天体の観測者 - 凍結 -
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どうやらあれが|覇龍《ジャガーノート・ドライブ》のようですよ
前書き
今日は投稿頑張るぞい
連続の連続に次ぐ、連続投稿です
チカレタ…、出し切ったぜ…
ではどうぞ
全ての始まりにして終焉を意味する呪詛とも呼ぶべき言葉が周囲一体に響き渡る。
『我、目覚めるは
覇の理に全てを奪われし二天龍なり
無限を妬み、夢幻を想う
我、白き龍の覇道を極め
汝を無垢の極限へと誘おう!!!』
その言葉を吐くは今宵の白龍皇であるヴァ―リ・ルシファー。
過去、現在、そして未来永劫においても最強と呼ぶに相応しい白龍皇だ。
身体から白銀の輝きを放ち、今此処でニ天龍の一角と評されたアルビオンの力を解き放つ。
その身を包み込む龍を模した白銀の鎧はより強固に、より巨大なものへと変貌していく。
禁手とは比較にもならない程の圧倒的な存在感を放ち、アルビオンの力をその身に凝縮させていく。
誰もが目を離せない。
否、目を離せなかった。
瞬く間に超越者とも呼ぶに相応しい存在へと変貌したヴァ―リの力そのものに。
だが、ただ一人ウィスだけは変わらず目の前のヴァーリを表情を変えることなく見据えていた。
ウィスとヴァーリの周囲には暴風が吹き荒れ、大気にその強大な力が波及しながらその猛威を増していく。
大地は大きく震え、周囲の岩石さえも吹き飛ばす。
そして遂にヴァ―リ・ルシファーは覇龍を発動させた。
『覇龍!!!』
顕現するは全盛期のニ天龍の一角であるアルビオンの力を一時的に支配したヴァ―リ・ルシファー。
白銀の粒子が周囲に飛散し、周囲を圧倒し、その輝きを確かなものにしている。
『…。』
覇龍へと至ったヴァ―リは眼前のウィスへと静かに歩み寄る。
ウィスは今なお無言の状態で佇んでいる。
「やれやれ、ヴァ―リの奴…。まさか覇龍まであのウィスって奴に見せるとは…。」
肩をすくめながらアザゼルは嘆息する。
そこまでする必要があるのかと言わんばかりに。
「…いいえ、アザゼル。白龍皇である彼の判断は正しいわ。」
リアスは苦言を申し立てる。
「そうですわね。むしろそれでも足りないくらいですわ。」
「あの人を常識で測ることは愚かなことだからね。」
「例え相手が誰であろうとウィスさんが負けるイメージが湧かないんだよな…。」
「一誠の言う通りだな。むしろ白龍皇がウィスの圧倒的な力を見せつけるための踏み台になるのではないかと私は心配している。」
「ウィスさんは絶対に負けない存在…です…。」
ウィスを全面擁護するはリアスの眷属達。
皆一様にウィスの勝利を確信しているかのような口振りだ。
そう、彼女達は身をもって知っているのだ。
ウィスの強さを、実力を。
ウィスが例え白龍皇であろうとも負けるはずがないと彼女達は確信している。
「そうは言っても油断は禁物だぜ?何せ相手は覇龍へと至ったヴァ―リだ。足元をすくわれることだって万が一にも…」
アザゼルはそんなリアス達の言葉を否定しようとするも口を閉ざしてしまう。
彼女達のウィスに対する絶対的な信頼に圧されてしまったからだ。
「たく…、こんなの俺のキャラじゃないんだがな…。」
アザゼルはらしくもなく息子同然に思っているヴァ―リの身を切実に心配した。
『─。』
ウィスとヴァーリは向かい合う様にして対峙する。
周囲に広がる恐ろしいまでの静寂。
誰もが言葉を発せない。
眼前の両者の闘いの行く末を案じるが故に。
次の瞬間、周囲に破門状の衝撃波が波及した。
『ハァ!!』
覇龍と化したその剛腕でヴァ―リはウィスへと殴り掛かる。
全盛期のアルビオンの力を有した今のヴァ―リの剛力は凄まじく、防御の姿勢を取ったウィスを瞬く間に後方の校舎へと吹き飛ばした。
『オオォォォォ───!!!』
校舎へと激突したウィスを追うようにヴァ―リは突貫し、校舎諸共ウィスを殴り付ける。
ウィスは変わらず防御の姿勢を崩さない。
両者は校舎を勢い良く突き抜け、校舎を崩壊させていく。
ウィスとヴァーリの苛烈な戦いの余波は周囲の無傷の校舎を容易く破壊し、地形を崩壊させ、地を抉り、暴風を周囲に撒き散らす。
拳と杖の攻防の押収。
周囲の地形を容易に崩壊させ、両者は地を駆け抜ける。
次の瞬間、ヴァ―リが後方へとその巨体を吹き飛ばされる。
『グッ…!?』
苦悶の声を上げながらもヴァ―リはウィスから目を離さない。
だがウィスは既に自身の眼前へと移動していた。
何…!?
続け様の凄まじい程の威力を秘めた蹴りがウィスから放たれ、ヴァ―リは地へと勢い良く墜落する。
地へと落下したヴァ―リの無防備な背中をウィスは勢い良く上空へと蹴り飛ばし、宙へと吹き飛ばされたヴァ―リを鎧諸共ウィスはその奇抜な杖で弾き飛ばした。
鎧はいとも容易く砕け散り、ヴァ―リは校舎へと吹き飛ばされ、吐血する。
『ガハッ…!?』
校舎にはクレーターが出来上がり、ヴァ―リは必死に飛びそうになる意識を繋ぎとめる。
しかしまたしても自身の眼前にはウィスの姿が。
ウィスはヴァーリの覇龍化の影響で巨大化したその巨体を難無く持ち上げ、校舎へと激しく幾度も叩き付ける。
足首を掴まれたヴァ―リは身動きが取ることができない。
何という腕力だ。
『Half Dimension!!』
「……!」
ヴァ―リから発せられた言葉と共にあらゆる物体が一時的に半減され、周囲の空間が変質する。
ウィスの力が緩んだ瞬間にヴァ―リはウィスの拘束から抜け出し、ウィスの側頭部を蹴り付ける。
だがウィスはその蹴りを左手の掌でいなし、ヴァ―リの足首を掴み取り、再び遥か遠くまで投げ飛ばす。
ウィスは即座に追撃し、拳を勢い良く振り落ろした。
大地に大規模なクレーターが出来上がり、周囲に爆風を巻き起こす。
ヴァ―リは辛うじてその一撃を回避し、後方へと大きく後退しながら強大な魔力の塊をウィスへと放った。
『ハァ──!!』
だがウィスはそれを手を振りかざすだけで掻き消し、ヴァ―リへと迫る。
宙を駆け、眼下のウィスに無数の魔力弾を打つも、ウィスはその全てを躱し、ヴァ―リの足首を掴み取り、再び眼下の地面へと墜落させた。
態勢を立て直し、宙に浮遊するウィスへと突撃するもいとも簡単にいなされ、殴り飛ばされる。
『オオォォォ───!!!』
だがそれでもヴァ―リはウィスへと突貫する。
この程度で自身の闘争心は消えはしないのだから。
ヴァ―リはその異常な闘争心で己を奮い立たせ、上空から迫るウィスと再び激突した。
両者は互いに青の軌跡を残し、空を跳び、地を駆け抜け、激しくぶつかり合う。
彼らの戦闘の波動は周囲の次元を軋ませ、この場の時空を歪めるまでに至った。
ヴァ―リの拳とウィスの杖が衝突すること幾度。
両者は地を駆け、その絶大な力を振るい合う。
結界に守られているリアス達の前さえも駆け抜け、両者はその姿を消失させ、途轍もない速度で一死攻防の遣り取りを続けた。
だが……
『カ…ハッ…!?』
校舎の瓦礫の山へとヴァ―リは殴り飛ばされ、為す術無くその身を吹き飛ばされる。
既に覇龍は解除され、鎧は全壊と言ってもいい程粉々の状態だ。
『はぁ…はぁ…。』
満身創痍の状態でヴァ―リは地面に膝を付き、過呼吸を起こす。
ヴァ―リは覇龍の代償とウィスとの攻防で受けたダメージが影響して吐血してしまっている。
「……。」
だがそれでもウィスは攻撃の手を緩めることはない。
地面に両手を付くヴァ―リの襟元を掴み上げ、強制的に立ち上がらせる。
「……終わりです。」
繰り出されるは左手の掌による掌底。
『ガッ…ハッ…!?』
そしてウィスは吐血したヴァ―リを気功波を放つことで周囲の校舎の瓦礫諸共吹き飛ばした。
ウィスはもう用はないとばかりにヴァ―リに背を向け、その場から立ち去ろうとする。
誰の目に見てもこの勝負、ウィスの勝利であった。
だが……
『……ケホッ、ゲホッ!…はぁ、はぁ、何処に行くんだ?』
『勝負は、まだ付いてはいない、はずだ……!』
身体から止めどなく流血しながらもヴァ―リは立ち上がる。
既に禁手が解除されているにも関わらず。
「……。」
ウィスは再びヴァ―リへと向き直る。
『オォォォ───!!』
既に限界であるのも関わらずヴァ―リは天高く叫び、己の力を奮い立たせた。
顕現するは白銀の鎧である白龍皇の光翼 。
白龍皇の禁手である。
だが覇龍でさえ太刀打ちできなかったウィスに対してそれは愚行だと言わざるを得ない。
そのことはヴァ―リ自身誰よりも理解していた。
現状の自分ではどうあがいてもウィスには敵わないことを。
だがそれでもヴァ―リはウィスへと挑み続ける。
それが自身の信念に他ならないのだから。
ウィスはヴァ―リのその果敢な姿に英雄の可能性を見た。
ならば此方も相応の力で応えるのが礼儀というもの。
『ハァァァァ───!!』
ヴァ―リはその満身創痍の状態で突撃してくる。
「ハァ!!」
途端、ウィスの紅玉の瞳が光り、神速のラッシュがヴァ―リへと叩き込まれた。
五臓六腑に染み渡る痛みをその身に受けたヴァ―リは為す術無く吹き飛んでいく。
その威力は凄まじく、周囲の全てを巻き込み、ヴァ―リの姿を消失させた。
『……。』
今度こそヴァ―リが立ち上がることはない。
だがウィスはそんなヴァ―リの姿を尊敬していた。
その無謀でありながらも格上に果敢に挑む英雄性に。
「何なのですか、今のは…?」
「うーむ、恐らく、神速のラッシュをあの白龍皇の小僧に無数に放ったのじゃ。あの一瞬でな。」
「サーゼクス、見えましたか?」
「いや、私も見えなかったよ。」
「おいおい、まいったぜ、こりゃ。圧倒的過ぎるだろ、あいつ。」
背後のサーゼクス達が何か言っているが、ウィスにとっては関係はなかった。
何故なら今から時を巻き戻すのだから。
これでヴァ―リの宣戦布告を受け、彼の求めに応じたことになるだろう。
それに良い運動にもなった。
遇には自分も戦わなければ勘が鈍ってしまうというものだ。
ウィスは地面に杖を二度打ち鳴らす。
途端、周囲の景色が巻き戻り、3分前へと遡っていく。
時間が巻き戻されたことにこの場の誰も気付くことはない。
「白龍皇、なかなか愉しかったですよ、貴方との闘いは。」
それでは3分前まで、さようなら。
─こうしてウィスとヴァーリの両者の闘いは誰の記憶に残ることもなく終結した─
─リンク95%─
─残り5%─
後書き
はい、案の定ヴァ―リ君フルボッコです(笑)
相手にすらなりません
感想・評価待ってます
私に執筆の意欲と元気を───!!
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