異世界にやってきた俺は、チート能力を駆使して全力でスローライフを楽しむ!
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日雇いのアルバイト
こうして俺は、日雇いのアルバイトからの騎士団へのお誘いルートフラグを折れそうになっていた。
このままうまくへし折りながら“闇ギルド”が襲ってくる事もなく何となく事件が解決してスローライフに突入できないだろうか?
そんな希望的観測を俺は持っていた。
だが、すぐにそれは破られることになる。
それは近場のレストランで安価なモーニングセット、パンとスープ食べ放題のお店でとり、以前の騎士団のいる水を売る店に向かう。
だがそこにやってきたとき、中から現れた隊長が、
「……ここにいるのはエイダ姫によく似たお方」
「本人だからね」
「……どうしてこちらに?」
「貴方の方こそどうしてここに?」
「我々は久しぶりの休暇をとってこちらに」
「そう、だから巻き込まれなかったのね」
エイダがそう言ってうつむいた。
すると隊長が何かを察したらしく、
「エイダ様、詳しい話をお聞きしてもよろしいでしょうか」
「ええ。できれば、手伝ってほしいわ」
「わかりました。こちらのできる範囲でお手伝いをさせていただきます」
隊長がそう言って、離れた場所に行く。
何を話すのだろうかと俺は思いながらそちらの方の様子を見ると、ちらちら俺の方を見てから、次にレオノーラの方を驚いたように見て、何かを話している。
やはり上位竜と言われると驚くのだろう。
竜という存在はこの世界でも珍しく、そして崇めるようなものなのだろう。
そう俺が思っていると隊員の一人が近づいてきて、
「やりましたね、ソウタさん。ハーレムですか」
「……ハーレム?」
「女の子に囲まれているじゃないですか。これは爆発しろと言われてもおかしくない事案ですね」
「……ハーレム……なのか? ハーレムってもっとこう、女の子にモテたりといった要素が必要なのでは」
「それは贅沢ですよ」
などと俺は言われてしまった。
なんでも女の子と接触する機会があるだけで贅沢、なのだそうだ。
この論理は俺にはよく分からないが、そうらしい。
とりあえず深く考えないことにして、俺は日雇いの仕事を始めることにした。
ハデスはとりあえず、ここしばらくの疲れもあってこの部屋の端に座って休んでいることに。
さすがは女神様らしく、座っているだけでも絵になる。
先ほどから隊員の人達がちらちらとそちらの方を見ている。
と、そこでレオノーラが、
「なんじゃ、この桶一杯に水を出せばよいのか。そのくらい妾で十分じゃ!」
と言って俺の仕事が横取りされてしまった。
もともとそれほど大変ではなかったし、湖の件はもうだいぶ回復している……だろうと思うのでこのお店もそろそろそこまで盛らなくなるだろう、と俺は思っていた。
実際に以前ほど町の人達はこの店に来ないようではあったが、それでも人は来るらしい。
といった理由から桶を満たすレオノーラ。
それを見ていて隊員が、
「すごいですねレオノーラさん」
「じゃろう。こう見えても妾は竜であるからこの程度平気なのじゃ」
「え?」
隊員の一人がそんな声をあげて、驚いたように声を上げたがそこで隊長が、
「あ~、お前たち、もしかしたら休暇は返上かもしれない」
そう言ったのだった。
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