レーヴァティン
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第五十五話 歌での戦いその八
「その様に」
「そうね、ではね」
「楽器を奏でそうして」
「戦っていくわ」
順一に応えつつだ、そうしてだった。
清音はまた竪琴を奏でさせた、今度は相手を眠らせる音を出した。すると剛と戦っていたバジリスクが。
眠った、剛はそのバジリスクを倒して微笑んで言った。
「有り難うね」
「こうしたことも出来るから」
「吟遊詩人は」
「ええ、だから頼りにしてね」
「そうさせてもらうね、相手が眠るとね」
そうなればと話した剛だった。
「戦いやすいからね」
「そうね、だからね」
「今はだね」
「眠りの音を出したのよ」
「術でなくても使えるんだね」
「そうよ、色々な音を奏でられるの」
相手への精神攻撃や眠らせる音だけでなくだ。
「このオルフェウスの竪琴でね」
「そうした竪琴なんだ」
「吟遊詩人自体がよ」
職業としてのことだとだ、清音は剛に話した。
「そうした音も奏でられるのよ」
「人を元気にさせるだけでなく」
「そうよ」
まさにというのだ。
「色々な音を奏でられるのよ、そしてね」
「その竪琴はだね」
「その吟遊詩人の楽器の中でもね」
「特にだね」
「この楽器は最高の楽器よ」
「オルフェウス、伝説の歌い手だからね」
ギリシア神話にその名を残している、そのギリシア神話の中でも最高の歌い手であり竪琴の演奏者であるとされている。
「そのオルフェウスの竪琴だから」
「これ以上はないまでのね」
「素晴らしい音を奏でてくれるんだね」
「そうよ」
清音は剛に答えた。
「まさにね」
「そして竪琴もあるから」
「どんな音でも奏でられるわ」
「それで戦えるんだね」
「そういうことよ、ではね」
「これからもだね」
「この戦いでも」
まだバジリスク達がいる、その彼等を見ての言葉だ。
「まだ歌っていくわ」
「わかったよ、じゃあね」
「戦いも補助も任せて」
言いつつだ、清音は今度は仲間達の力を引き出す音を奏でた。そうして仲間達を援護して戦いを有利に進めさせた。
その戦いの後でだ、久志は清音に昼食の時に言った。
「正直驚いてるぜ」
「私の戦いについて」
「ああ、そうだよ」
その通りと返した。
「強いな」
「戦う武器はなくてもね」
「それでもな、充分以上に戦えるんだな」
「ええ、それが吟遊詩人よ」
まさにというのだ。
「楽器が武器なのよ」
「そういうことだな」
「術も使えるから」
「さっきの戦いじゃ使えなくてもか」
「ええ、そちらも使えるから」
それでというのだ。
「安心してね」
「頼りにさせてもらうぜ、そっちも」
「その様にね、あとね」
「あと?」
「どうかしら、私が焼いたお魚は」
清音は久志にこちらのことを尋ねた。
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