転生とらぶる
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ペルソナ3
2066話
ラグナロク……神々の黄昏の名を持つ、ニーズヘッグ最強の攻撃。
ニュクスという神の名を持つ敵に行う攻撃としては、相応しいだろう。
もっとも、ニュクスというのはギリシャ神話の神で、ニーズヘッグやラグナロクというのは北欧神話の神や戦争なのだが。
ともあれ、ラグナロクは放たれたのだ。
まず最初に目にしたのは、ブラックホール・ランチャーの砲身から放たれた、ごく小規模の重力の塊……そう、ブラックホールだ。
ブラックホールを武器として使う機体としては、バリオン創出ヘイロウを元々持っていたネオ・グランゾンが有名だろう。
だが、今こうして放たれたブラックホールは、ネオ・グランゾンが使う縮退砲に比べると酷く小さい。
しかし……それは、これが縮退砲よりも威力が小さいという事は決して意味していない。
何故なら、これはブラックホールを極限まで圧縮しているからこそ小さく見えるだけで、ブラックホールという現象だけで見れば、縮退砲と遜色はないのだから。
そして放たれたブラックホールは、ニュクスに向かって移動し……恐らくこの時点で闇夜のドレスのようなスキル、もしくはその上位互換のスキルを使おうとしたのだろうが、それは無意味だった。
精神コマンドの直撃の効果により、バリアの類は全てが無効化され……ブラックホールは、何の邪魔もされないままに、ニュクスの身体に着弾し……重力崩壊を引き起こす。
そしてニュクスの身体で重力崩壊が周囲に広がる直前にトロニウム・エンジンのフルドライブによって生み出された莫大なエネルギーが放たれ、重力崩壊を引き起こしていたニュクスの身体に着弾。
そのエネルギーにより重力崩壊を一時的に押し留め、その代償として重力崩壊とトロニウム・エンジンによって生み出されたエネルギーが融合し、その結果として更に凶悪な破壊力を生み出す。
そうして生み出された破壊のエネルギーを、T-LINKシステムによって増幅された念動力が包み込み、本来なら広範囲に与える被害を限定的なものへと変える。
だが、念動力の結界とでも呼ぶべき物によって外に影響が出なくなった分、行き場のなくなった重力崩壊と莫大なエネルギーはより濃縮され、圧縮され、破壊力を二乗倍にしていく。
次に、念動力の結界そのものを一気に三割近く上昇させた俺の魔力をグレートグランドマスターキーによって更に増幅し、ニュクス以外に被害が及ばないように覆い隠し、周囲から完全に隔絶する。
そうして、どのくらいの時間が経過したのか……やがて、ニュクス全体を覆っていた魔力の結界が解除され……
「ぐっ!」
ズキン、と。
今までで一番強力な魔力による精神波とでも呼ぶべき攻撃が俺の頭に命中して、強烈な痛みをもたらす。
いや、違う。問題はそうじゃない。
強烈な痛みを伴う攻撃がされたという事は、それは即ちまだニュクスが生きているという事になる。
そして、事実……魔力による結界が消滅した時、そこにはまだニュクスの姿があった。
「ちぃっ!」
幸い覚醒の効果があるので、すぐにまた動ける。
だが、次に俺がとったのは、攻撃……ではなく、回避。
ヒュドラのテスラ・ドライブと、愛の中にある加速の効果により、すぐにその場を退避する。
すると次の瞬間、一瞬前までニーズヘッグのいた場所を中心にして巨大な爆発が起きる。
何が起きたのかは、それこそ考えるまでもない。
ニュクスの仕業だろう。
そうしてようやく収まったニュクスからの攻撃と思われる頭痛が晴れ、ニュクスに視線を向けると……ラグナロクが放たれた場所には、間違いなくニュクスがいた。
だが、ラグナロクを食らっては当然のように無傷で済む筈もなく……それこそ、月の形をしたニュクスは、半壊……いや、八割は既に崩壊し、まさに死に体とでも呼ぶべき状況になっている。
だが……さすがシャドウの母たる者にして、ニュクスという神の名を持つ者というべきか。
今のこの状況であっても、まだ生きている。
いや、それどころか俺に向けて攻撃を続けてさえいた。
それも、先程から感じる……俺の中に向けて直接攻撃してくるといった、そんな攻撃だ。
激しい……それこそ、俺が混沌精霊でなければ、頭部が破裂してもおかしくないだけの、猛烈な頭痛。
その攻撃がニュクスの断末魔に等しい攻撃であると分かっていても、俺はそれに何とか対抗するので精一杯だった。
グレートグランドマスターキーを使い、先程のラグナロクでほぼすっかからんになってしまった魔力を何とか増幅しつつ、ニュクスの攻撃に対抗する。
俺にとって最大の幸運だったのは、俺の持つスキルにSPアップ、SP回復、集中力といった、SP……つまり、魔力に関係する複合スキル、SPブーストがあった事だろう。
そしてこの場合、重要なのはSP回復がある事。
このスキルのおかげで、俺は時間が経てば経つ程にSPが回復していく。
そしてヒュドラには魔力を増幅させるグレートグランドマスターキーがある以上、時間が経てばそれだけ俺の方が有利になっていくという事でもある。
ましてや、ニュクスは身体の8割近くがほぼ消滅して、限界に近い。
そうである以上、時間が経てば経つ程に、ニュクスは死に近づいていく。
そして……今のニュクスの状況であれば、こちらからの攻撃を防ぐような真似は出来ないのは明白であり、つまり再度ラグナロク……というのは無理だが、ブラックホール・ランチャーやメガ・バスターキャノン、そしてフレイヤといった広域破壊に向いた攻撃であれば、容易にニュクスを殺せるのは間違いない。
「人の頭の中を食うような奴に……掛ける情けは、ない!」
食うと表現したが、具体的にニュクスが俺の頭の中の何を食っているのかというのは、分からない。
そもそも、食うという表現そのものが、何か明確な証拠があって言っている訳ではない。
だが、俺の中にある念動力は、間違いなく今の状況を危険だと、そう告げていた。
だからこそ……
「殺す」
『待ってくれないか』
ブラックホール・ランチャーとメガ・バスターキャノンを放とうとしたその瞬間、不意にそんな声が聞こえてくる。
誰だ? と一瞬苛立ち混じりに叫ぼうとしたが、その声の主が誰なのかをすぐに思い出す。
頭の強烈な痛みに眉を顰めながらその人物の名前を口に出す。
「何の用だ、望月」
そう、いつの間にかニーズヘッグの横にいたのは、望月。……いや、その形体はデスのものになっている以上、デスと呼ぶべきか?
宇宙空間に生身で浮かんでいるというのは、普通であれば驚くところだろうが……俺の場合は、普通に宇宙空間に出る事が出来るので、その辺りは特に驚く事もなく受け止めていた。
『取りあえず……』
短く言うと、一瞬ニーズヘッグが光り、次の瞬間には俺の中にあった強烈な頭痛は消えていた。
ニュクスが死んだのか? とも一瞬思ったが、相変わらずニュクスの姿はそこにある。
感情……というものをニュクスからは感じる事は出来ないが、それでも俺に向けて攻撃をし続けているというのは、何となく理解出来た。
つまり、デス……いや、もう敵対している訳じゃないし、この形体でも望月でいいか。望月が何らかの手段でニュクスの攻撃を遮断してくれたと、そういう事だろう。
「それで? あの攻撃を遮断してくれたのは感謝するが、どうしたんだ?」
『うん。これはお願いなんだけどね。ニュクスを殺すのを止めて……このまま眠らせて欲しいんだ』
「……眠らせる?」
正直なところ、俺は望月が何を言っているのか分からなかった。
今、この状況で……それこそ後少しでニュクスを殺せるというのに、何故その状況でわざわざ助ける必要があるのか。
「何故そんな真似をする必要がある? ここで一気に殺してしまうのが一番手っ取り早いだろ」
『そうだね。けど……ニュクスを生かしておくのは、君にも利益はあると思うよ』
「……俺に利益?」
『うん。例えば……もしここでニュクスを殺したりした場合、君の召喚獣になった刈り取る者だっけ? あのシャドウも影響を受ける可能性は高い。君との契約によって純粋なシャドウではなくなったとはいえ、ベースとなったのがシャドウであるというのは変わらないしね』
「それは……」
『それに、ニュクスの身体は本当の意味で月だ。そうである以上、このままニュクスを殺すということは、地球から月を失わせてしまうということにもなる』
言われてみれば、そうなのか?
実際、その辺りの事情を考えれば、そういう風になっていてもおかしくはない。
そうなると、ちょっと困る。困るのは事実だが……
「俺の都合だけで、ニュクスを殺せる時に殺すな、と?」
『勿論アルマー君だけの事情じゃない。月の問題は人間全てに関わってくるだろうし。それに君の仲間達が使っているペルソナも、言わばシャドウと同じような存在。表裏の関係と評した方が正確かな』
「……何?」
一瞬その言葉に戸惑うが、考えてみればそこまでおかしな話ではないのか?
実際、影時間に適性のある人間がペルソナ使いという能力を覚えるのであれば……
「つまり、ニュクスを倒せば、ペルソナ使いには何らかの影響が出るかもしれない、と?」
『どうだろうね。その辺は僕も正直なところ、しっかりと予想は出来ないんんだ。ただ……だからこそ、何らかの悪影響が出ないとも限らないし、何よりもし身体や精神に悪影響が出なくなっても、ペルソナが使えなくなるのは確実だよ』
正直、それは困る。
ペルソナという稀少な能力がなくなるのも困るが、何よりゆかりや美鶴、それ以外の面々が何らかの悪影響を受けると言われれば……正直なところ、それに頷く事は出来ない。
だが、同時にニュクスを眠らせるといった真似をする事も、あっさりと認める事は出来ない。
「だが、眠るという事は……ニュクスはいずれ目を覚ますんだろ? なら……」
『ああ、その辺は心配しなくてもいいよ。最低でも数万……いや、数億年は起きないようにするし』
「数億……」
もしそれが本当であれば、確かに望月の提案にも乗る価値はある。
勿論、俺を含めてシャドウミラーのメンバーは不老である以上、それこそ数万年だろうが、数億年だろうが、ニュクスが復活した時にまだ生きている可能性は非常に高い。
だが、同時に……このペルソナ世界の文明が数億年先まで続いているかと言われれば、それもまた素直に頷く事が出来ないのは間違いなかった。
つまり、望月の提案は俺達にとってデメリットは……少なくても、数億年先までは何もない。
だが、問題も1つ……いや、他にも多くの問題があるのかもしれないが、今はそれよりも遙かに重要な問題がある。それは……
「ニュクスを眠らせる事に、大きな利益があるのは分かった。けど、本当に数億年も眠らせる事が出来るのか?」
『そうだね。ニュクスが普通の状態……いや、蘇ったばかりの時であれば無理だったと思うよ。けど、今なら……それこそ、瀕死と言ってもいいくらいにダメージを受けている今なら大丈夫。僕が一緒に眠りについて、その辺りをコントロールするから』
「待て」
望月の言葉に、聞き逃せない内容があった。
「一緒に眠りにつくって……もしかして、お前も数億年ニュクスと一緒に眠るってのか?」
『うん、そのつもりだよ。というか、そうしないとニュクスを上手い具合に眠らせるような真似も出来ないしね。だから……どうかな?』
「……本気か? 何だってお前がそこまでする必要がある?」
『僕が僕だから……なんてのは、ちょっと格好を付けすぎかな。ただ、ニュクスが死ねば当然シャドウの僕も死ぬ事になるんだ。正直なところ、少し前までは死んでもいいと思ってたんだけどね。……ただ、アルマー君がニュクスを倒してくれた』
「倒しては、いないけどな」
『それは言葉の綾として受け止めてくれると嬉しいな。とにかくそんな訳で、例え遠い未来であっても、僕は生きられるのであれば生きていたいと思ったんだ。それに……』
一旦そこで言葉を止めた望月は、どこか照れ臭そうに、そして嬉しそうに言葉を続ける。
『湊君達が生きているこの世界を、そのまま残したいと、そういう思いがあるのは間違いないんだ。だから……お願い出来ないかな?』
正直なところ、このままニュクスを殺してしまった方が色々と綺麗さっぱり片付くのは間違いない。
だが、殺さない方が多くのメリットがあると……そう、望月に言われてしまえば、そして望月本人が自分の身を犠牲にしてニュクスを数億年の眠りにつかせるというのであれば、こっちとしてもあまり無理は出来ない。
「……分かった」
短く、それだけを言う。
だが、望月にとってはそれで十分だったのだろう。やがてデスの姿をした望月が、ニーズヘッグから離れていく。
『ありがとう。じゃあ……ばいばい』
「ばいばい、じゃない。またね、だ。お前が知ってるかどうかは分からないが、俺は不老の身だ。恐らく、ゆかりや美鶴も不老になる。他にも大勢不老の仲間はいる。だから……それこそ数億年後でも、ニュクスが眠りから目覚めたら、俺達が何とかしてやるよ」
そんな俺の言葉が意外だったのか、望月は一瞬沈黙した後で笑う。
『ふふふっ、そう言ってくれると嬉しいよ。そうだね。じゃあこれは未来まで君を待たせるということで、サービスしておこう。君の関係者や影時間に深く関わっていた人だけが、一連の記憶が残るようにしておくよ。ああ、それとこれはお礼だけど、ニュクスの破片は君達が言う黄昏の羽根だ。この宇宙空間に広がっているのを集めておけば、何かの役に立つかもね。それと影時間は今夜一杯は持つから、タルタロスの崩壊とかも心配しなくてもいいよ。……じゃあ、また数億年後に。アクセル君』
そう言い、望月は瀕死のニュクスの方に行き……やがて、黒い光とでも呼ぶべき物が眩く輝き……次の瞬間、望月とニュクスの姿はそのまま消え去るのだった。
……最後の最後に、名字じゃなくて名前で呼んでいった、か。
ふんっ、味な真似を。
そんな風に思いつつ、取りあえずスライムを使ってニュクスから放たれたシャドウを倒した際に残された黄昏の羽根とやらを集めるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:5
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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