇麗に剃った皺の多い深い叡智が見られる顔でを見ながら。
「そのことはな」
「左様ですか」
「そうだ、そして仏教でもな」
「薬師如来も由来があり天部では水天もでしょうか」
「海を司る仏がいるな」
「そして西の島の宗教でも多いですね」
「ポセイドンやエーギルだな」
 英雄はすぐにそうした神々の名前を出した。 
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