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ロボスの娘で行ってみよう!

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第39話 ルビンスキーのお遊び?


ラインハルトに負けません 仕事が忙しくて中々書けません、此方が書けましたグタグタかもしれません。
相変わらず神経痛が進行中。また風邪気味に。


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第39話 ルビンスキーのお遊び?

宇宙暦792年 帝国暦483年 8月24日

■フェザーン自治領 イリス・コングレス・ホテル

帝国と同盟の捕虜交換会議は8月24日からフェザーン自治領イリス・コングレス・ホテルで始まった。帝国は本来同盟を認めていないために原則非公開で会談が行われているが、フェザーン自治政府側の盗聴盗撮が行われているのは自明の理であった。

帝国側は国務省次官ゲルラッハ子爵と軍務省次官ルーデンドルフ大将とオブザーバーとして高等弁務官レムシャイド伯爵が、同盟側は当初国務委員長兼副議長のサンフォードが自らの票をUPさせるために参加を表明したが、議決を棄権した者には代表を任せられないと議長の指示により、レベロ財政委員長とカスター国防委員長とオブザーバーにベルティーニ高等弁務官が参加した。

3日間の会談で当初の帝国案をたたき台としてほぼ決まりかけていたが、付加事項としてレベロの出した提案に帝国側からうめき声が上がった。

「当方で抑留している、貴族の方々は、其方では平民に比べようがない高貴な方々ですな」
「それがどうしたのかね」
「いえ、当方の農奴と成ってる市民1人と高貴な貴族御1人の交換では、貴族の矜持が保たれないのではありませんか」

「と申しますと」
「いえ、貴族の方との交換レートを変えて頂きたいかと、農奴と同率では貴族の沽券に係わるかと」
「そうきますか」

その後も帝国と同盟の代表者同士の腹の探り合いが続いた。
その後、当初の305万人強の交換に足して、全貴族317名を帰国させる代わりに以前拉致され農奴とされていた同盟市民4万人ほどが帰国を許されることになった。

捕虜交換は宇宙暦792年 帝国暦483年11月25日にフェザーンの中立宙域で交換する事も決まった。

8月27日調印が行われたが、あくまで国家間ではなく、当初の通り皇帝陛下の慈悲であると調印文章にも確りと明記された。レベロも捕虜と拉致市民の帰国が出来るのであれば、メンツを敢えて捨てることも辞さなかった。

カスターは自分のリベートの事しか考えていないために、フェザーン業者との会合を重要視していた為に殆ど何も言わなかった。ベルティーニは自分のメンツが潰れるとレベロに対して妨害工作を行おうとしたが、議長命令で動けずにレベロを逆恨みしたのである。

調印が終わり、レベロとカスターは帰国したが、ベルティーニはその後捕虜交換の足を引っ張ろうと画策したが、諜報部により探知された挙げ句に本国帰還を命じられて、高等弁務官を免じられ地方の行政府へと左遷される嵌めになったのである。政府としては、それだけ捕虜交換が大事だった訳である。

調印成功の連絡を受けた同盟政府は、レベロ達が9月20日に帰還する前から、フェザーン自治領に尤も近い無人のガンタルヴァ星系惑星ウルヴァーシーに臨時の収容施設を作り、捕虜交換名簿の基づいて順次捕虜の移送を開始していた。

此は、政府が出来るならクリスマスに捕虜を家に帰還させれば、感動的で劇的な効果により支持率UPが見込まれるために考えたものであるが、その場合異分子《スパイ》の流入を防止するためにも、無人星系で一気にスパイチェックなどを行うようにと、統合作戦本部からの提案を実行するためであった。



帝国暦483年8月28日

■フェザーン自治領 自治領主オフィス  アドリアン・ルビンスキー

「帝国と同盟の捕虜交換は当フェザーン回廊にて11月25日に行われると帝国、同盟両者から連絡が有りました」
「そうか、精々高く安全航行料を吹っかけてやるのだ」
「はい」

ボルテック補佐官の報告を聞きながら、ルビンスキーは考えていた。
帝国と同盟の捕虜交換で和平が来るとは思わんことだな。マンフリート2世やワレンコフの様になるのがオチだからな、今回の交換はあくまで一時の休憩に過ぎん、またすぐに我らが火を付けるだけだ。

「自治領主閣下、レベロ、シトレのブレインですが、調べた結果、士官学校卒業以来ヤン・ウェンリー中佐とマルコム・ワイドボーン中佐が非常に重要なときに必ず使われているとの事です」
「やはりエル・ファシルの英雄か」

「ヤン・ウェンリーとマルコム・ワイドボーンは士官学校の同期で親しい間柄だそうです。卒業以来ヤン・ウェンリーは宇宙艦隊参謀職を歴任しています。又マルコム・ワイドボーンは統合作戦本部作戦課を歴任しています、更に両者はシトレ・ロボス体制後は宇宙艦隊作戦課兼統合作戦本部長作戦課を兼任しています」

「なるほど、両者が一番臭い人材と言う訳か」
「同じ役職に就いているのは、リーファ・ロボス中佐が居ます」
「ほう名前からするとロボスの家族か」

「ロボスの長女にあたります」
「それはどの様な人物なのだ?」

「士官学校では、第三席ですが論文をヤン・ウェンリーに代筆して貰い、さらにシトレ、ロボスの両校長に下駄を履かして貰いながら卒業したようです、さらに卒業後は親のコネで作戦課で日がな一日歴史書を読みながら財テク計算をしているようです」

「ふむ。その様な者を置いておくほどシトレは耄碌していないだろう」
「いえ、シトレに負い目が有りまして」
「その負い目とは?」

「エル・ファシルの際にシトレの目の前で乱心した部下がリーファ・ロボス候補生を殴り、意識不明の重傷を負わせ、一生残る傷が出来たそうです、それ以来シトレはロボスに謝り続けたようです」
「娘の顔に傷か、なるほどな」

「その娘が本年10月10日に結婚式をあげるようです」
「ほう、宇宙艦隊司令長官令嬢の結婚式では相当な人物が参列するな」
「間違いなく」

ふむ。娘の門出で痛手を浴びせる、面白いかも知れんが、俺としては気が進まんが、ヤン・ウェンリーとマルコム・ワイドボーンか、此からの俺の野望に障害になるやもしれん、しかし利用可能かどうかだ。少し仕掛けてみるのも面白いかも知れない。それならば似非参謀使うか、どうするかだ。

ルビンスキーよ面白いではないか此こそお前の求めているモノだ。


ボルテックとの会話の後ルビンスキーは私邸の奥まった一室に座っていた。
窓のないその部屋は厚い鉛の壁に囲まれて密閉されており、空間そのものが極性化されている。
コンソールのピンクのスイッチを入れると、通信装置が作動した。

「私です。お答え下さい」
「私とはどの私だ?」
宇宙の彼方三千光年から送られて来た返答は、この上なく尊大だった。

「フェザーンの自治領主、ルビンスキーです。総大主教猊下にはご機嫌麗しくあられましょうか」
ルビンスキーとは思えないほどの腰の低さである。
「機嫌の良い理由はあるまい・・・・・我が地球は未だ正当な地位を回復してはおらぬ。地球がすぐる昔のように、全ての人類に崇拝される日まで、我が心は晴れぬ」

「ルビンスキーよ、帝国と同盟が捕虜交換を行うと」
「はっ、猊下」
「それを壊せとは言わん、フェザーンが潰れては元も子もないからな」

「はっ」
「ルビンスキー」
「はっ・・・」

「裏切るなよ」
「此は思いもかけぬ事を仰います」
「なら良い、その殊勝さが、汝自身をまもるであろう」

定時連絡を終えたルビンスキーは、大理石のテラスにたたずんで星空を見上げた。
「さて誰が勝ち残るかな。帝国か、同盟か、地球か・・・・・・それとも俺か・・・・・」


宇宙暦792年 9月1日

■自由惑星同盟 首都星ハイネセン    軍病院分室精神科

アンドリュー・フォークは精神科に入院していた、彼は既に私はまともだと言い続けているが、担当医は未だ未だだと退院を許してくれなかった。今日からベテランの看護婦が急病で代わりに新人の看護婦が担当に付いていた。

夜中の十二時を過ぎると、看護婦が点滴を交換していった、暫くするとフォークは眠りに着いていった。夜中の二時過ぎに看護婦が巡回に来ると耳元でフォークに何か囁いていた。しかしそれも言葉を聞いた者を誰もいない、いったい何を囁いているのか不明であった。

一ヶ月間その行為は続き、急病の看護婦が復帰するとその新人看護婦は別の病院へと移動していった。その頃にはフォークの病状も劇的に改善され、数日中にも自宅養生に移れるとの診断結果が出たのである。10月9日フォークは無事精神科を退院した後、数ヶ月ぶりに自宅へ帰宅しそこでそのまま翌日まで眠るのであった。
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初めての予告 

一発の銃声が人生を変えた、人々の悲しみの中リーファは走る。

次回『流血のウェディング』Not even justice, I want to get truth 真実は見えるか




 
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