FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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END・・・死す?
前書き
今年秋にFAIRYTAILのアニメが放送されるようですね。
今から待ちきれないです、『天使に滅LOVE』
尻冷変「「「そっちかよ!!」」」
「なんだ?今の光は・・・」
シリルたちのもとに現れたラクサスたち。そのうちの一人、スティングが辺りを照らした光にそう呟いた。
「・・・今のはジジィの妖精の法律だ」
「メェーン。術者が敵と認識した敵を倒す魔法だね」
マカロフの死を感じ取ったのか、ラクサスの表情は暗い。その彼から魔障粒子を引き受けた一夜は、ポーリュシカの治療のおかげで今では外に出て戦うことができるまで回復している。
「シリル。ギルダーツの言う通りここから離れろ」
スティングとローグは鼻がいい。彼らは探していたのである。自分たちのグラシアンを殺めた憎き敵を。
「やっぱ初恋の相手になると・・・」
「あぁ、なるほど」
「それも青春だね」
「グラシアンみたいなこと言うなスティング!!」
ちょっとからかいたくなってしまったのか、スティングがそんなことを言うとラクサスたちも反応を見せた。すると、シリルが一つ疑問点を上げる。
「あれ?グラシアンさんは一緒じゃないんですか?」
常に行動を共にしてきた三大竜の一人の姿が見えない。彼の死を知らないシリルからすれば、それは不思議に思うのも無理はない。
「グラシアンなら死んだよ。勝手に自滅して」
「!?」
そう答えたのはもちろん彼だ。その信じがたい言葉にシリルは思わず彼の方を見ると、二つの影が視界の端で動いたのに気が付いた。
「白龍の鉄拳!!」
「影竜の斬撃!!」
白き拳と黒き剣。それをティオスは軽々と弾き飛ばしてみせる。
「ふざけんじゃねぇぞ、てめぇ」
「勝手に自滅して?あいつは俺たちのために命を尽くして戦ったんだ」
自らの命と引き換えにしてでも仲間を守るために繰り出した魔法。それは非常に惜しいところまで行っていた。だが、なぜかティオスは生還を果たしてしまったのである。
「でも堕ちたよな?あいつは」
「「!!」」
「自分の命と引き換えに、それはすごいカッコいいよ。でも、それは単なる“逃げ”だ。なぜなら俺は今ここで平然と生きているのだから」
勝負の世界では結果が全てとも言える。そこに行き着くプロセスがどれだけ優秀であろうとも、結果が伴わなければ認めてもらえない。しかし、それでも彼らはグラシアンを誇りに思う。
「俺はあいつのためにも勝たなければならない」
「ここは任せろ。早く行け、シリル」
「は・・・はい!!」
先程のギルダーツの言葉を信じるのならば、自分が何か勝利へと糸口になるはず。そう思ったシリルはその場を彼らに任せて駆け出した。
「逃がすか!!」
それにいち早く反応してみせたティオス。彼は速度に定評のあるスティングの脇をあっさりとすり抜けてしまった。
「速ぇ!!」
「なんだこの速さは!?」
三大竜の二人が反応することすら許されない。その速度を保ったまま、ティオスはシリルの背後に付いていこうとした。
「そうはさせるか!!」
「!!」
その彼にスライディングしてきたのは速さの香りを吸引してほぼ同等の速度になった一夜。その足元へと攻撃をティオスは急ブレーキで回避する。
「雷竜の・・・咆哮!!」
その足が止まったタイミングをこの男は狙っていた。完全に背後を取っていたラクサスの広範囲への魔法。それは見事に敵である青年を飲み込んだ。
「邪魔だ」
強烈な一撃を受けたはずなのに、彼はそれを片手を振るって打ち消した。その目が捉えたのは、大きく距離が離れている少年。
「封印の氷地獄!!」
その足を止めようと地面を凍らせシリルを捉えようとした。
「クラッシュ!!」
だがそれも、ギルダーツの魔法により阻まれてしまう。その間に六人が彼を囲むように立ち塞がった。
「くっ・・・」
道を塞がれたせいで動けなくなったティオスはその場から離れていく少年と彼の後を付いていく猫を見送ることしかできない。自らの作戦の失敗に思わず唇を噛む。
「これでシリルにはもう追い付けない」
「お前はここで俺たちが倒してやる」
一番気合いが入っているスティングとローグ。ティオスは自分を取り囲むメンバーを見渡すと、一つため息をついた。
「10分だな」
「ああん?」
「10分ならまだあいつに追い付ける」
そう言ってフードを外すティオス。彼の真の素顔を見たことのなかったラクサスたちは、その見覚えのある顔に驚愕し、同時に戦慄した。
「まぁ、お前ら程度じゃ5分も持たないだろうがな」
唇を舐め余裕綽々の笑みを浮かべるティオス。彼は姿の見えなくなった少年を追い掛けるために、目の前の敵に標準を合わせた。
全身全霊を賭けギルドの仲間たちを守ったマカロフ。その真っ白になった彼を見てメイビスは涙を流した。
彼が生まれた日、その名前を授けたこと。その思い出がひどく胸を締め上げ、耐えきれなくなった彼女は膝をつき涙を流した。
手を合わせたまま燃え尽きたように動かないマカロフ。その彼に、エルザは正座をし深々と頭を下げる。
(私はあなたの子で幸せでした)
ギルド全体が悲しみに包まれたその時、上空から一人の少女と猫が舞い降りた。
「ウェンディ・・・シャルル・・・」
やって来たのはウェンディとシャルル。彼女たちはすでに息耐えているマカロフを見て呆然としていた。
「マスター・・・」
「間に合わなかったのね・・・」
シャルルがウェンディを連れ出した理由。それはマカロフが死ぬ未来が見えたからだ。彼を助けるためにはウェンディの治癒魔法が必要だと思い彼女を連れ出した。しかし、その余地がないほどの強い覚悟を持っていたマカロフは一瞬で燃え尽きてしまったのである。
「そんな・・・」
間に合わなかったことは決して彼女のせいではない。だが、それでも自らを責めてしまうウェンディは大粒の涙を溢した。すると、エルザが歩み寄り彼女を抱き締める。
「大丈夫・・・私がついてる」
「エルザさん・・・」
静まり返る戦場。親の残してくれた偉大なもの・・・それに気付くことができないほどに子供たちは憔悴しきっていた。
そのタイミングで、この女は現れた。
「!!全員伏せろォー!!」
危険を察知して叫ぶエルザ。それに仲間たちが反応するよりも早く、周囲に爆発が起こる。
「何?突然・・・」
訳がわからず目を点にしているシャルル。そこに降り立った緋色の絶望。
「しばらくぶりだな、エルザ」
「知り合いですか?」
「知らん。何者だ」
ウェンディの問いにうなずかないエルザ。だが、少女はあることに気が付いていた。
「この人・・・なんとなくエルザさんと似てる?」
エルザと瓜二つの神。他にも容姿やらが非常に似ており、彼女は胸騒ぎを覚えた。
「私はお前、お前は私」
意味深な言葉を放つアイリーン。その表情にウェンディは背筋を凍らせた。
「ナツの・・・弱点?」
ヨザイネの言葉に驚かされたルーシィ。ハッピーも何のことを言っているのかわからず、ただその場に立ち尽くしていた。
「えぇ。とっても単純でこれ以上ない弱点よ」
得意気な表情でそう言うヨザイネ。その声が届いているのかどうかは定かではないが、ナツは・・・いや、ENDはその動きを止めることなく攻めてくる。
「うあああああ!!」
雄叫びを上げながら攻めてくるナツ。しかし、その攻撃はヨザイネを捉えることができない。
「悪魔と化したことにより思考がなく、本能のままに動いている。つまり・・・」
黒炎による鉄拳を交わしたところで無防備になった顔面へと蹴りを入れる。それによりバランスが崩れたナツは後方に下がった。
「動きがパターン化されているということよ!!」
猛攻が止まったナツに今度は自分の番と言わんばかりに攻め立てるヨザイネ。それをナツはなす統べなく受け止めることしかできない。
「ナツ!!」
「オイラが助ける!!」
そこで見かねたハッピーが彼の救援へと飛んだ。それすらも彼女の計算の中には入っていたのかもしれない。
「弱点その2、いざという場面で味方に助けられたために起死回生の一撃を持ち合わせていない」
「!!」
ナツの腕を掴み向かってきていたハッピー目掛けて一本背負い。超速で飛んでいたハッピーはそれを交わし切れず、ナツの下敷きになってしまった。
「このヤロウ!!」
大切な仲間を押し潰したことにも気付かないほど、ナツは暴走していた。しかし、そんな彼の攻撃などヨザイネには届きもしない。
「戦闘にかけては頭脳派と聞いてたけど、それもここまで。あなたはただの猛獣となってしまったのね」
「うるせぇ!!」
至近距離からのブレス。それは回避する余裕を与えない見事な攻撃だったと言える。
「広範囲へのブレス。まぁまぁの威力ではあるわ」
だがそれをヨザイネは片手で易々と受け止めてしまった。
「そんな・・・ナツの攻撃が何も通じないの?」
ENDになってパワーアップしているだけではない。この一年間の修行で他を寄せ付けないほどの実力を手に入れたナツ。それなのに、目の前の少女には何も通用しないとなれば、驚かざるを得ない。
「一つだけいいことを教えてあげる。私ね、ドラゴンが大嫌いなの」
突然の告白に目を見開くルーシィ。彼女はナツに的確にダメージを与えながら言葉を紡いでいく。
「ドラゴンは私から大切なものを奪い去った。夫も子供もみんな・・・だから私は最後のドラゴンであるアクノロギアを倒すため、アルバレスに加入したのよ」
彼女の脳裏には目を閉じればすぐにでも大好きだった存在が浮かび上がる。それほどまでに彼女は彼らを愛していた。だが、そこでルーシィはあることに気が付いた。
「ドラゴンに奪われたって・・・あんた、いくつ?」
目の前の少女は自分と同い年・・・いや、それよりも幼い。ドラゴンが生きていたのは遥か昔・・・しかも夫や子供までいたとなると、彼女が何者なのか疑問に思ってしまうのも無理はない。
「さぁ?でも、一つだけ言えるのは・・・」
両手を空に掲げて構えるヨザイネ。そこに次第に魔力が集まっていき、大気が震え出す。
「私が人間になったのは、400年も前のことよ」
「人間に・・・なった・・・?」
ますます訳がわからないと言った表情のルーシィ。しかし、彼女の言葉がウソだとは思えなかった。それだけの強い言葉を彼女が発していたから。
「おしゃべりは終わり。あなたたちをここで葬ってあげる」
なおも高まっていく魔力。それは大地を大きく振動させ、バランスを保てずルーシィとハッピーは両手も地面についていた。
「悪しき全ての魔物よ!!我の前にひざまづくがいい!!」
さらに激しくなる揺れ。それでナツは次に何が来るのかを察知した。
「ハァッ!!」
姿勢を低くして一気に拳を振り下ろす。それは地面に突き刺さると、次第に亀裂が広がり炎の竜を飲み込もうとする。
「くっ!!」
それを感じ取っていたナツはその場から上空へと飛び上がる。間一髪で難を逃れた・・・かに思われた。
「バカね、黒き火の竜」
高々と飛び上がったナツを見て思わず嬉しそうに笑みを浮かべるヨザイネ。彼女はそんな彼に右の手のひらを向ける。
「空中じゃ動けないでしょ」
「「「!!」」」
蹴るものがない空中では攻撃を回避することができない。故に戦いではもっとも避けなければならないのだが、本能のままに動いていたナツにはそれを考えることなどできなかった。
「これで落ちなさい」
放たれたのは水の属性へと変換されたレーザー。目にも止まらぬ速さで打ち出されたそれは火竜の体に直撃した。
「がはっ・・・」
「ナツ!!」
受け身を取ることもできず地面に叩き付けられたナツ。そんな彼にルーシィが駆け寄るよりも先に、ヨザイネが彼を見下ろすように立ち塞がった。
「知ってる?トドメって死んだと思ったあとに刺すものなのよ」
「やめて!!」
ルーシィの叫びの声に彼女の手は止まらなかった。憎しみに満ちた彼女の手から放たれた魔力は青年の肉体を貫いた。
「ご・・・は・・・」
口から血を吹き出し動けなくなったナツ。ヨザイネはその姿を見てほくそ笑んだ。
「まぁまぁ楽しめたわ、ドラゴンちゃん・・・いいえ、ENDって言った方がいいのかしら?」
グッタリと地面に体を預けてピクリとも動かないナツ。それが最悪の事態を物語っているのは誰の目から見ても明らかだった。
「そんな・・・」
「ナツゥ・・・」
目から涙が止まらない二人。ヨザイネは戦意を完全に喪失している彼女たちに歩み寄ろうとしたが、何かに気付きそちらを振り向いた。
「ルーシィ!!」
「無事か!?」
向けられた視線の先から現れたのは水色の髪をした胸のふくよかな女性と銀髪の切れ長の青年。それからフードが付いたマントを羽織っている女性。
慌てた様子でルーシィとハッピーに駆け寄る三人。その後ろから現れた黒髪の青年は、倒れている桜髪のドラゴンを見つめていた。
「ナツ・・・」
親の敵であり最高の友人である友の死。それを見た彼は一体何を感じたのであろうか。
後書き
いかがだったでしょうか。
どんどん話がゴチャゴチャになっていく今回のストーリー。
犠牲者が後を断ちませんが果たしてどうなってしまうのか!?
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