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【完結】猫娘と化した緑谷出久

作者:炎の剣製
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猫娘と期末試験編
  NO.054 爆豪の心境の変化について

 
前書き
更新します。 

 



テスト期間だとはいえ、演習も含まれているために出久と爆豪、そして切島の三人は爆豪の家で勉強がてら組み手をしていた。
切島に関しては一見頭は悪そうに目るものだが、それでも倍率300倍の中を潜り抜けてきた猛者なのだから勉強をしっかりすれば大丈夫なのである。
……ちなみに、爆豪の母、光己は爆豪が出久を(切島も付いてきているとはいえ)家に呼んできたのだからそれはもう大変な騒ぎであった。
一部始終を抜粋。

「あ、あなたもしかして緑谷さんとこの!?」
「は、はい……お久しぶりです。光己おばさん」
「いやー……女の子になっちゃったって聞いていたけど、これは驚いたわ。ねぇ、勝己にイジメられてない……?」
「はい。最近かっちゃんはとても優しいので……」
「へぇ~?」

光己はそう言って爆豪の方へと笑みを浮かべながら見る。

「変な目で見んじゃねーよ、クソババァ!! デクもいらん事喋るな!!」

要約して出て行け!と光己に言う爆豪に、光己は「それじゃお邪魔虫は退散するとして、二人とも楽しんでってねー」と言って出て行った。

「なぁ、爆豪。お前のかーちゃん、なんか面白いな」
「面白くなんかないわ!! とにかく、勉強始めっぞ! 特に切島! 俺やデクと比べててめぇはギリギリなんだからビシバシ行くぞ!?」
「おう、頼むわ」
「うん。それじゃ始めようか」

そして始まる三人での爆豪の部屋での勉強。
切島はこれで集中すればなんとかなるものだから、意外に教え上手な天才肌の爆豪に、それを分かりやすく切島に翻訳している出久の手腕で勉強はすこぶる捗っていたために、

「でもよ。なぁ爆豪に緑谷。お前ら二人とも最近まであんな関係だったのに呼吸が合ってるよな……?」
「そ、そうかな……?」

えへへ、と嬉しそうにはにかむ出久。
そして「ふんっ」とそっぽを向く爆豪。

「でも、僕もそこは気になっていたんだ。ねぇ、かっちゃん」
「あん……?」
「前まで僕の事を邪見にしていたのに、どうしてこんなに優しくなったの……? その、やっぱり僕の身体の事で思う事とかあるのかな……」

出久がそう言った途端になぜか空気が悪くなった気がした切島。
切島も出久の件に関しては知っているので、地道に生命力を減らしていくしか今のところは手が他にないから気にはしていた。

「…………別に、てめぇの身体がどうとか関係ねーわ。ただ、てめぇと話し合う事で互いに平等な立ち位置に立てたと思ったから、態度を改めただけだ。
前にも言ったと思うが、『クソデクはクソデクだ! 男だろうが女だろうがてめぇはてめぇだろうが!!』って言う方針は変わってねぇよ」
「そっか、よかった……。あれ? でも、切島君の前でそれ話して大丈夫なの?」

出久と二人だけなのなら話してもいい事だが、切島が聞いている事にちょっと恥ずかしくなった出久。
切島は切島で、

「あー……わりぃ、緑谷。前にその件は爆豪から聞いちまってるんだよ」
「かっちゃんから……? やっぱり切島君ってかっちゃんと仲良しだよね」
「あはは。そう改めて言われると照れるぜ……」
「照れるなや!」

三人でわいわいとしながら話し合う。
勉強の手も緩めずにやっている辺り、真面目な二人がいてこそだろう。
もし切島だけだったら継続していないだろうから。

「じゃーよ、爆豪!」

そこで面白い事を思いついた切島は爆豪にある質問をぶつけてみようとする。
下手したら爆破されそうな質問だが、そこは我慢すればいいと思い、

「最近轟や飯田、それに麗日の三人がよく緑谷に話しかけようとすると、怒ってるけどどうしたんだ? 前までのお前なら無視してたじゃんか?」
「僕もそれは少し思ったかも……」

二人にそう聞かれて爆豪は少し難しそうな顔をしながらも、

「…………分からねーんだ」
「「分からない……?」」

出久と切島はそう言って首を傾げる。
爆豪は依然難しそうな顔をしながらも、

「なんか最近な、デクの事を見てると何故かは知らねーが胸がモヤモヤしてくんだ。そしてあの三人がデクに絡んでくるのを見ると逆にムカムカしてきやがる……なんなんだ、これ?」
「か、かっちゃん……」
「ば、爆豪……お前」

さすがに出久も切島もそこまで鈍感じゃないために爆豪のその症状に覚えがあるために切島なんかは言葉を失い、出久に関しては顔を真っ赤にさせていた。
爆豪はそんな二人の反応に首を傾げながらも、

「………んだよ? なんかわかったんか?」
「爆豪。そりゃお前……!」
「んんっ!!?」

切島が笑みを浮かべて親切に教えてあげようとしたのだが、出久がそれを必死に顔を赤くさせながらも止めていた。
もう涙目になっている事から教えないで!と強く訴えている事に、切島も馬に蹴られたくないと素直に思ったために、

「んーーー……やっぱわかんねぇよ。頭の良い爆豪ならすぐに気づけんじゃね?」

と、はぐらかしていた。
それで出久は内心安堵の息を吐いていたが、それでも胸は早鐘の如く鳴っていたために爆豪の顔を直視できないでいた。
もう、完全に心と気持ちは女の子なんだね、イズクちゃん……。
それで一人だけ取り残されてしまった形になった爆豪はハテナ顔になっていたが、自覚する日はいつ来るのだろうか……?







お茶子は自宅で勉強中にそんな怪電波を受信したために、

「なんか、爆豪君が無自覚にデクちゃんを口説いている気がする……」

と、到底麗らかではない表情をしていたとか。






そんな感じだったけども、勉強は捗ったために、

「爆豪に緑谷。ありがとな! 結構捗ったわ!」
「俺とデクが教えたんだから当然だろうが!」
「まぁまぁ、かっちゃん……。それじゃ残り時間は演習対策でもしておこう……?」

出久のその言葉に切島は不思議そうに首を傾げながらも、

「なんでだ……? ロボット対策なんて、ただぶっ壊せば済む話じゃね?」
「てめぇの頭は単純か! 俺達は一回ヴィランに襲われたんだぞ!? 雄英も何の対策も取らねぇわけがねぇ……カリキュラム変更で恐らく対人戦に変わると俺は見ている」
「あ、やっぱりかっちゃんもそう思う……?」
「マジかよ!?」

出久と爆豪の二人がそう同じ考えだったために切島はもう不安になっていた。
これだと絶対当たるんじゃね!?という確信を持って。








三人がそんな会話をしているところ、雄英教師陣はというと、会議室で、



「ヴィラン活性化の恐れか」
「もちろん防げるのであれば防ぐのが最善だが、学校としては万全を期しときたい」
「これからのヴィラン連合の手によって着々と変化していく社会で、現状以上の対ヴィラン戦を想定して状況が激化していくことを予想して考えていけば……ロボットとの戦闘訓練は実戦的ではない」

そうスナイプ先生が話す。
そもそもがロボットは入試で人に危害を加えるのか?という保護者達のクレームを回避するためのもので、あまりに実戦向けではないのである。

それから一同はそれぞれで似たり寄ったりな生徒を二人にチームアップしてどの教師を当てるかを話し合った。
当然、出久と爆豪はもう組む事が決まっている為に、

「それじゃオールマイト先生。二人の事は任せましたよ。二人の仲が良い方向に向かっているとはいえ、いつその均衡が崩れてまた仲が悪くなったでは話になりませんから。ですから二人の仲を見つつ、本気も出さずにうまく誘導してあげてください」
「わかりました」

オールマイトはそれで考える。
最近の出久と爆豪の仲の良さは見ているだけでも分かるというもの。
だが、爆豪がいつまた出久に暴力を振るわないかと親心のように心配になってしまうのだ。
だから今回は心を鬼にして二人をうまく誘導し、本当に仲が改善できたのかを見ていこうという方針である。








場面は出久達に戻って、

「……確かにそう考えると教師の人達とバトルしそうだな……」
「うん。特に僕とかっちゃんはオールマイトと当たるかもしれないんだよね。それも高確率で……」
「だからその考えがもし外れても、色々と対策は練っておいて損はねぇからな」
「わかった。それだと……組むのは俺は砂藤とかか?」
「多分苦手分野を攻めてきそうだからそこら辺かな……?」

と、すでに予想を立てていたのであった。

 
 

 
後書き
かっちゃん、意外とそっち方面は鈍感説を提唱します。 
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