ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
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生存戦 3
前書き
今週末発売のドラゴンマガジン7月号に、ロクでなしの書き下ろしショートストーリーつきクリアファイルが付録でつくそうです。
飛空挺から生徒たちがひとりずつ迷いの森の無作為な場所に降ろされる。
今回の生存戦は、参加者ひとりひとりが勝ちを競うものではない。個人対個人ではなく、秋芳とマキシム主義ストリックランド派による個人対集団の戦いだ。
総勢三〇人をひとりで相手取らなければならない。
この三〇人という人数がくせ者だ。三人一組のユニットが一〇組み出来る算段になる。
編成される前に叩くのが常道である。
「俺は最後に降りる。みんな先に降りて、好きな相手と組めばいい」
それを、秋芳はみずから放棄した。
「東方の米つきバッタめ、アルフォネア教授のお気に入りだからといって調子に乗りやがって……」
ストリックランドと彼の教え子たちは奮起した。
なんとしても魔術戦闘で、圧倒強大な魔力で叩き潰してやると。
アウストラス山の麓に広がる迷いの森は広大だ。
そのすべてを生存戦の舞台にするわけではない。今回はそのわずかな一画。学院に近い側を生存戦のフィールドとして指定している。
派手な色に着色された【ルーン・ロープ】で仕切りをし、そこから外へ出た場合は失格となる。
気絶や降参による戦闘不能を致死判定とし、攻撃手段は魔術のみ。時間無制限の一本勝負。
そのため秋芳はあえて『今回の生存戦は魔術のみで戦う』という制約をみずからもうし出た。
さらに長期の調査などで使用する記録保持用の行動履歴水晶を身につけた。これにより体術を駆使した〝反則〟をおこなえば、その行動は記録されて明るみに出ることになる。
「《雷精よ・紫電の衝撃以て・撃ち倒せ》」
秋芳の指先から放たれた雷線が跳びかかろうとした狼の鼻先で火花を散らした。
GANッ!
野生の獣は魔術による痛みと衝撃におどろき、退散する。
「紀伊や京都の山中で熊に遭遇したことはあったが、生きた野生の狼を目にしたのははじめてだ。やはりそこいらの犬よりも大きくて迫力があるな。それに、やつらが最初に人間のどの部分を狙うのか参考になった」
狼が最初に狙うのは脛。脚をつぶして獲物の動きを封じてから首の後ろを噛む。ここをやられるとたいていの動物は即死だ。狼に襲われた人の体験談ではこの二点はほとんど共通している。腕を噛まれることも多いが、それは人がとっさに腕で防ごうとするからだ。
「本に書いてあるとおりだと我が身をもって証明できた。いい経験だ」
このように、生存戦では野生動物との対峙なども自力で乗り越えなければならない。
起伏のある丘陵や緑豊かな草原、河川や沼沢といった地形には様々な動植物が生息している。
生徒たちの生存戦の舞台に選ばれるほどなので、それほど危険な動物や凶悪な魔獣は存在しないが、それでも熊や狼といった生身の人間にとってはじゅうぶん驚異となる獣と遭遇することがあるのであなどれない。
そして、自然そのものも。
「《汚れ無き雫よ・真白き小瓶を・清きに満たせ》」
幾重にも草を重ねて作った器に汲んだ沼の水から茶褐色が抜け落ち、たちまち透明な清水となった。
【ウォーター・ピュリフィケーション】。泥水や毒物が混ざった水であっても、たちどころに不純物を取り除いて清潔な真水にすることができる。液体状であれば魔法の薬であっても相応のマナを消費すれば無害な水にすることが可能。
ただし〝この呪文〟では生物の体液に対して行使し、その生物を害することはできない。
「甘露、甘露。音羽の滝や銀河泉の名水に引けを取らない馥郁たる妙味なり」
およそ飲料水にはふさわしくない泥水を無害な飲み水に変えた魔術の結果に秋芳は大いに満足した。
生命維持に必要な水分補給。飲料水の確保もまた野外における生存戦では重要となる。
まして今回のような時間無制限の場合はなおさらだ。人がひとりで持ち運べる水と食糧の量には限度がある。現地で調達しなければならない。
【ヒート・マテリアル】で加熱することで沸かしたお湯に採取した野草を入れる。
コーカスとチャイブ。日本でいう行者ニンニクとニラである。
これらはそれぞれ有毒植物であるイヌサフランとスイセンに酷似しているため、食用にするさいは注意が必要である。山菜採りなどで、見た目が似ていて確実な判断ができない時は絶対に採取したり食べたりはしないのが鉄則だ。
秋芳は幼い頃に修めた山岳修行のさいに毒草について学び、見分けることができた。
またこの世界についての動植物に関する知識も学院で学んでいる。そうでなくては魔術師の必須スキルである錬金術など習得できない。
「ルヴァフォースはドラゴンやグリフォンが実在するファンタジー世界なんだから、俺のいた世界の動植物が存在していてもおかしくはない。中世ヨーロッパ風ファンタジー世界にじゃがいもが出てくるのはおかしいとかいう類のツッコミは野暮野暮!」
どこかのだれかにむかって意味不明な主張をしつつ、野草のスープで腹を満たした。
「鳥獣草木、百果百草。緑にあふれた山は食べ物の宝庫だな、珍しい薬草も手に入るし。それらを捕る技術と知識があれば、の話だが」
そう独語し、山ウドの塊にかじりつく。
生存戦三日目。秋芳はマキシム主義ストリックランド派の生徒を相手に兵糧攻めによる持久戦を仕掛けていた。
迷いの森に降り立った秋芳はまず【サモン・インセクト】で大量のイナゴを召喚し、周囲に放った。狙いは生徒たちの所持する食料。無数のイナゴに喰い荒らされ、彼らが所持していた三日分の食料は一瞬にして消えてしまった。
秋芳は開始早々に相手の糧道を断ち、その後は防戦一方。ひたすら身を隠して戦闘を避けている。
食料を失ったあせりと、予期せぬ攻撃に晒された怒りに駆られた生徒たちは秋芳を探すことに躍起になったが、これは秋芳の誘いであった。
野営の跡をあえて残すことで追跡者たちを迷いの森の深部に、より過酷な環境に追い込んだ。
広大な平原には大小無数の池沼が点在している。いや、沼のあいだに陸地が点在していると言ったほうが正確なのかもしれない。
わずかばかりの固い地面を探しながら進まなければならないので、そこはまるで巨大な迷路だった。
なんとか歩ける固さの地面はどこも湿っており、一歩あるくごとに水がじわりと染み出して、ひどいところでは膝まで泥に沈んでしまう。
視界を晒されたぎる葦や木々が密生していて、魔術で燃やしたり切り開きながら進まねばならないところもあった。
よどんだ沼の放つ腐敗臭は酷く、蛭や蚊にも悩まされた。
「もうダメだ。腹が減って動けねぇ……」
慣れない自然環境と飢えと渇きの前に気力と体力を失い、降参する生徒。
「き、きもち悪うゥゥゥいいいぃぃぃィィィ……ウボァーッ! お、オエーッ! ゲェーッ! お、おおうおぉぅえっ! うえっ! ヴぉおおごおおおぇえええッ! ぼふぉきゃおぇッ! うげぇェェェッッッ!! ごばぁーっ、ゲホッゲホッ……ごばぁ……おぅぇっおえぇ……ごばぁ……げほごほ……ブォッエェェエェェ……ベチャチャチャ……」
飢えに耐えかねて口にした野草の毒にあたり、大量に吐瀉する生徒。
「は、腹が痛ぇぇぇェェェ」
うんこぶりぶりブリブリぶりぶりブリブリぶりぶりブリィッッッッッ!!! プッッー!!! ブチャァァァッ!! ブフォッ! ブフォッ! ゾンギン!! ゾフッ!! キュゴガッ!! ゾザザザガギギギ!! ……ビチッビチチチチチチッ、ブチュルルル……ブチャ……プスゥ……、ブビッブピッ、ブリッ…………。……ぢゅっぢゅぅぅ、チュミチューン、ブリブリッ、ブッ、ブス~、……ブッ、ププッ、ブビッ、ブリブリッ、ブビィーッ、ブリブリブリブリ…………。
おなじく毒草に当たり、激しい腹痛と下痢に脱水症状になる生徒。
ひとり、またひとりと、リタイアする者が続出した。
そんな彼らをよそに秋芳は普段は街中では手に入らない錬金素材を入手したりと、野外実習を満喫中だ。
「さぁて、今宵の寝床はこの樹の上にするか。しかし――」
地面についた、多数の大蛇が這い回ったような跡が気になった。
「ある種の蛇は集団で狩りをしたり交尾をするそうだが……」
迷いの森は深く、広い。
奥に行けば行くほど剣呑な生物にあふれ、魔獣すら生息している。いまだに未知の動植物が発見されることもあるくらいだが、生存戦の舞台に選ばれたこの辺りは全体から見れば入り口に近い。
秋芳が下調べした限りではそのような蛇は生息していないはずであった。
そう、この三週間のあいだに秋芳はあらかじめ生存戦の場を歩き回り、地形の把握に努めた。
最低限の土地勘がなければ、潜伏してやり過ごすことはむずかしい。
ストリックランド派の生徒がひたすら戦闘訓練にいそしむなか、秋芳は生存戦の場を探索し続けていたのだ。
もちろん許可を得ての行動である。
そして相手側が戦いの場の自全調査をまったくしていないことを知り、あきれてしまった。
戦いを地図の上でしか考えていない。
実に愚かで危険な考えだ。
レザリア王国との緊張が高まるなかで、このような近視眼的な思考の持ち主が軍学校としての側面も持つ魔術学院の講師として存在することに、秋芳は危惧の念を抱かずにはいられなかった。
「馬鹿な、あり得ん。こんな常識外れの……!?」
秋芳がなにか小賢しい真似をしてくるとは予想していたが、この展開はストリックランドの予想のはるか上をゆくものだった。
「戦いもせずにこそこそと逃げ回るとは、戦う意思なしと判断してやつの負けにするべきだ!」
「――これが決闘や魔導兵団戦ならば、相手に背を向けて逃げ回る行為は戦意なしと見なして彼の負けを宣告してもいいでしょう。しかし生存戦は直接戦闘能力、状況判断力、継戦能力。魔術師として力のすべてを試される。持久戦に持ち込むことは反則でもなんでもない」
初手から見て秋芳が持久戦をしかけていることは明らか。戦意がないとは見なさない。
学院内で状況を見守るストリックランド以外の講師たちはそう判断した。
「潜伏すること、潜伏している相手を発見し殲滅すること。野外でのサバイバル術も有事における魔導〝士〟に必要とされる能力だ。それとも戦争に備えたマキシム主義にはそのような教えはなかったのかな?」
「ぐぬぬ……」
「あっはっは! ま~たひとり脱落したぞ。おまえのところの生徒はひ弱だなぁ。だいたい野外活動のスキルくらい習得させておけよ。そんなのは魔導探索術の基本中の基本だろ。水や食料も確保できない青二才に生存戦なんか一〇〇年早くないか?」
「ぐぬぬぬぬぬぬ~ッ!」
伝統と格式ある学院の教育方針を否定して戦闘に偏った教えを広めるストリックランドは他の講師たちに煙たがられていた。
今回の生存戦で彼の面子が潰れることを内心望んでいる者は多い。
(一騎討ちに代表される騎士の勲、派手な攻性呪文を駆使する魔術師の力。それらにくらべて地味で軽視されがちだが補給や兵站は実際の戦争でもっとも重要となる。生存戦という極めて実戦に近い競技でそれを知らしめるため、あえてこのような戦いを選んだのだろう。思えば決闘でクレバーな戦法を使い続けたことも、カモ・アキヨシの唱える魔術の持つ可能性、汎用性を実践して衆目に理解させるため。……できるやつだ。この生徒をセリカ=アルフォネアに、あの魔女に取られたのは実に不本意だ)
どちらかといえば保守派に属するハーレイだが、実は秋芳の入学の賛成派筆頭だった。
優秀な生徒をひとりでも多く学院に入れたいと思う一方で、規則を重んじる彼は中途編入を良しとせず、来年度からの入学を唱えていた。
あわよくば自身のクラスに編入させようと。
そこにセリカの鶴の一声で秋芳の即時入学が決まり、さらには担当クラスを持たない彼女の唯一の生徒となってしまった。
優秀な生徒はみずからの傘下にしておきたいところなのだが、まんまとかすめ取られてしまったと、ハーレイは感じていた。
(我が校の伝統と格式を無視した、武辺一辺倒の下品で粗野なマキシム主義。それを一蹴し、それを蔓延させようとするグローリー=ストリックランドめが恥をかくのは痛快だが、それをセリカ=アルフォネアの手柄あつかいされるのは許しがたい! ぐぬぬ……)
「あ~、今日はもう遅いから私は帰るわ。明日の夜までには決着がついてそうだな」
講師たちにも自身の生活や明日の授業がある。緊急時でも対応できるよう夜通しで見守る者以外は離席し、あとには今回の生存戦にひときわ注目している者だけが残った。
「ええい、なにをしている。こそこそと隠れることしかできない逃げネズミなぞとっとと見つけ出して殲滅しろ! 見敵必殺! 総員特攻! 撃ちてし止まん! 飢えがなんだ、渇きがどうした! 魔導士は食わねど高楊枝、欲しがりません勝つまでは!」
真夜中の学院に叱咤激励するストリックランドの声が響く。
焼け焦げた皮に恐る恐る口を近づけ、ひと口かじると濃厚な脂身が舌をとろけさせた。
「う、美味い!」
柔らかい肉質に淡白だがしっかりとした味は牛肉に近い。ガマガエルを縦長に押し潰したようなグロテスクな見た目からは想像もつかない美味にクライス=アインツの口から称賛の声が漏れた。
「……だから言っただろう、スワンプサラマンダーは火を通せば牛みたいな味になるって」
スワンプサラマンダー。サラマンダーとあるが、幻獣や精霊に分類される火蜥蜴ではない。日本でいうオオサンショウウオの仲間だ。
「でもちょっと泥臭いわ……」
「天然物だからな」
ジャイル=ウルファートが手にしたダガーで仕止めたキラークラブを器用に解体していた。犬ほどの大きさで海水から淡水域まで幅広く棲息し、殺人蟹の名前通り危険な生き物ではあるが、身は少ないが食用になるし、殻は鍋などに使える。
脱落者が相次ぐなか、クライス、ハインケル、ジャイル、エナ、ベニアーノ、ルネリリオの六人が合流し、パーティを組んだ。
ほとんどの生徒が脱落するなか、ジャイルと合流したクライスたちは彼のサバイバル術に大いに助けられていた。
【ウォーター・ピュリフィケーション】などという地味な魔術を習得していない彼らは飲み水の確保に困難した。
目の前に大量にある沼地の水は煮沸したとしても、とてもじゃないが飲料水には適さない。
あまりにも濁っていた。
だがジャイルは池沼の水際から五メトラほど離れた場所を水面より深く掘ると比較的澄んだ水が出ることを知っていた。
そこからさらに滲み出てくる水を幾度も汲み上げると、さらに濁りがなくなる。
秋芳の世界で言う、インディアン井戸というやつだ。
彼らはアースエレメンタルを召喚して穴を掘らせ、湧き出た水を沸騰させてなんとか飲み水を入手できたし、食べていい生き物を食べやすいように調理することができた。
こんなことができたのはストリックランド派の生徒ではジャイルただひとりであった。
ジャイル=ウルファート。
二年五組の生徒で、学院内では札つきの不良として有名だ。若い身にもかかわらず多くの修羅場を潜っており、ガラも口も悪いが律儀な性格で男気がある。不良仲間から慕われ、仲間を引き連れて地下下水道の定期保守作業なども請け負っている、これまた異色の生徒だ。
「……わたし、棄権するわ。もうこんなの耐えられない」
パーティ唯一の女子であるエナ=ウーノが憔悴した顔で退場する旨を告げる。
「まぁ、シャワーも浴びられないし、女の子にはつらいだろうね。無理せずに帰ったほうがいい」
「明日の朝一番にリタイアするから、みんなも無理しないで」
「ふん、僕は最後まであきらめないぞ。エナが抜けてもまだ三人一組と二人一組が組めるんだ。見つけることができればあんなやつすぐに撃破してやる」
「…………」
「けれど意外だな、まさか君みたいなやつが今回の生存戦に参加するなんて」
「俺も意外だったぜ。おまえらみたいな坊っちゃん嬢ちゃんが三日もこんな場所で根をあげずにいたなんてな」
「……ふん!」
普段ならばこの物言いに食って掛かるところだが、水と食料を提供された恩がある。プライドの高いクライスもハインケルも強くは出なかった。
「けれど、意外というならジャイル。なんでおまえは今回の生存戦に参加したんだ? おまえはあの異邦人と決闘していないし、見る限りたいして遺恨があるとは思えないが」
「……そういう気分だっただけだ」
ジャイルはそれっきり黙して語らなかった。
嘘ではない。
ほんとうにそういう気分だっただけだ。
魔術競技祭でやわな相手とばかり思っていたルミア=ティンジェルと接戦の末に敗北。
それも気がつけばベッドの上というていたらくにジャイルの矜持はひどく傷ついた。
「胆だ、俺には胆が足りねぇ!」
胆力だけは人一倍。たとえ銃口をむけられても眉ひとつ動かさない自分が、見るからにか弱い少女に精神力勝負で敗北したことにずっとさいなまれていた。
そんな鬱々とした日々を過ごしていた時に異邦人との決闘が流行りだした。
「へっ、おもしろいやりかたするじゃねえか」
ストリックランドをはじめ多くの生徒から卑怯だの奇策だのと非難される秋芳の戦いかたはジャイルの目には痛快に映り、沈んだ気持ちを忘れさせた。
ダーティなケンカ殺法はジャイルも望むところだ。剣だろうが魔術だろうが素手だろうが、どんな手を使ってでも勝てばいい。
ハインケルの言うように、ジャイルに秋芳に対する遺恨はない。むしろ堅苦しい学院に風穴を開ける横紙破りの行動に好感を抱いているくらいだ。
そして今度は生存戦だという。
参加は自由。ただし秋芳の対戦者は総じてストリックランドからマキシム流戦闘術の教えを三週間受けること。
あやしげな教えを三週間も受けるのは気が引けたが、生存戦という大がかりな演習には惹かれた。
しかも相手は決闘に連戦連勝中の騎士爵。相手にとって不足はない。
胆を鍛える、いい機会だ。
くさくさした気持ちを忘れさせてくれる。
これが、ジャイルが生存戦に参加した理由である。
「けれども、あのジャイルにこんなワイルドライフのスキルがあったなんて、それこそ意外だったよ。いったいどこでこんなことおぼえたんだい?」
「たまに下水道のバイトをしているって聞いたことがあるけど、他にも野外活動とか――」
ベニアーノとルネリリオ。陽気なふたりの問いかけは沼から聞こえてきた叫び声にさえぎられた。
それは若い女性の悲鳴だった。
後書き
先月の映画代12000円。
ちょっと使い過ぎました。
つうか日本の映画料金は高すぎる。中国では高くても日本円にして600円だとか。
うらやましい。
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