ハイスクール D×D +夜天の書(TS転生オリ主最強、アンチもあるよ?)
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第1章 これから始まる物語
第2話 はじまりは突然に
「主はやて、おはようございます」
「おはよう、シグナム」
――此の世に生まれてから、およそ17年。
この世界で生き抜くと決めてから、およそ8年。
思い返せば、色々なことがあったように思う。
具体的には、単行本5冊ぐらい。
「はやて、おはよう。お?いいにおいする」
「おはよう、ヴィータ姉。今日は、シグナムの要望に答えて和食にしてみた」
「私のためとは。かたじけない」
「はやての飯は、ギガウマだからな。毎日楽しみだぜ」
ボクの名前は、八神はやて。駒王学園2年生、ぴちぴちの17才――の皮を被ったナニカ。
前世の記憶があったり。魔法を使えたり。魔道書(しかも、ロストロギア)の持ち主だったり。悪魔と知り合いだったり――するだけで、どこにでもいる普通の女の子。
「シャマルもおはよう」
「おはようございます。はやてちゃん。いつもありがとうございます。
お礼を込めて、明日は、わたしに朝食をつくらせてください」
「やめてッ!!」
「主はやての身を害するつもりか?」
「オイ、ゼッテーヤメロ」
「――うぅ……みんな酷い」
――んなわけねえ。
何を隠そう、ボクは転生者なのだ!
しかも、転生先は、創作物の世界らしい。
・ボクは、リリカルなのはというアニメの登場人物と酷似している。
・この世界は、ハイスクールD×Dという小説に酷似していている。
以上から、前世の(オタ)知識から、ある結論を導きだした。
すなわち――
(チートTS転生オリ主ktkr!テンプレ二次創作乙!)
「湖の騎士よ。己の胸に手を当てて思い返すと良い」
「あ、リインフォースもおはよう。――ザフィーラはどこだろう」
説明しよう。
テンプレ二次創作とは、以下の流れを指す。
1. 現実で死亡
(死因は、「トラックによる轢死」が堂々の第1位)
2. 神は言う。まだ死ぬ定めではない、と。
(意訳「間違って殺しちゃった、テヘ☆」)
3. 神「異世界に転生する権利をやろう」
(意訳「寿命残っているから、お詫びに転生できるよ。やったね!」)
4.「そんな装備で大丈夫か?」「大丈夫だ、問題ない」
(意訳「転生特典くれてやる」「チート能力くれよ」)
5. 転生
(パターン1.赤ちゃんプレイで黒歴史。パターン2. 成長してから記憶覚醒)
6. チート能力使って無双乱舞
(例)原作ブレイク。ハーレム。俺TUEEEEなどなど。
「主よ。私はここにずっといたぞ」
「――ああ!ごめんごめん。わんこモードが馴染みすぎて気づかなかったよ」
「わ、わんこモード…!?」
上述した通過儀礼を経たツワモノが、「オリ主」と呼ばれる転生者である。
二次創作界では、――俗に「神様転生」「異世界転生もの」と呼ばれるジャンルとして――大勢力を築いている
「あははは!ザフィーラにぴったしじゃねえか。なあ、シグナム」
「私の口からは、何も」
「わたしは、ザフィーラを応援していますよ」
「フォローになっていないぞ。マスターも酷なことをいいなさる」
「ごめんよザフィーラ」
「む、むう。主が気になさることはない。愛称をもらえるとは、盾の守護獣の誉である」
((それはそれでどうなんだろう))
――っていう認識をボクはしている。
まあ、だいたいこんな感じである。たぶん。きっと。
つまるところ、ボクは、転生モノの例にもれず、ハイスクールD×Dという作品の世界に転生したのだろう。
ただ、そのわりには、前世のプロフィールは思い出せない――なぜか、オタ知識はある――ことは、不可解だ。
死ぬ間際の記憶も。神様とあった記憶も。どんな転生特典を頼んだのかも――全く覚えていないのである。
転生先や、転生特典を選べるパターンが主流にも関わらず、だ。
まあ、テンプレはあくまでテンプレであるから、そこまで気にする必要はないだろう。
「それじゃ、これで皆そろったね」
推測になるが、夜天の書は、転生特典で得たのではないだろうか。
それならば、説明がつく――ボクが、「八神はやて」なのも。バグが修復されているのも。無尽蔵の魔力も。
なにはともあれ。昨日、クラスメイトの兵頭一誠――彼こそが、原作主人公様である――が、他校の美人さんに、告白されたという話を聞いた。
原作に描写されていた一幕である。
つまりは――――そういうこと。
「では、いただきます」
「「「「「いただきます!」」」」」
2度目の人生。
――2回目の現世における家族。
2度目の高校生活。
――2年目の高校における新生活。
ボクは、すべてひっくるめて、いまの生活が気に入っている。
けれども、ボクの学校――駒王学園――が、原作と呼ばれる物語の舞台であり、台風の目になることを「知っている」。
だからこそ、出来る限りの準備をしてきたのだ。あの日、決意し、決断した日からずっと――待ち続けてきた。
さあ、今日もいい天気だ。学校へ行くとしよう。
「いってきます」
――――大切な家族と暮らしていくために。
◆
「とうとう『原作』とやらが始まるのですね」
わたしは、長らく破壊の権化として、次元世界に災厄をもたらしてきた。
もはや、思い返すことが億劫なほどの昔から、最悪のロストロギア「闇の書」として、恐れられてきた。
管理局と相対し、アルカンシェルに撃たれた時も、諦めの境地にいた――また同じことを繰り返すのか、と。
しかし、何の因果か、わたしは『夜天の書』として、いまここにいる。
起動したときは――マスターは殺される寸前で――混乱したものだ。
けれども、何よりも忘れ難い記憶は……
『なるほど。管制人格とは、魔道書の意思。人工知能――AIみたいなものなのかな』
――その認識でおおむね合っています。わたしは、マスターを補助するために存在ですので
『名前――そう、名前はあるの?』
――いいえ
『名前がないと不便じゃない?ボクから名前を贈りたいんだけれど……どう?』
――構いません
『――っよし!夜天の主の名において汝に新たな名を贈る。強く支えるもの、幸運の追い風、祝福のエール、リインフォース』
「――フォース。聞いているか、リインフォース」
「ん?すみません。少々物思いに耽っていました。烈火の将は何用ですか?」
「いや、かまわん。――――不安か?」
「そう見えますか?……そうなのかもしれません。マスターは、わたしにとっての全てだから」
烈火の将には、わたしの内面を見抜かれていたようです。
先頭に立ち、率いる将だからこそ、周囲のケアも万全というわけですか。
――普段の姿(バトルマニア)から、想像もつきません。
「何か失礼なことを考えていないか?」
「いいえ、気のせいですよ」
「おいおい、リインフォース。はやては、あたしたちが守る。何も心配もいらねえよ」
「うふふ、ヴィータちゃんの言う通りね。はやてちゃんに立ちふさがる障害は、わたしたちが全て排除すればいいだけの話」
「そうだ。私という盾がいる限り、主には指一本触れさせん。」
「主はやても、当初からは想像もつかないほどに強くなられた。我々は、やれるだけの準備はしてきた。過ぎた不安は、身を滅ぼすぞ?」
守護騎士たちに励まされるとは。管制人格失格ですね。
けれども、昔を知るわたしからすれば、信じられない光景です。
感情をもち、ともに笑い、苦労し、こうして励まし合う。
すべてマスターはやてが与えてくれた、幸せ。
「うむ。主はやてが我々に与えてくれた恩に、いまこそ報いるときが来たのだ」
「そうですね。マスターと私たちは、『原作』がもたらす波乱に、対抗するために必要な力をつけてきました。マスター本人も、必死に努力してこられた。だから――だからあとは、マスターのデバイスとして責務を果たすのみ」
「その通りだぜ。はやてだって、いつも通りに振る舞ってんだ。あたしたちは唯、はやての信頼に応えればいい」
鉄槌の騎士は、その姿からは想像もつかないほど、鋭い発言をすることがありますね。おかげで、迷いが晴れました。
「オイ、喧嘩売ってんのか?」
――気のせいですよ。
いまだに、マスターに姉と呼ばせている姿が、
背伸びしている子どものようで微笑ましいなど、全く思っていませんよ?
「やっぱり、喧嘩売っているだろ!?」
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