ドリトル先生と和歌山の海と山
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第九幕その九
「名前もいいね」
「女装もするしね」
「最後は南郷力丸」
トートーは待ってましたとばかりにこの人を出しました。
「元は海賊だったっていうね」
「五人共キャラが立ってるよね」
ホワイティは挙げられたこの五人について思いました。
「弁天小僧だけじゃなくて」
「というか凄く恰好いいよね」
ガブガブはしみじみとした口調でした。
「五人共ね」
「もう五人揃うと無敵って感じね」
ポリネシアも絶賛します。
「この人達は」
「泥棒だけれどね」
老馬もこのことはわかっています、五人男は悪い人達なのです。
「怪盗団、しかも戦っても強いからね」
「そしてその五人男の一人の由来にもだね」
「弁天様はなってるのね」
「この仏様は」
「そうなんだ、そう思うと面白いよね」
動物の皆も思うことでした。
「演劇の題材にもなってるなんてね」
「そうした仏様他にもいるけれど」
「それでもね」
「そうだね、まあ空海さん自身色々な物語に出て来るし」
この人ご自身がというのです。
「ここで祀られている弁財天もね」
「そうなっているんだね」
「空海さんみたいに」
「そういうかな」
「空海さんが先か弁財天が先かはともかくとして」
そこは今ははっきり言えない先生でした、高野山にいるとどうしても空海さんのことが第一になるからです。
「空海さんご自身もね」
「沢山の物語に出てて」
「魔を降したり人を救ったりだね」
「泉を掘り当てたり」
「本当に色々なことをしてるのね」
「この人位そうした物語がある人もいないね」
こうもお話した先生でした。
「日本ではね」
「ううん、他の国でもいるかな」
「いるにしても空海さんは凄いね」
「空海さんみたいに物語が多いとね」
「逸話も含めて」
「凄い人だよ、だから流石の弁財天もね」
日本のあちこちで人気のあるこの仏様もというのです。
「空海さん程じゃないかもね」
「というか空海さんはまた別格なんじゃないかな」
王子は考えるお顔で言いました。
「幾ら何でもね」
「物語としてもだね」
「多芸多才でね」
「しかもどれもが天才で法力も凄くてだから」
「伊達に日本の歴史上最大の天才の一人じゃないってことかな」
王子はここでも空海さんのことを思うのでした。
「レオナルド=ダ=ヴィンチさんも凄い天才だったけれど」
「空海さんもだね」
「書道に仏教に地質学にだからね」
まずはこの三つです。
「そしてその法力も桁違いだからね」
「そこまで凄いからだね」
「ダ=ヴィンチさんは魔を降したりはしてないからね」
そうした逸話はありません。
「確かに凄い人だったけれど」
「物語になる位にはだね」
「一杯出来る位はね」
そうした物語がです。
「ないからね」
「うん、それはそうだね」
「そう思うと空海さんはね」
「弁財天と比べてもなんだ」
「やっぱり違うのもね」
それもというのです。
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