ベル・クラネルが魔剣使いなのは間違っているだろうか
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1話
迷宮都市オラリオ。そこにはダンジョンと呼ばれる摩訶不思議な場所が存在していた。
そしてそこには数多くの下界した神々が存在し、恩恵を授かりファミリアとなった冒険者達は日夜ダンジョンの攻略を目指していた。
「ふぅ、今日は沢山魔石を手に入れられたかな…」
この少年、ベル・クラネルは英雄となるためにダンジョンへと潜っていた。
「でも、そろそろこのナイフも危ないよね。刃こぼれが酷い…」
自身が持っているナイフを見てみると所々刃が欠けてきたのだ。
「もう、戻ろう。何か問題でも起こって大怪我を負ったらエイナさんと神様からのお説教と大袈裟な手当てを受けるはめになる」
「ヴモオオオオォォォォォォォ!!」
ベルが背を向けて去ろうとしたときに奥の方からモンスターの叫び声が聞こえてきた。
「な、なんでこの階層にミノタウロスが!」
現れたのは牛の頭に人間のような体を持つモンスターにしてギルドではLv.2に分類されるミノタウロスだった。
「それにしてもなんであんなに興奮状態なんだ」
「ヴォォモオオオオォォォォォ」
「しかも僕に目を着けてきたよ……」
興奮状態のミノタウロスはそのままベルに向かって突進していった。
「もつかな?」
自身のナイフを見て、判断したいが相手は待ってはくれない。
「行くよッ!」
「ヴモォ!」
ベルは自慢の速さでミノタウロスに詰め寄り、肩に斬りかかる。
「固っ…」
「モォ!」
「ぐっ…」
ナイフで防ぐ。だが、ギルドからの支給品であるナイフはあまりの力に耐えきれず折れてしまった。
「ナイフがっ!」
ベルは焦る。武器がなければ冒険者と言えどもモンスター一体、しかも自身よりレベルが高いモンスターに勝つ方法など喉ほど無い。
(どうする。幸いこの階層には僕以外はいない。でも、神様とエイナさんにあまり使うなって…)
考えている間もミノタウロスからの猛攻は続く。
(仕方ない!事情を話せばわかってくれるはずッ!)
意を決してベルはあることをする。
「魔剣、解放 ナターシャ!」
詠唱を紡ぎ終えるとベルの手には何処からとなく現れたナイフが手に握られたいた。そう、魔法を発動したのだ。
「せいッ!」
「ヴモ?」
再び肩目掛けて斬りかかる。ミノタウロスは今度も斬れないだろうと思っていたのだろう。だが、その予想は簡単に覆させられた。
「ぉヴモォォォォォオオおおおっ!」
「次は左!」
ベルは器用にミノタウロスの肩の筋肉を斬り落とす。そして次は腕、脚とミノタウロスの行動を制限していく。
「これで終わりだぁ!」
ベルはそのまま首を切断した。するとミノタウロスは灰と石だけを残して消えたのであった。
「ふぅ、なんとかなったぁ~」
そのまま座ってしまう。本来、このような行為は命の危険などに曝されるのだがこのような浅い階層での高レベルのモンスターの出現によって周りにはモンスターの影がなくなっていたのだ。
「…すごい…」
「えっ?」
後ろを向くとそこには金髪金眼の綺麗な女性がいた。
「……」
「あっ、あの見てました?」
ベルの問に少女は首を縦に降った。
(終わった………)
これが剣姫 アイズ・ヴァレンシュタインと後に白き魔剣使いの英雄と呼ばれるベル・クラネルとの初の会合だった。
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