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ドリトル先生と和歌山の海と山

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第九幕その五

「そうだね」
「うん、確かにね」
「僕達もそう思うよ」
「いい名前だね」
「高野山にあるから高野だね」
「そして名前は親しみやすい感じだね」
 四郎という昔ながらの名前だというのです。
「そこもいいよね」
「いや、ここでも日本らしさが出てるね」
「ネーミングセンスにね」
「学んでいてこれは面白いと思ったよ」
 先生はこうも思ったというのです。
「日本らしくてね」
「そうだよね」
「やっぱり高野山も日本だね」
「日本の場所だね」
「それで親しみやすくてね」
「いい通称が付いてるね」
「全くだよ、それでね」 
 さらにお話した先生でした。
「ここで鐘もあってね」
「打たれるんだね」
「お寺には絶対に鐘があるけれどね」
「高野山もそれは同じで」
「そうだよ、では次は松を観に行こうね」
 次に見回る場所のこともお話した先生でした。
「そうしようね」
「松の木?」
「松の木も観るの」
「そうするの」
「そうしようね、その松は特別な松でね」
 どういった松なのかもお話する先生でした。
「やっぱり空海さん所縁なんだ」
「あれっ、じゃあその松は千数百年前からあるのかな」
 王子は空海さん所縁と聞いてすぐにこう思いました。
「空海さん所縁って」
「そうなるね」
「松ってそんなに寿命あったかな」
「その辺りはまあ言わないでね」
 先生は笑って王子にお話しました。
「そこにそうした由来があるってことで」
「深く考えないで」
「そう、それで今はね」
「空海さん所縁の場所ってことで」
「そこに行こうね」
「それじゃあね、ただね」
 ここでこのお話もした先生でした。
「皆寒くないかな」
「ああ、高野山に入ってね」
「やっぱり寒いね」
「さっきお抹茶飲んでお菓子食べてそれであったかいけれど」
「やっぱりね」
「寒いよね」
「うん、高野山は本当にね」
 先生も実感していることでした。
「寒いよね」
「高いだけあってね」
「結構以上な寒さよね」
「九度山よりもね」
「幸村さんが入らなかった場所ね」
「ここは本当に寒いわ」
「何しろ一月の平均気温が氷点下だからね」
 高野山ではそうだというのです。
「それだけにね」
「今もこんなに寒いんだ」
「和歌山の他の場所よりもずっと」
「この寒さの中で修業するのはね」
「確かに厳しいわね」
「そうだね、けれど修行するには」 
 こうも思った先生でした。
「最適の場所なのかな」
「寒い厳しい中での修行」
「それに励むからこそね」
 まさにというのです。 
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