マイ「艦これ」「みほ3ん」
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EX回:第62話(改1.5)<水上集落へ>
前書き
司令たちはブルネイの水上集落へと向かう。そこは独特の雰囲気だった。
「女の子って言うのは親が思う以上にしっかりしている」
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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)
EX回:第62話(改1.5)<水上集落へ>
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桟橋を出発したボートは一列になって河を進んでいく。
「やっぱり船はイイネ」
「あぁ! お姉さま押さないでったらぁ!」
服装から言動から、金剛と比叡は相変わらず賑やかだ。隣の大人しい比叡2号が別人のように見える。
「ホント優雅ねえ」
「夕暮れっぽい」
龍田さんと夕立は、いつも通りマイペースだな。そして龍田2号は、とても静かだった。
「フッ……勝った」
(だから日向は一体、何に勝ったつもりなのか引っかかるんだが)
「うん、そうだねえ」
隣にいる量産型の伊勢が相槌を入れる。
彼女には、それが分かるらしい。
(さすが姉妹だな)
私は正規空母を見た。
「しかし赤城さんは、だいたい静かだな」
何気なく声をかけると彼女は何かをボリボリ食べながら反応する。
「そうですか?」
指揮官の前で何かを食べるというのは普通なら失礼に当たるのだろうが、私は気にしない。
隣に座っている夕張さんが解説する。
「これね、屋台で買ったんですよ。味は大雑把ですけど、こちらは何でも安いですよね」
「そうだな」
この二人も独特だった。
2隻のボートは時おり猛スピードで通り過ぎる他の高速船をかわしながら河を進んでいく。やがて水上集落の一角に近づいた。
私は言った。
「水上集落って間近で見るとゴミゴミして、まるで要塞みたいだな」
「でも絵になりますね」
青葉さんは盛んにシャッターを切っていたが急に硬直した。
「ん?」
何事かと見ると、その桟橋には既に何隻か軍や警察関係っぽい船舶が停泊している。そして強面のお兄さんがこちらを睨んでいた。
「はは……さすがに、あのお兄さんたちにカメラを向けるのは気が引けるな」
しかし彼らも私たちの先頭に立つ運転手さんの顔を見ると急に態度を変えて会釈をしている。運転手さんは意外に顔が広いようだ。
桟橋に到着すると向こうから関係者っぽい男性がロープを投げる。
運転手さんは、また笑顔に戻る。
「はいボート降りたら行きますからネ。足元に気をつけてネー。時々穴が開いていて落ちますから」
「穴……?」
すると日向が呟く。
「艦娘なら落ちても大丈夫」
「えぇ? 嫌ですよ、さすがに」
夕張さんが笑う。
「はい迷子にならないように付いてきてね」
そう言いながら運転手さんは、そそくさと行ってしまう。身体の大きさにそぐわず意外に早足なのだ。絶対に諜報員だな。
「oh、wait! 待って」
「はぁ、はぁ、早いですね!」
高速の金剛姉妹がこの有様だ。
案内役の運転手さんの表情や行動の落差がすごい。まぁ妙な日本語でも片言で会話してくれるだけ有り難いが。
一番遅れている龍田さんは仕方ない気もするが私は他の子に声を掛けた。
「夕立に夕張さん! 遅すぎだって」
その夕立は弱々しく叫ぶ。
「仕方ないっぽい」
「はぁ、はぁ! 腕力なら自信あるんだけどなあ」
工廠娘も足腰は弱いのか。
でも私たちが運転手さんを見失うと寛代が『こっち』とか言って指差して案内してくれるから助かる。さすが索敵娘。その指差した方向に慌てて付いて行く私たち。
艦娘たちは自前で無線とかレーダーを持っているから良いけれど。生身の人間である私は迷ったら大変だ。実際、何度も危うく置いてかれるところだった。
考えてみたら、こういう迷路みたいなところの方がVIPや要人にもカモフラージュになるのだろう。そう思うと外のホテルとかレストランよりも、はるかに安全といえるか。
なおブルネイ提督は、さっきからスイスイと付いて行っている。奥さんが、ここの出身だからかな? 妙に慣れている感じだ。
やがて、ちょっと大き目の建物の中に案内される。その入口には自動小銃を構えたお兄さんが数人、護っていた。そして運転手さんの姿を見ると案の定、会釈をして道を開けてくれた。
(本当に、この運転手さん……何者?)
私たちは照明で照らされた明るい廊下を行く。
「さっきも話したが、今日はブルネイの政府、王立軍、警察関係者が来る」
ブルネイ提督は通路を歩きながら私に説明した。
「彼らは食事はせず話だけして帰る予定だ。お祈りの時間は避けるらしい。俺としては明日の打ち合わせがしたいんだがな」
「あ、そうか。明日は視察もあるか」
突き当りの扉をブルネイ提督が開ける。
そこには、この水上集落に、こんな空間があったのか? という広いスペースが広がっていた。天井からはキラキラした豪華なシャンデリアが下がり壁には絵画。大きなTVとホワイトボード。そして大きな机がある。
「適当に座ってくれ。直ぐに相手も来るだろう」
金剛たちが大きく目を見開いている。
「wow、意外ネ」
「すごいですね」
「……です」
珍しく比叡2号も目を丸くして驚いている。確かに、外観と中身の落差には驚きだ。内装も、かなり豪華だ。
各自それぞれ腰をかけていく。私が座るとブルネイ提督は並んで座った。帽子を取った彼は、ちょっとホッとしたような表情をした。
だいたい全員が着席した頃合いを見て運転手さんが言った。
「じゃ、呼びますネ」
「お願いします」
「え?」
提督が運転手さんに敬語? ……年上なのだろうか。その彼は、軽く礼をしてから廊下へと出て行った。本当に謎めいた人だ。
「知っての通りブルネイ鎮守府では今まで、ずっと艦娘の開発を続けていた」
直ぐにブルネイ提督は艦娘たちに目をやりながら続けた。
「だが試作品は失敗続き。現地政府から艦娘を見たいと言われても、ずっと誤魔化してきた。だが、さすがに限界か……と思っていた矢先の今回の演習だ」
それを聞く艦娘たちも初めて聞くであろう話に少し驚いている。
提督は続ける。
「これも何かの縁なのだろう。お前には感謝しているよ。助かった」
「なるほどブルネイも、いろいろ大変なんだな」
彼は改めて艦娘たちを見た。
「我々の試作量産型では、とても不安定で安心して見せられなかっただろう。でも美保のオリジナルの艦娘たちなら、まったく問題ないな」
「いや」
(別の意味で問題大アリだと思うんだが……)
ちょっと引いた表情の私を見て提督が言う。
「なんだ? 深刻な事案でもあるのか?」
「まぁ、見るだけなら……」
私は苦笑した。我ながら意味不明の返事だった。でもブルネイの人たちにとっても艦娘が興味の中心なんだと理解した。
彼は続ける。
「最初に先方から打診があったときは難しい文書でね……うちの奥さんと義兄に翻訳してもらって、やっと分かった」
「ふむふむ」
青葉さんが相槌を打つ。メモを取っているが、この情報は公開するなよ?
提督はアゴに手をやった。
「彼らは、もう量産型艦娘が実用化されていると勘違いしているらしくてね。世間一般には艦娘すら知られていないのに量産化のことまで知っているとは驚いたよ」
「そりゃ確かにすごい」
私は感心した。青葉さんも「へえ」と反応する。
「日本では陸軍も警察も全然無関心なのに海外は進んでいるなあ」
そう言いながら私は、あの運転手さんを連想した。なるほど情報戦に長けているのは深海棲艦だけではない。このブルネイも例外ではない、ということか。
「正直、最初は軍事協力から治安維持まで小難しい文書が続いていたが肝心の艦娘に、まともなのが居ないからウンとも言えない」
彼は苦笑した。
「それが逆に相手には俺というか帝国海軍が渋っていると勘違いされたらしくてね。人員の協力やら鎮守府運営でのいろんな利便を図ってくれたよ」
なんだか海外の部隊も大変だ。青葉さんと夕張さんも互いに目配せをして頷きあっている。提督も続ける。
「まあ、こういう小さな国では有りがちなんだろう。しまいには『見るだけでも良いから……』って話になった。そうしたら今回の演習だ。笑えるだろう」
「なるほどねえ」
彼が言った『渡りに船』は、心から実感したのだろう。
私は口を開いた。
「しかし正直、私だって艦娘のことは良く分からない。こんな状態で良いのだろうか?」
「そんなに気にするな。俺も娘を持って分かったが女の子って言うのは親が思う以上にしっかりしているし、いろいろ気を遣ってくれるもんだ」
「そうか」
人間と艦娘を比べること自体が無理があると思うが妙に納得した。
「フーン、やっぱりそうネ!」
いきなり金剛が自慢げに胸を張っている。
(お前に気を遣われた経験はないが……)
まぁ赤城さんとか祥高さんあたりなら人間の女性に近い気遣いが出来るかも知れない。
そう思っていたら部屋をノックする音。
(いよいよ、来たか?)
「はい、どうぞ!」
ブルネイ提督は答える。皆、一瞬、緊張する。
以下魔除け
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後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。
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