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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  2062話

 その声が、誰の声なのか。
 それを想像するのは難しくない。
 いや、そもそもこの辺りで関西弁を使っている人物というのは……まぁ、いない事もないんだろうが、それが影時間に動き回れるような人物で、そもそもタルタロスにいるような人物となれば、当然のように誰なのかは明らかだ。
 そして声のした方に視線を向けると、当然のようにそこにいたのは眼鏡を掛けた人物。……ジン。
 タカヤの右腕にして相棒たる男が、俺達の方を睨み付けている。
 それはいい。いや、別によくはないんだが、ジンが敵の俺達を睨み付けているのは分かるんだが……それよりも最大の問題は、何でジンがここにいるのかという事。
 ジンがタルタロスにいるのは、別に不思議でも何でもないのだが、何故俺達よりも早くこの階にやって来る事が出来たんだ?
 俺達は、影時間になって望月と話し終わってから影のゲートでタルタロスまで移動し、ターミナルを使って上まで移動し、そこからはスライムでシャドウを即座に殲滅しながら移動したのだ。
 俺達より先回りするのが不可能だと思うのだが……いや、まぁ、いい。
 今はとにかく、俺達をこれ以上先に進ませないようにしているジンを倒す必要がある。
 にしても……

「ジン、お前……自分の腕を過信していないか? お前1人で、ここにいる全員をどうにか出来ると、本当に思ってるのか?」

 混沌精霊たる俺、最強のペルソナ使いのゆかり、高い潜在能力を持つケルベロスを操るコロマル。
 S.E.E.Sでも、10年近くペルソナを使い続けている美鶴や、ペルソナチェンジという異端の能力を持つ有里を始めとした面々。
 これだけの敵を相手に、ジンが1人でどうにか出来ると判断しているのであれば、その判断力は呆れるか、笑うか……
 もしこの場にタカヤがいても、それこそどうしようもないだろう。

「はっ、そうやな。けど……ようは、この先に進ませなければええんや。なら、別に勝つ必要はないやろ」

 なるほど。逃げに徹しようとしている訳か。
 その判断は分かるが……だからといって、この人数差でそれが出来る筈もない。

「アルマー、先に行け。こいつの相手は俺がする」

 俺が何かを言うよりも前に、真田がそう告げる。

「ふんっ、アキだけに任せる訳にもいかねえな。俺もジンとは縁があるしな」
「……なら、僕も」

 荒垣、天田の2人が、真田の横にそれぞれ並ぶ。
 そんな3人の様子にどうするか一瞬迷ったが、考えてみれば俺が望月と戦う時は1対1。
 つまり、真田達にやるべき事はないのだ。
 であれば、ここでジンを任せて俺達は先に行くのが正解、か。

「分かった。なら、頼む。……だが、油断するなよ」
「ふんっ、誰に言ってるんだよ?」

 自信に満ちたその声は、真田らしいと言えるだろう。

「分かった。なら……」
「待てや、そんな勝手な事、させると思っとんのか?」

 その言葉と共に、ジンはどこからか出した手榴弾をこっちに投げてくる。
 だが……その手榴弾は、次の瞬間俺が空間倉庫から取り出したゲイ・ボルクによりあっさりと切断されながら、あらぬ方に飛んでいく。
 今更、本当に今更の話だが、手榴弾って投げられている時に斬っても問題ないのか?
 取りあえず今は爆発しなかったけど、次からは投げ返すとしよう。
 幸い俺は混沌精霊で、普通の手榴弾とかは全く意味がない。
 であれば、普通に掴んでも問題はないのだから。

「なっ!?」

 チドリの話によれば、ジンは情報収集とかを綿密にやるタイプだって聞いてるが、ゲイ・ボルグの事は知らなかったのか?
 いや、俺はタルタロスの中で普通にゲイ・ボルグを使っていたし、タルタロスの外でもイレギュラーシャドウや訓練でゲイ・ボルグを使っていた。
 そうなると、俺がゲイ・ボルグを使っていないというのは……ちょっと考えられないな。
 となると、今のような動きが出来るという事そのものが驚きだったのか。
 ともあれ、真田、荒垣、天田の3人が相手であれば、ジン1人を相手にするには十分な戦力だと言える。
 ほら、昔から正義の味方は大勢で1人をボコるのが日本の伝統だし。
 ……そう考えると、日本って結構……いや、取りあえずその辺は今は考えないようにしておこう。
 そう思いながら、俺は真田達をこの場に残して先に進む。
 後ろでジンが何やら騒いでいるが、ジンの相手は真田達に任せたので、そちらを気にする必要はない。
 そうしてタルタロスを進み、スライムを使ってシャドウを皆殺しにし、宝箱を回収していく。
 ちょっと残念なのは、この階とかにある宝箱は今日しか手に入れられないって事か。
 この階とかには、今日から入る事が出来た以上、それはしょうがないのかもしれないが。
 ただ……この階とかにあるマジックアイテムは、どれもこれもかなり高性能な代物なんだよな。
 いわゆる、ラストダンジョンだから、当然かもしれないが。
 いや、タルタロスそのものは影時間が始まってからずっとあったのを考えると、ラストダンジョンという表現は相応しくないのか?
 そんな風に思いながら、タルタロスを進み……やがて262階に到着すると……

「おや、お早いおつきで」

 ジンが下の階にいたから、ある意味予想通りではあるのだが……タカヤの姿が、そこにはあった。

「やっぱりお前もいたか」
「ええ、いつぞやの夜以来ですね」

 破滅願望を感じさせる、虚無的な笑みを浮かべながらそう告げるタカヤ。
 それでいて、いつ何か起きても対処出来るようにと準備をしているのは、やはり俺との実力差はしっかりと理解しているからだろう。

「それにしても、貴方達の行動は滑稽と言うしかありませんね」
「アルマー、ここは僕達が。3人は上に向かって欲しい」

 タカヤが何か言っていたが、有里はそれを無視して俺にそう言ってくる。
 そんな有里の行動が面白くなさそうなタカヤだったが、それでも言葉を発さずこっちの話し合いが終わるのを待つ様子は……彼我の実力差をしっかりと理解しているからだろう。
 そういう意味では、寧ろジンよりもその辺りは鋭いという事になる、のか?
 まぁ、ジンの場合はタカヤの下に行かせないという思いの方が強かったみたいだし……その辺もしょうがないのか。

「分かった。じゃあ、任せる」

 俺の言葉に頷いたのは、有里、アイギス、コロマル。
 ジンの時と同じく、3人。
 そうして、残るのは俺、ゆかり、美鶴の3人。
 もっとも、俺以外の2人は正確には戦力という訳ではなく、見届け人という意味合いの方が強いのだが。

「……ふむ、なるほど。そうきましたか。そうなると、ジンも倒した訳ではなく何人か戦力を置いてきたという事でしょうか?」

 へぇ。ジンと違って俺がここに残らなくても怒る様子はないか。
 いや、ジンが俺達を行かせないようにと考えたのは、タカヤを集団で攻撃させないようにという考えからだった筈だ。
 特に俺がどれだけの強さを持っているのかというのは、タカヤやジンは直接自分達で味わって、そして見ているのだから当然か。

「分かった。じゃあ……頼むぞ」

 出来れば、他の面々はともかくとして、有里は屋上まで連れていってやりたかった。
 デス……いや、望月は、子供の頃から有里の中にいた。
 それこそ、双子の兄弟に近いような感じなのは間違いない。
 だからこそ、俺と望月の戦いをきちんと見届けさせようと思っていたのだ。
 だが、相手がタカヤとなると、軽く見られるような相手ではない。
 本来ならこの世界の主人公たる有里の力が、必ず必要になるだろう。

「言っておきますが、私は手加減しませんよ? 今ここで彼等を置いていった結果、もう2度と出会う事が出来なくなるかもしれない。それでも、構わないと?」
「挑発をするのなら、もう少し考えるんだな。正直、お前がこの3人……いや、1人と1機と1匹か? ともあれ、有里達に勝てるとは思っていない」

 1人と1機と1匹。……うん、こうして改めて見ても、随分とアンバランスなパーティだ。
 いや、それとも、この場合は寧ろバランスがとれていると表現した方がいいのか?

「ほう。随分と自信がありますね」
「まあな。……有里、任せてもいいよな?」
「うん、大丈夫。こっちは気にしないで先に行って。……こういう時は、何て言うんだっけ? 俺を気にせず先に行け?」
「それは死亡フラグ以外のなにものでもないぞ」

 タカヤという強敵と戦おうとしているにも関わらず、有里の口には何の緊張もない。

「こんな相手、エリザベスに比べれば……」

 とか何とか口の中で呟いてるけど、エリザベスってのは誰だ?
 いや、前にも何か有里がそんな事を言ってたような気が、しないでもない。

「アイギス、有里とコロマルを頼んだ」
「任せて下さい」

 決意の籠もった笑みを浮かべ、そう告げるアイギス。
 ペルソナが進化したからか、アイギスの言葉遣いも以前とは若干違ってるんだよな。
 普通の人間らしくなったというか。

「わん! わんわん!」

 コロマルは、俺が何かを言うよりも前に吠えてくる。
 それはいいんだが、残念ながら俺にはコロマルが何を言ってるのか分からない。
 ……もっとも、それはあくまでもいつもの事であって、ここにアイギスがいる今日に限っては違う。

「コロマルさんは、私達の事は自分に任せろと言っています」

 アイギスがそうコロマルの言葉を翻訳する。
 アイギスがいれば、コロマルの言葉が理解出来て便利だよな。
 もっとも、迂闊にコロマルに愚痴を言えば、それがアイギスにも伝わるという事を意味しているのだが。

「じゃあ、任せた。ゆかり、美鶴、行くぞ」
「分かったわ」
「うむ」

 ゆかりと美鶴の2人も、俺の言葉に頷くとその場を後にする。
 当然のように、タカヤはそんな俺達に視線を向けていたが、先程口にした通り、邪魔をしてくるような事はなかった。
 タカヤにとっても、こっちの戦力が分散してくれるというのは、願ったり叶ったりといった事か。
 そのまま次の階に向かおうとしていた足を止め、ふと気になるっている事をタカヤに尋ねる。

「タカヤ、お前はこの先に何が待っているのか、知っているのか?」
「……さて、どうでしょうね。ただ、破滅と呼ぶべき存在がいるとは思ってますよ」

 笑みと共にそう告げる様子は、全くいつもと変わらない。
 この状況で表情が変わらないというのも、凄いよな。

「そうか」

 タカヤの様子を見る限りでは、素直に何かを言う様子もなかったので、これ以上は無意味だと判断する。
 そうしてその場を後にして……すぐに背後から、激しい戦闘音が聞こえてきた。
 何だか雷の音がしてきたけど、誰の攻撃なのやら。ともあれ……

「急ぐか。屋上では望月が待ってるだろうしな」

 2人にそう言うと、2人が頷き、走り出す。
 当然のように途中の階では、邪魔にならないようにスライムでシャドウを纏めて殲滅し、宝箱を回収していく。
 ……前者はともかく、後者には美鶴が若干呆れの表情を向けていたが、その辺りは特に気にしない。
 何故なら、急いでいるのは事実だが、ここはラスボス付近のダンジョンなのだ。
 つまり、ラスボス……望月やニュクスに対して有効的な武器が置かれている可能性もある。
 どこの世界でやったゲームだったかは忘れたが、ラスボスとの戦闘で最強の武器を使っても全くダメージを与える事が出来ず、それよりワンランク下の武器でなければダメージを与えられない……というのもあった。
 まぁ、この世界でそこまで露骨な事がされるとは思っていないが、それでも効果的にダメージを与えられる武器とか、そういうのが普通にある存在は考えられる。
 そんな訳で、色々とマジックアイテムを入手しているのだが……使い方の分からない物とかは、それこそ桐条グループで調査して貰わないとどうしようもないんだよな。
 ともあれ、そんな風にシャドウを鎧袖一触、宝箱を纏めて入手……とやりながら進み続け……

「おや、随分と早かったね」

 階段を上ると、唐突に屋上に出て、そんな声が周囲に響く。
 声のした方に視線を向けると、当然のようにそこにいるのは望月。
 ただし、その表情に浮かんでいるのは純粋な驚きであり、それが演技でも何でもないのは確実だった。

「急いできたからな。もっとも、そのおかげで途中にいた門番役のジンとタカヤ……って言ってもいいかどうか分からないが、そいつらは有里達に任せてきたけど」
「ふーん。……そうなんだ」

 そう言いながらも、恐らく有里を心配しているのだろうその様子は、俺の知っている望月とそう変わらない。
 だが……変わらなくても、それがデスなのは間違いなく……

「本当ならもっと色々と話したいところだけど、そうすると時間切れになってしまいそうなんだよな。だから……残念だけど、始めようか」

 悲しい笑みを浮かべつつそう言うや否や、その姿が俺の知っている望月からデスとしての望月に変わる。
 それを見て、俺は空間倉庫からゲイ・ボルグを取り出し……ゆかりと美鶴の2人を見る。

「頑張って」
「アクセルなら大丈夫だ」

 そう言いながら、2人は戦闘の邪魔にならない場所まで離れていく。
 そして、お互いに戦闘の準備が整い……

『さぁ、始めようか』

 望月ではなく、デスとしての声が周囲に響き、戦闘が始まるのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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