妖精の尻尾所属の戦闘民族(旧)
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全てが始まる前に
第12話 【驚愕の事実】
私が故郷から出て5年後だ。
長いようでいて短い年月で、過酷な日々だった。
最初は慣れない旅乗りだったし、何よりも私は下手に他人に助けを求めれる状況ではなかった。
何よりも、私と同じ存在が居るのは当然だから自身の顔を晒せない。
何故私と同じ顔の彼女が評議員なのは、下手に調べると逆にこちらから探索される可能性がある故にこっちにも下手に動けない。
今は妖精の尻尾で総長に事情を説明し、協力はしてくれた。あの方にに感謝しかない。
おかげで魔力のない身の私でも、所持系の魔道士になれた。これからも必要な力だ。総長はには頭が上がらない。
若干、故郷に似ている魔法だが全然違うというのだ。それも消費期限は魔力を通せば延びることで暫くも使えることになる。
これで、私の役目を果たすときの準備を済ませることができる。
まずはあれを封じ続けることからだ。まだ各場所に現れていると聞くから休む時間はあまりあるわけではない。それでも、私は止めない。世界を救うために。
それが私の役目であり、あの人との最期の約束。
私が小さい頃、よく遊びに来て沢山のことを教えてくれた人。
あの世界で聖獣と呼ばれている彼らとは別の力を身に宿す種族であり、唯一の生き残り。
彼は英雄だった、国民の憧れ。どんな困難さえも乗り越えていった。
だから私は、亡くなった彼の代わりに為し遂げなければならない。
危篤であったのにも関わらず、止め続けた彼の代わりに。
私は、為し遂げなければならない。
だけど…だけどこの世界の貴方に、救けを求めても、いいのでしょうか。
辛くて、心が折れそうな時に、貴方を求めてもいいのでしょうか。もし、もしまた貴方に名前を呼ばれることがあるのなら―――
私は、まだ頑張っていけるような、そんな気がするのです――――
◆◆◆◆◆◆
SIDE:レッド・パッペ
ハッピーが生まれてから4年。つまり今はX782年になっている。
あれから妖精の尻尾の名前はまた広がっていった。
例えばラクサスとエルザ、ミラはS級魔道士になり、オレとギルダーツだけだった妖精の尻尾のS級魔道士は5人になった。
ラクサスも度々と強くなっていけば、エルザとミラも同じく、更に魔法の使い方も磨き上がってきた。
『これで我がギルドの安寧は保つぞー!!』
と、マスターや皆が喜んだのは覚えている。他の皆も喜んでいる人は多かった。
普通に悔しがるやつも多かったが、恨みを持つようなやつはいなく、むしろやる気を上げてチャレンジを向ける人が多くて安心した。
前の世界じゃ妬みがあるのが普通だったというのに、この世界の皆は心優しく、何よりもこのギルドは思いやりがある。なんでこの世界に来たのかは知らないが、今更ながら来てよかったと思っている。
前までの自分とは比べようもない今の自分だが、それでも不満は多くはない。
最初はこの世界で死なないために修行したのに、今じゃ『誰にも敗けない強いやつ』になろうと修行を始めた。前ならしないはずなのに、この世界に転生(?)してからなのかどうかわからないが今じゃいい方向に行っていると、オレは信じたい。
だが、やはりどこまで行っても世界には不公平、悲しいことが起きるのだとオレは再び実感した。
――――同じ妖精の尻尾所属の魔道士、リサーナ・ストラウスの死亡届けを聞いて。
「うっ…うう…リサーナが…!!」
「…ぐすっ…」
「……リサーナ…」
「…く…そ…」
目の前の光景で、否が応でも理解させられる。仲間が――仲間の1人が死んだのだと。
前に、ラクサスが目の前に死にかけたことがあったが、あの時は偶然で助かった。
だが…リサーナは、違った。
拳から血が滲み出る。何度目だろうか、拳を血が滲むまで握りしめたのは。
もう覚えてはいない。だが、リサーナや他の皆が一緒に笑い合う姿は覚えている。
そして――もう二度とその光景を目の辺りにできない。
そして、この光景で呆然するナツとハッピー、そして悲しみで涙を流すミラとエルフマン――他の皆――
これこそ、理不尽の一つに入ることだ。
大切な家族の1人が、死んだ。
前世でオレの家族はオレがここに来る前までは元気に生きてくれたおかげでオレは悲しむようなことはなかったし、むしろ元気な姿を見せる父と母、叔父と叔母を見て安心する時があった。
だから、家族が死ぬ場面は前世と今回を入れて、初めてである。
つまり、今オレの目に流れているこの温かいものは気のせいじゃないってことになる――。
あれから数ヶ月後。
まだリサーナの死で悲しむ者が居たらそいつは仕事で紛らわせることが多かった。
だが、それに引きずる者は居た。
例えば――リサーナの姉であるミラ。
彼女の乱暴な口調、そして漢気はどこに行ったのか、もはや見る影もない程に普通の少女のように変わった。
最初は二重人格かと心配したが、彼女が変わったのは今回の反省で彼女は魔道士を引いて妖精の尻尾の看板娘の形に収まった。
もう、S級魔道士として活躍する日はないかもしれない。それ程彼女はショックを食らっている。
だがそれでも変わらずに、前に進もうとするその意志は本物だ。だから、もう心配する必要はないだろう。もし耐えられない時は爆発していいって伝えてある。だから大丈夫…なはず。
そしてオレはというと、今は色々な場所に行って調査をしている。
ギルド面のことではなく、個人でだ。
調べているのは――リサーナの亡骸だ。
ミラからはリサーナの体は魔力になって空へと消えたって聞いている。
だが、何故そこで疑問に思わなかったのか。
それはオレが異世界人だからかもしれないが、それでも解せない。
死んだ彼女の体が何故消えたのか。それを知らなければ気が済まない。
これは、リサーナが死んだことに対してに現実逃避しているわけじゃなく、真剣に前を向いて調べていることだ。
もし、彼女の体がそれでなんかの形で現れるような形になったら怖…いやダメだろ。
それに、もしかしたら彼女の体を利用するために誰かが盗んだかもしれないし――――
彼女が生きていて、どこかにいるという可能性があるかもしれない。
――――やはり現実逃避なのだろうか。ショックをもらったのはオレもそうらしい。
だが、それは他の皆も同じだ。現にも疑問に思ったやつも居たのだから。
それは―――この4年間で妖精の尻尾に入ったミストガンだった。
彼はどうやらこの現象を心当たりあるらしく、一緒に調査をしている。
っといっても、別々に行っているのだが。
因みにミストガンは今回のS級魔道士昇格試験で合格した実力者の1人だ。
試験官にはオレとラクサスで観ていたが、彼の現場判断も不安な点は少なく、そして彼の魔法も謎だが場への対処として悪くない。魔法を跳ね返すというのに感心してしまった。
そして彼の接近戦も侮るようなモノではなく、そこも極めていると思える。
彼の魔力を感じられないが、別の力は感じられる。あの化物と居た女とは別の力だが、今は仲間だし疑う必要はない。
現にもマスターは「ミストンガンは信用に足る人物」として評価がある。顔を隠しているが、マスターがそのことを良しとしているならなにかを言う必要はないのだろう。
――――今そのミストガンとマグノリア外れの森で打ち合わせをしている…のだが、
どういう訳か、目の前の彼は無言のままだ。
…いつも無言だが、今回はその無言は長い。具合でも悪いのか?
「…おい、ミストガン?どうしたんだお前…大丈夫か?」
オレの答えに彼はハッと我に返った…ええ…ぼーっとしていたのか…?もしかして本当に具合が悪いのかこいつは…
「…今回は、教えたいことがあってこの打ち合わせで呼んだわけだが」
「お、おう。なんだ?」
いきなり本題か…体調を聞く前に始めるとか…誤魔化してるわけじゃないんだよな、よな…?
「…まず貴方に問いかけたいことがある」
「え、ああ…オレが答えれることなら」
オレの返答を聞いて彼は頷いた。…オレ、あまり世間に詳しいわけじゃないし、答えれることあるか…?
「――――単刀直入に問うと、貴方はこことは別の世界があると言ったら、信じられるか?」
「―――!!」
その質問を聞いて、オレは固まった。
…それは異世界、ってことを聞いているのだろうか?…彼は、何かを知っているのか?
怪しい。彼は、顔も隠しているしその正体もオレは知らない。マスターが認めているからこそオレはそこまで深く疑うことはないが…これは、信じていいのか?
そう疑惑を持って彼を見ると、自分の目と彼の目が合う。
そして、彼の目は何時にもなく真剣だと、察する。
―――オレはチョロいと、よくラクサスにそれでからかわれることがあるが、今回は否定しにくい。
だって、彼が自分に危害を加えないってその目を見て思ってしまったのだから。
…人間は信念を持って行動すると言うが、彼にもその信念があるのということになるだろうか。
今回のリサーナの死にも、それが関わっているから協力してくれているかもしれない。
もしそうなら、利害一致と言ってもいいのだろうか。
―――なら、オレは真剣に答えさせてもらう。それが、彼に対しての答えだと信じて。
オレは顔を引き締め、真剣な顔で彼を見つめ、答える。
「―――信じられる」
「――そう、か」
オレの答えを聞いて、彼はどこか安心するように胸を下ろす――…ってあれ?彼…だよな?
そういえば、マスターって一度も彼って言ったような…あれ…?(真顔)
ついさっきの答えたときの真顔より真顔になった自身あるぞオレ。
「なら…私も貴方に話せる。私の知っていること、目的も」
そう言って彼は顔を覆う布を取り始め…あれ、青い髪だったのか…ってか長くない?いや、男でも長髪は普通に居るし。…あれ、なんか見たことある顔…そう、評議員に居るあの女と似ている…んん?
…え、え?
「え…ミストガン…お前…?」
ミストガンの素顔を見てオレは無意識に口を手で覆う。
そんなオレの動作を見て彼――否、彼女は懐かしそうな目をして答える。
「私の名前はジェラール。こことは別の平行世界の住民だった者だ」
【速報】ミストガンは男じゃなく、美少女でした。
後書き
…んん、急ぎ足で書いたからなんか複雑…休んだ分はこれで返せ、とは言われませんように。
さて、ヒロインアンケートの結果ですが、結果は…ハーレムでしたー(8888)
アンケートで協力してくれた方、ありがとうございました!!
…んん?なんか嫌な予感がブンブンするぞぉー?
あ、それとヒロインたちはアンケートで取った子たち以外は違いますから!これは変わらない。
修正 5月18日
よく考えるとエルザ、ミストガンと会ってなかったな(アッ)
…まぁ、追々、番外編にでも書こうかな…あ、いえ。
では、暫く更新が遅くなりますが…次回も宜しくおねがいします!
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