恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第六十九話 徐庶、徐州に来るのことその六
「都にいます」
「その奥深くに」
「都というのか」
関羽が軍師二人の言葉に眉を顰めさせた。
そのうえでだ。こう言うのだった。
「では。洛陽が今ああなっているのは」
「関係があるかも知れません」
「それもその可能性は濃厚です」
「董卓殿とも関わりがあるのかもな」
「もしやと思いますが」
「怪しいのではないでしょうか」
「それではだ」
ここでだ。関羽はこんなことを言うのだった。
「洛陽に行きオロチを討つか」
「そうなのだ。そんな奴等放ってはおけないのだ」
張飛も次姉の言葉に頷く。
「今すぐ洛陽に行ってそのオロチとかをやっつけるのだ」
「あの、それはちょっと」
「難しいと思います」
孔明と鳳統は眉をひそませてそれはできないと述べた。
「舞さんも洛陽のことは完全に見られませんでした」
「オロチが何処にいるのか、実際にいるかどうかさえも」
「わかっていませんから」
「それに洛陽は今多くの兵達がいます」
鳳統がこのことを指摘した。
「彼等の相手もしなくてはいけません」
「ですから。私達だけで洛陽に入っても」
孔明もそれは駄目だと話す。
「どうにもなりません」
「ううむ、それではだ」
「どうすればいいのだ」
「待つしかない」
守矢はそれしかないと話した。
「時を待つことだ」
「それしかないか」
「今は」
こうしてだった。彼等は今は国を覆う不穏な空気に耐えるのだった。まさにだ。今はそうするしかない状況であった。そうしてだ。
話が一段落したろころでだ。リョウが一同のところに来て話してきた。
「お客さんが来たぜ」
「お客さんって?」
「ああ、小さい女の子でな」
彼はまずはユリに対して話した。
「孔明や鳳統と同じ位の背でな」
「まさか」
「その娘って」
軍師二人はここで気付いた。
「黄里ちゃん?」
「そうかしら」
「何や、その娘」
ロバートが二人の言葉に問うた。
「あんた等の知り合いかいな」
「はい、水鏡先生のところの同門の娘です」
「私達の姉妹弟子の娘です」
「あっ、その娘なのね」
劉備は二人の話から察して述べた。
「徐庶ちゃんって」
「そうなんです。その娘です」
「今来たんですね」
「それでどうするんだ?」
リョウは劉備と軍師二人に問うた。
「その娘。こっちに案内するのかい?」
「はい、御願いします」
劉備が笑顔で答えた。
「朱里ちゃんと雛里ちゃんの姉妹弟子ですから」
「だからか。わかったぜ」
リョウは微笑んで彼女のその言葉に応えた。
「じゃあ今からこっちに案内するな」
「黄里ちゃん元気かな」
「元気だといいね」
軍師二人は女の子らしい顔になって話をはじめる。
「随分会ってないけれど」
「どんな感じになってるかな」
その再会を楽しみにするのだった。そしてだ。
その徐庶が来た。彼女は。
赤い長い髪を後ろで束ねておりセーラー服を思わせる膝までの赤いリボンに黒の上着とスカートを着ている。
顔立ちは孔明や鳳統と同じく気弱な感じである。眉は細く長い。口は小さく奇麗な紅色をしている。白い顔はやや丸い。目は大きく黄色い。その少女が来たのである。
「黄里ちゃん久し振り」
「前に会った時より奇麗になったわね」
「あっ、朱里ちゃん雛里ちゃん」
徐庶は二人の姿を認めて笑顔になった。
そのうえでだ。三人で手を握り合ってだ。こう話すのだった。
「私も。二人と一緒にいたくて」
「それで来てくれたのね」
「この徐州に」
「ええ、そうなの」
その通りだというのだ。
「ずっと。袁術さんの領地にいたけれど」
「あいつには仕えなかったのだ?」
「何か。癖の強い人だから」
それでだと。張飛に答えるのだった。
「だから。仕えなかったの」
「つまり合わないと思ったのね」
「それでなのね」
「そうなの」
その通りだとだ。孔明と鳳統に答える。
「けれど。二人が徐州の劉備さんにお仕えしてるから」
「来てくれたのね」
「有り難う、来てくれて」
「うん、それで」
ここでだ。その徐庶はだ。
劉備に顔を向けてだ。おずおずとこう尋ねたのだった。
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