恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第七十話 何進、姿を現すのことその三
「だから。これでね」
「さよならな」
「そうだな。とにかくだ」
華陀もここで言う。
「あの御仁を探すとしよう」
「むっ、そういえば」
「あんたもいたの」
夏侯惇と荀彧はようやく華陀に気付いたのである。
「何故だ?妖怪の餌になったのか?」
「どうして一緒にいるのよ」
「ああ、この二人は俺の友だ」
それだとだ。華陀は二人に話すのである。
「ある事情から行動を共にしているんだ」
「魔界にでも行くのか?」
「本当に食べられても知らないわよ」
「だからそういうのはないからな」
彼だけが落ち着き払っている。
「安心してくれ」
「むう、そういえば御主以前には」
「華琳様に随分失礼なこと言って怒らせたわね」
「それだな。まあ曹操殿のそのこともやがて何とかしないとな」
「まさか便秘のことか?」
「ちょっと、それ言ったら駄目じゃない」
夏侯惇と荀彧はひそひそと話をはじめた。
「また悩んでおられるからな」
「どうしたものかしら」
「一応言っておくが芋や南瓜、牛乳がいいぞ」
「それを食べるとか?」
「あれにいいのね」
「ああ、そうだ」
まさにその通りだというのである。
「そうしたものがいい、あれにはな」
「そうか。しかし華琳様はそれを仰るとな」
「本当に激怒されるから」
この辺りがだ。実に難しいというのである。
「それが問題だな」
「そうね。誰が言えばいいのか」
「麗羽殿が仰ればかなりいいのだが」
「けれどあの人無神経に高笑いで人前で言うから」
それがだ。袁紹の難しいところなのだ。
そしてだ。そうなればどうなるか。二人はよくわかっていた。
「そうなればだ」
「二人で大喧嘩ね」
そうなれば洒落にならないことはだ。猪武者の夏侯惇でもわかることだった。無論軍師である荀彧ならばだ。それは余計にであった。
「だから麗羽殿に御願いしてもな」
「駄目ね。けれどあんたあの人とも幼馴染だったわよね」
「うむ、、その通りだ」
「昔からああいう人だったのね」
「全然変わっていないぞ」
「厄介な話ね。あんたもそうみたいだけれど」
荀彧は何気に夏侯惇のことも言う。
「秋蘭も大変だったのね」
「だからどうしてそうした話になるのだ」
「いいじゃない、事実なんだし」
「事実とは何だ事実とは。私は幼い頃より華琳様をだな」
「ああ、いいか?」
勝手に二人で話をしだしている彼女達にだ。華陀が言うのだった。
「俺達はこれからな」
「むっ、まだいたのか」
「それで何なのよ」
二人は華陀の言葉を受けて彼に顔を戻して問うた。
「我々に用はないのだな」
「じゃあ早く何処かに行ったら?」
「だからそうしようと思ってな」
「御別れの挨拶をしたいのよ」
「そういうことなのよ」
それでだと。怪物達も言うのである。
「それでね。どうかしら」
「今から兵隊さん達、どけてくれるかしら」
「そうだな。それではな」
「そうするわ」
随分とだ。物分りのいい調子になっている二人だった。
そのうえで兵達に包囲を解かせてだ。あらためて華陀達に告げた。
「さあ、行け」
「そっちの妖怪達も今は見逃してあげるわ」
「だから妖怪じゃないのに」
「傷ついちゃうわ」
身体をくねくねとさせながら悲しい顔を見せる乙女達だった。
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