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225部分:ラグナロクの光輝その七十九


ラグナロクの光輝その七十九

「もっと早くなっていれば。メーロトも死なずに済んだのにな」
「それもまた運命だったのです。彼もまた」
「わかってるさ。あいつはその運命と必死に戦ってきた」
「はい」
「それを受け止めてやるのが今俺があいつにしてやれることだな」
「そういうことになります」
「じゃあ受け止めてやるさ」
 ジークムントは顔を上げた。毅然として明るい顔になっていた。
「あいつの全てをな」
「それで宜しいかと」
「そしてだ」
 トリスタンがパルジファルに問う。
「イドゥンの技術はどうなるのだ」
「それもまた潰えます」
 それがパルジファルの答えであった。
「あの力は銀河によって災いを為すもの。ニーベルングの手に渡り竜達が生まれたことからもわかる様に」
「そうだな」
 トリスタンはその言葉に頷いた。
「あの力は本来はあってはならなかった。その為にクンドリーもまた」
「ですが貴方が今持っておられる力」
「不完全だが死者を生き返らせる力か」
「それならば使えるかと。ですがそれは」
「やはり諸刃の剣だと」
「それは常々御承知下さい。宜しいでしょうか」
「ええ、わかった」
 トリスタンはそれに頷いた。
「銀河には新たな国が生まれる」
 最後にジークフリートが言った。
「その主は私となるのか」
「そうです。ジークフリート=ヴァンフリートいえ」
 ここでパルジファルは彼の名を言い換えた。
「第五帝国初代皇帝ジークフリート=フォン=ユグドラル」
 ユグドラルとは第四帝国皇帝家の名である。彼が第四帝国最後の皇帝リェンツィ帝の子であったことからこう呼んだのである。ここにはそのままの意味があった。
「貴方こそがこの銀河を統べられるのです」
「アースとスーラの血が今交わり」
「そして全ての因果が終わる第五の帝国の主として」
「私の新しい旅がはじまるのだな」
「そうです、貴方達の旅は今新しい旅になりました」
 パルジファルは言う。
「それが今なのです」
「卿はどうするのだ?」
 六人は今度は一同でパルジファルに問うた。
「旅立つことはないのか」
「私の旅はここで終わりました」
 それが彼の言葉であった。
「ですから。ここに残ります」
「そうか」
「そのまま静かに過ごすこととなります。それが私の運命なのです」
「ではまたな」
 六人はそれに頷いた。そしてそれぞれ述べる。
「次の輪廻でまた会おう」
「そしてその時は」
「はい、その時は」
「平和な時代で、共に遊ぼうぞ」
「ええ」
 ここでパルジファルは自らの兜を外した。そこには。
 豊かな黄金色の髪に金色の目を持つ中性的な顔立ちの男がいた。それこそがパルジファルの姿なのであった。
「因果から解き放たれた世界で」
「また新しい時代を生きよう」
 七人はそう誓い合った。そしてノルンで別れた。後に心地よい流れを残して。彼等は別れたのであった。
 
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