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182部分:ラグナロクの光輝その三十六
ラグナロクの光輝その三十六
「そうですね。ですが彼はまだ権力の座を諦めてはいませんでした。優れた科学者でもある彼は錬金術により無限の富を築き上げ、そのうえで」
「アルベリヒ教を設立したのか」
「そして自らの一族も造り出しました。それがニーベルング族だったのです」
「それがだったのか」
「はい、彼等はヴァルハラ双惑の一つラインに移り」
「そこに勢力を築いたのです。そしてノルンに住み、銀河の安定を守る我々アース族と戦ってきました」
乙女達はそう述べた。
「それがニーベルング族」
「造り出された一族か」
「全ては。アリベリヒ=フォン=ニーベルングという男により」
「だがそのアルベリヒは最早生きてはいないのだろう?」
「はい」
それは言うまでもないことであった。神話の時代の話である。それで生きているならば最早人間ではない。まさしく神、若しくは魔神であろう。
「しかしその心は残っています」
「ニーベルングに」
「この祭壇の奥にいる男こそ。ニーベルングの象徴」
「では」
「はい、全ての謎がそこにあります」
「そうだな。しかし」
六人の戦士達はここで身構えた。それぞれの手にビームサーベルやビームライフルを取り出す。
「来たぞ」
「ベルセルクが」
前から、左右から、そして後ろから。黒と銀の軍服に身を包んだ者達が姿を現わした。そこには男も女もいた。だが一様に異様な気を放っているのは同じであった。
「確かにな、この連中は他の者達とは違う」
七人もそれを感じていた。
「ニーベルング族、しかもかなり強いコントロールを受けている」
「これは。本当に厄介な相手になりそうだな」
「御安心下さい」
だがここでワルキューレ達が前に出て来た。
「!?」
「まさか」
「はい、ここは」
「私達が引き受けます」
「貴方達は。今のうちのニーベルングのところへ」
「馬鹿な、そんなことは」
だが七人はそれを受け入れようとはしない。
「ここまで来たら最後まで」
「いえ」
だがそんな六人をパルジファルが制止した。そのうえでワルキューレ達に対して言う。
「では。お任せして宜しいですか」
「はい」
九人の戦乙女達はそれに応えた。満足そうに頷く。
「お任せ下さい」
「後で行きますので」
「わかりました。それでは」
「いいのか、総帥」
「数が違い過ぎる、彼女達だけでは」
見ればベルセルク達は優に五十人以上いる。九人では分が悪いどころではない。只でさせ劣勢だというのに。彼等が眉を顰めるのも当然であった。冷静なヴァルターやトリスタンでさえもそうであった。
「いえ、ここは彼女達を信じましょう」
それでもあえてパルジファルはこう言った。
「それが。彼女達の戦いなのですから」
「戦いか」
「そうです、そして私達の戦いも」
「祭壇に」
「そうです、そこにニーベルングがいるならば」
「よし」
七人はここはワルキューレに任せて前に進んだ。その前にもベルセルク達が現われるがそれは僅かな数であり、しかもまばらに出るだけだったので退けることが出来た。そして遂にはクリングゾルのいる祭壇にまで迫ったのであった。
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