獣篇Ⅲ
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28 いつもと違う時は、何か裏がある。
_「平子よぉ、次郎長の目にはそちの姿など写っておらぬぞ?いくら邪魔者を消そうが、いくらその元で尽くそうが、ヤツの目に写っ…」
_「…もう。いい加減にして下らないよぉ華蛇様ァ。その口止めやがらねェと、花が咲くことになるぞ?婆ァ。」
ちょっと野暮用で留守を頼む、とだけ伝えて、私は病院へ向かった。
廊下の影からそっと話を聞く。
_「…そう、これからも。明後日ェ。アンタらの店ェは、アタシたち四天王の勢力によって打ち壊される。…明後日までだァ。それまでに荷物をまとめてこの町から出ていきな
ァ。」
_「な、なんでそんなことにィッ!?」
_「聞こえなかったかィ?もうこの町にアンタらの居場所はもうないって。町中が、かぶき町そのものがアンタたちの敵なんだよォ。」
_「ガキでも人質に取られたかァ。」
_「銀さん…!?」
_「連中、どうやらアタシを試すつもりらしい。アタシにも、アタシの護らなきゃいけないもんがあるんでねェ。」
_「西郷さん…」
_「パー子ォ、コイツらのこと、頼めるかィ?」
_「心配いらねェ。もう店は畳むつもりだァ。…後ァ好きにやってくれィ。」
_「テメェッ!オ登勢サンニコンナ真似サレテェ、店マデ潰サレテェ、尻尾巻イテ逃ゲルツモリカァァァッ!」
_「闘え、ってんのかァ?冗談よせよォ。次郎長一人でもこの様だってのに。」
_「オ前ガソンナ魂カヨォォッ!?アホノ坂田ァァァッ!!!…出テクナラ、テメェだけ出テイキナァッ!私ハ、私ハァァァッ!」
_「婆ァが何で一人で行ったか、分かるかァ?…オレたちィ、護るためだよォ。それでも死にてェんなら、勝手に残って勝手に死になァ。どうせ万事屋も婆ァの店も畳むんだァ。もうオレたちゃァ、赤の他人。それぞれ好きにやりゃァいい。オレも好き勝手ェやらせてもらうぜ。」
_「待ってヨ!」
_「銀さん!?」
_「すまねェなァ。オラァもう、何も護れる気がしねェ。」
_「銀さん…」
_「銀時様…」
大丈夫、銀時はきっと動き出す。
あんなことを言ったのも、皆を護るためである。と私はそう信じる。
あとは、華蛇が上手くやってくれれば、我々の計画通り。
さて。どう動くのか。
***
いよいよ決戦の日が近づいてくる。
_「最近、何だか人が少なくねェかァ?」
_「知らねェのかィ?オメェさん。近々戦争がおっ始まるらしいぜェ?」
_「戦争ォ?」
_「四天王の派閥争いがァ、いよいよ本格化してきたらしくてな、そもそも町に人が寄り付かなくなっちまったんだァ。」
_「危ねェ、危ねェ。ってェ、今まで大丈夫だったじゃねェかァ。今回も…」
_「それが噂じゃお登勢がおっ死んじまっちまったらしくてなァ?」
_「えッ!?次郎長一家と揉めたらしくてェ。あっちはあっちでェ、若頭のカツオが死んじまったらしいんだがァ。」
_「さっさとこの町、おさらばした方がいいのかもなァ…。」
そうですねぇ。少なくとも私はそれをオススメします。
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