妖精の尻尾所属の戦闘民族(旧)
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第15話 修羅場なんてなかった…なかったんだよ
前書き
投稿から1週間…結構遅れたなぁ…
仕事が月が変わってから忙しくて…、一応収まったらまた早く投稿…できればいいなぁ…(オフトゥン)
――――やっぱり恐れていたことが起きてしまった。
目の前に映るは顔を布で隠して背中に5本の杖を持つ人物と、ヘッドホンを常に付けたオレの超サイヤ人とは違って地毛の金髪をしている男が睨み合っている。
気の所為ならいいのだが、ラクサスからはオーラ的な物がこの目で見えている。魔力じゃないよね?大丈夫だよね?
一応家の外にある庭に居るから大丈夫なのだが、ラクサスも最近は腕が上がっている。だから軽く魔力放出されちゃ庭が荒れてしまうのが目に見える。
嫌だ、ナツでもよく周囲のものを壊すことはあるけどこのラクサスに比べたら可愛いもんじゃねえか。
この家を建てるのに結構金がかかったからやめてほしいのだけど。
「――ミストガン、だったかぁ?オメエは確か他には姿を現せねえシャイなヤツと踏んでいたんだがよォ…なんでレッドの所に居ンだ?ア?」
「――そうだな、暫くしたら知ることになるだろうから先に教えておこう。私とレッドはパートナーだ。共に生活するのは不自然なことではないだろう」
「…パートナーだと?」
口から言葉が出るたびに空気が重くなっていく。そして、ミストガンの言葉の真意を確かめるためか、ラクサスから目線で「本当か?」と送られてきた。
長年一緒に居るからか、大抵の意思疎通は理解できる。アイコンタクトなんて朝飯前…だったらいいなぁ。オレはラクサスの疑問を晴らすために少し出た汗を拭いて肯定と首を頷く。
「…珍しいモンだな、お前がオレ以外のやつと組むなんてよ」
ラクサスの言うとおりだ。思えばオレはあまり他のやつとチームを組まなかった。あまり気にしなかったが…。
ギルドでは自然とチームを作り、クエストに行くことがある。
理由としては自分と合った人とクエストに行って成功率と生存率を高めるためだったりでもあるが、その人と組んでこれからも良い関係を築くという方法も出たりする。
オレは他の人とクエストに行くことはあるが、ラクサスみたいに組んだりはしなかった。
大体の理由はウォーロッドさんから「できる限り実践を積んで強くなる」という理由からソロで挑み、力を上げることが最善だと思っていたのももあったが、ラクサスと組むときは遠慮は要らず、特に敵対となる組織などを共に潰すことがあって自然とパートナーみたいなことになったりした。
けれど、ラクサスが他の皆とあまり関わらないと知ったオレはチームを解散してラクサスに他の皆と交流を深めようとよく色々なやつを誘って一緒に仕事にでかけたことがあった。
…まぁ、ラクサスも強いからすぐに終わることはあれど、討伐ではないクエストじゃ頭脳系の魔道士や勘のいいヤツと行くと意外と仲良くなることは出来たことが唯一の一歩となったから成功といっちゃ成功だけど。
ラクサスが意外と皆とどう関われば良いのか困っていただけみたいで、オレの余計なお世話だった。
が、みんなはそんなラクサスによく構うやつも増えたし、心配はなくなったからよかったが――
おっといかん、過去を振り返っていたせいか少し間ができてしまった。早く答えないと
「――まぁ、オレとミストガンは目的が互いに利害一致したから手を組むことになったんだよ。今回のやつはオレの不得意分野でよ…」
「…それならオレにも頼めばいいじゃねぇか」
「それもよかったけど、ミストガンとやった方がまだ確実ってなわけで…」
「…オレよりもか?」
あ、なんか機嫌が悪くなってきたぞ?スティ、スティ…オレがスティだ。早く言葉を選んで説明の続きをしないと…。
「そういうわけじゃねえよ、ラクサスも居れば助かるけど今回は力で収まる問題じゃないんだ。だからそれを確実に成功させそうなミストガンと組むことでより良く収まるのが一番なんだ」
これで大丈夫なはず…今回ばかりは戦力的な問題じゃなく世界を救うために他にすることがある。
普通はリサーナだけ助ければいいのだが…もう大分日が経っている。リサーナがその世界で関わったことで放っておけないだろうし、何よりもジェラールから聞いた話だとこのまま続けたらいつこの世界にも影響を起こすか知らない。
――そして、ジェラールからの助けを求めらたれしな。
…ラクサスの協力も手だが、少なくとも”今ではない”。
「事が進んだ時にはラクサスの手を借りるつもりだ。だからそれまで待ってくれないか?」
オレの「協力要請は時期が来てから」の言葉にジェラールも頷く。一応事前に話したからここでこうなることは予想していたのだろう。乗ってくれてありがとう天使…ではなくジェラール。
「…そうか、なら何も言うことはねえ。詳しいことはその時にまた教えてくれるんだろ?」
ラクサスの質問にオレは「ああ、その時な」と答える。
今教えてもいいが、いつどこに聞かれるか分からない。
特に今この場にいるのは妖精の尻尾のS級魔道士。誰かがオレたちを監視している可能性もある。
妖精の尻尾の弱みを握ろうとする者も居るからか、ストーカーする人も居ないわけではない。
一応家の中にはその監視妨害の魔水晶をジェラールが付けてくれたから家では覆面を取ってくれている。ジェラール自身も「素顔を出すのはやっぱり楽でいい」と言っていたな。普段派手な動きをする時に覆面は口が見える時があるけど、大丈夫だろうか(今更)
「ならその時までに待っててやる。まぁその頃にはオレも今より強くなっているがな」
ふん、と鼻を鳴らしてこちらを上から見るラクサスにオレは笑みを浮かべて言う。
「もちろん、オレもこのままでは居ねえ、もっと腕を上げて強くなるからな?」
「それは私もだ。今のままより実力を上げるほうが身のためだからな」
オレだけではなく、ジェラールも答えた。こっちもやる気満々で師匠は嬉しい…オレがじゃないけど。
「ハッ、そうかよ。……レッド、お前はあの二人に伝えたのか?」
「ん?誰に?何が??」
「何がってお前…お前がミストガンと一緒にルームシェアしていることを、エルザとミラに言ったかって聞いてんだよ」
あっ
「お前、いつも片付けが大雑把で汚えからよくミラが世話をしに来たり――」
そうだった。思えばオレってあまり家の片付けを綺麗にしていなければ掃除あんましていなかった…。
前世でもそうだったけど…よく親が家に来て掃除をしてくれたな…。ここもマスターやラクサスが遊びに来ては一緒に綺麗にしてくれることがあった。ミラがこの事を知って定期的にここを掃除にしてくれたことを忘れていた。
…そうだ、ミラに「もう家の片付けしてくてもいい」と言っていなかった…そういやミラって今日来る日だったような…――
「――エルザがあの馬鹿二人を連れて遊びに来ることも忘れていたのか?」
そういやエルザがよくグレイとナツをオレの家に連れて風呂に入ったり、一緒にトランプしていたことを思い出した。そういやこんなことがあったなぁ…ナツは家が近いからよく来ることはあれど、エルザはよく苺ケーキなんで持ってきて一緒に試食することがあったな…。
…やべえ、ジェラールの正体バレる可能性が高くない?
チラッとジェラールを見たらなんか慌てていない。むしろオレの方を見て安心しているような―――待て、まさかオレが対策を持っているなんて思っているのだろうか…オレ持ってないんだけど。
「…伝えたとくの忘れていた…。早く報告とか誤魔化したりしねえと…」
「それがいいかもな。ミストガンのこともそうだろうが、アイツらも性別が互いに違うことを知ったら色々とマズイだろ」
「だなぁ……ん?ミストガンの性別のこと知っているのか?」
「たりめえだろ、コイツの格好、どう男だと思えやいいんだよ」
ラクサスは遠目でオレの方を見ている。ああ、そうだ…ジェラールって傍から見れば女性らしいスタイルしているもんな…身長は少し高い程度、そして下は――なんでもないです。だからブルブルと震えないでください。ミストガンサンオチツイテ。
「…まさか、レッドは私が男だと…?」
「……あれ、そこ?」
「そこじゃなかったらどこなんですか…?」
いや、女性っていやらしい目には敏感だよね?軽く胸や脚の方に目を向けたけど…そこに怒りを震えていたのではなくて?
「…少し、お話しても?」
「それは後でいいか?多分この後ミラが来るかも知れないし――あ、」
ミラの魔力が近づいてきている…だと?
「おい、ミストガン!ミラが近づいてきているから早く中に戻ってくれ!」
そもそも、ラクサスが家にオレたちがアニマを封じた時に丁度バッタリ会ったからこうなったけど、ミラはまだミストガンを会っていない。会わせるのはいいけどミストガンはなるべくギルドの皆と会わないようにしていたんだ。これで会わせようとしたら計画に支障は出るかもしれないし…それに今のミラはもう戦わせれない。から教えたりするのは今の得策ではないし、何よりもリサーナと関係のある今じゃどうも話しにくい。
とりあえず、なんとかしなくては。
「…分かりました。では先に家で待っておりますので、”話”は帰ってきてからにしますね」
「…?わかった。じゃあミラと話をしてくるー!」
「んじゃオレはミストガンと待っている。早く済ましてこい」
「おう!」
ラクサスとミストガンを二人にするのは心配はない。さっき一応ラクサスに事情を話したし、いきなりミストガンの素顔を見ようとはしないはずだから大丈夫だ。だからオレは――ミラの説得を済ますだけだ。
「…そういえば、ミラの料理の腕を試食する機会、減っちゃうなぁ…まぁギルドでやればいいか」
等と呟いてからオレはミラの所へと向かったのだった―――。
案の定、ミラから疑問の声が出た。
ちなみに後からエルフマンも来る予定だったらしい。
「なんで家に上がっちゃだめなのかしら?なにか隠しているの?」
と、ストレートで聞かれたオレは迷わず肯定して
「そうなんだよ。だからできれば他の人とかも家に入れたくなくて…」
「――それは私だけじゃなくてエルザもよね?」
「あ、うん」
等と、何故かエルザのことまで聞かれたが、なんとか納得してもらった。
しかし喋り方は本当に前と変わったから、最初はどう接したほうがいいのかと思ったが…普通に今までどおりが一番だし、今更変えても仕方ないとのことでいつもどおりだ。
ただ、リサーナの事の前よりもよく掃除してくれていたからか、やはり彼女も困惑で何を隠しているかを聞かれたが、生憎教えられないのでそこらへんは誤魔化した。嘘を吐けるよりはマシだ。
何より嘘を付いた後に痛い目に遭うのはもはやよくあることなので、マシなのはやはり嘘を吐かず、本当のことを言わないで済ます方がまだいいのは確かだろう。
…次はエルザや他の皆か。まぁ大丈夫な筈だし…、一応マスターにだけでも報告するか。全部じゃないが、エドラスのことを知っているからそこのことやジェラールとパートナーになったことも報告だな。
ミラの説得を終えたオレが家に帰ったまではいいが…何故かその後の記憶がない。
また記憶障害の可能性があるのだろうか…。
ジェラールからは申し訳なさそうな目線とラクサスからの哀れみの言葉とかもらったが、そこのところを気にしないようにした。
…気にしない、ように(ガグブル)
◆◆◆◆◆◆
X783年―――
妖精の尻尾のギルドは今日も賑やかに魔道士が集っており、誰かがまた別の誰かと酒を飲んだり、雑談していたりとそれぞれ別の事をして過ごす者もいる。そしてリクエストボートから依頼を取り仕事に行くのも当然であり――
「かかってこいやあああああ!!!!」
「てめえがかかってきやがれクソ炎!!!」
「またお前たちか!!グレイ!!ナツ!!」
「「げぇっ!?エル――ぐぽぁっ!!?」」
喧騒が止まないのも、当然である。
最近ではフィオーレ一の問題ギルドとして噂され始めている妖精の尻尾。
だが、最も力を持つギルドでもあり、仲間を大切にするギルドだ。
いつものと変わらぬ日常。
活気が溢れる場所。
「変わらねえなぁ…まぁそこは良いところだけど」
「それを見ても止めない貴方も、相変わらずよね」
カウンター席からナツとグレイの喧嘩を仲裁するエルザを見て一言を零すと、同じくカウンター席で待機しているミラから突っ込まれた。
「止めるよりも、見てるほうが面白いからなぁ…ミラもそうだろう?」
「もちろん」
オレからの問いかけにミラは本当にいい笑顔で即答する。ミラも大分変わったが、そのいい性格だけは変わらないようで…
「そういえばレッド、貴方暫く帰ってこないってマスターから聞いたのだけど…」
「うん?ああ、それか。ちょっと用事があってな」
ミラの出た疑問に答える。
用事、つもり依頼ではなくただの自身の用事だ。
ぶっちゃけ目の前にいる少女にも関係性がある。
「ちょっとそれで早く帰ってこれるかわからないしなぁ……」
帰ってこれる手段はあるが、それでも時間はかかるとジェラールから聞かされているためここに顔を出すのには難関だ。
無理矢理に次元を破れば来れるかもしれないが…分からない。次元は次元でも、いろんな次元も存在するだろうし、ここに帰ってこれることはまず不可能に近いかもしれない。
まぁ、オレの行く手段も色々デタラメだが…。
「――そう、寂しくなるわね」
そう言うミラの表情は言葉通り、寂しげに笑みを浮かべる。
寂しげな笑みは作品で見ると尊く感じることはあったり、そして次の展開で胸が躍ることはあるのだが…それが現実に――目の前の少女でされると胸が躍るのではなく、苦しくなるものだ。
「一応早く帰ってくるつもりだけど…まぁ相棒次第だからなぁ…」
最後の言葉を小さく呟いてオレは1年前から組んでいる相棒を思い浮かべる。
相方は大体ギルドに居るよりも、各地に巡ってアニマを封じ込めることに専念している。
いつもならオレも一緒に行っているのだが…相棒――ミストガンから気を遣ってもらい、少しの間休暇みたいな時間を頂いた。
だからギルドで過ごしたり、この6年の内にまだやっと完成された重力部屋で修行したりしている。
重力部屋――6年前にラクサスと共に達成したクエストで度々と重力部屋の会社は開発が進み、ついこの前に出来たのだ。
重力部屋はやはり素晴らしいと言えばいいのか、重りを付けての修行より重力を高めた部屋でのトレーニングはやりごたえがあり、まだ一段と力が上がった。
それをジェラールやラクサスと一緒に行ったり、さっきまで騒がしかったナツ達と一緒に行ったことがあった。
沢山の支援も受けて完成された重力部屋は、人気もあり様々な人たちがトレーニングしていることで人気が爆発的に上がっている。
だから予約を取らなければならないのだが――
【いえいえ!!私達の会社を救ってくれたお二方には予約などせずにいつでもご来店ください!あなた達がいなかったら私達の研究も達成できなかった可能性があったのです。あの化物を討伐してくれたおかげで自然の魔力も戻りやっと重力が完成されたからこその成功――それをしてくれたあなた達に予約させるよりも特別部屋を使っていただいた方が何よりも救いか…!!】
等など、大袈裟でありながらスゴイ感謝が伝わった。
元々この依頼はオレ個人として受けたのだからラッキーだったのだが…流石に特別扱いだと他の人たちからの評判が落ちるかもしれないので流石に断った。
ただ―――一番いい重力部屋を割引するクーボンをもらえたが。
おかげで財布事情は順調順調。
「まぁ、行くまで暫くここで過ごすからあまり寂しがらないでくれよ。土産も一応取れたら持ってくるからよ」
取れたらの話だがな。あいつも頑固なところあるから来れるかどうか…いや、妖精の尻尾の皆は頑固な所あるわ。
「とりあえず、出発前までは暇だからすることなく…ここであいつらを見ているか重力部屋でトレーニングするか今悩み所でなぁ…」
「それなら私のお買い物とか付き合ってくれるかしら?買う物が多くて困っていたのよ」
先ほどの寂しそうな表情はどこへいったのか、ニコニコと相変わらずな微笑みを浮かべて共に買い物を提案してくる。
まぁ、することはないし…当然お受けするが。
しかし、オレに頼むよりエルフマンにお願いしたほうが良いと思うが…オレに頼むってことは仕事だろう。朝から気配感じないしな。
「了解」
「それじゃあまた明日の朝、公園で待っててもらえる?すぐに行くから」
「あの公園だよな、わかった」
「おーい!ミラちゃーん!!酒ぇー!」
「ハーイ!それじゃあレッド、またあとでね」
そういって彼女はいつもどおり笑顔で注文に答え、今酒を注文したマカオたちのところへと向かった。
「お、おい…ミラちゃんの…」
「ああ、ミラちゃんがめちゃくちゃいい笑顔だったよな…」
「だよな…何かあったのか?」
その日の看板娘の笑顔はとても素敵な笑顔だったのに疑問に思った魔道士が多く、何か察した者がいたりいなかったり――
後書き
修羅場をどう描写すればいいのか…次回に持ち上げへと持っていくスタイルを使ってしまった。
さて、唐辛子は一体どこへ行くのか。そして原作開始までに戻れるか(愚問)
では、次回もよろしくおねがいします!
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