| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

獣篇Ⅲ

作者:Gabriella
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

23 同音異義語は厄介である。

タバコの紫煙を燻らすお登勢。

_「まんまと踊らされたねェ。あんたらしくもない。どうしたんだィ?華蛇のやつ、アンタの力を利用して、商売に邪魔な次郎長を消したいだけだよォ。」

_「アタシは、この町で仲間と平和に暮らしがしたいだけだよォ。その為ならワルツでもタコ躍りでも踊ってやるよォ。」

_「ヤツが居なくなりゃァ、この町ァ綺麗になるってェ?例えそうだとしても、アタシゃそんな小綺麗なだけの町、好きになれないねェ。」

_「さすがはゴミ婆ァだァ。あっちのゴミとも古いらしいじゃないかァ。」

_「10年以上口訊いてない。悪さばかりしてる爺が死のうが、何も変わりゃしないよォ。ただァ、…

どうにもタイミングが良すぎるんだよ。」



そろそろ銀時が危ない頃だろう。
編笠を被って平子のところにワープした。

物陰に隠れて、状況を伺う。
銀時がポリバケツにコンクリ詰めになっていた。


_「…にそないなこと言うたるなやァ。知っとるでェ?一緒に親父きに赤い花咲かせる約束したんやろォ?」

_「ッ!?なぜそれを…?」

_「兄貴に教えたりィなァ、平子はん?赤い花言うとるはホンマは何か。」

_「ぴ、平子ちゃ…ん?あ、あの…ひょっとして君…」

_「兄貴ィ…わしの親父きは、次郎長と元は親戚。古くは友人だったんです。幼い頃からァ、よく聞かされましたぁ。…妻を捨て子を捨て、その妻の実家さえ商売道具敵と潰す。挙げ句こんな所でオカマやら婆ァやらと下らない争いを繰り広げている…ワシは、その頃の次郎長ともう一度会いたいんですぅ。もう一度、天下を取らせてやりたくて。男は…きれいなお花を親父に咲かせてあげたいんですぅ。」

_「え?何言ってんのォ?この()。意味分かんないんだけどォ。えェ?…えェェェッ!?」


ごめん、銀時…私はあなたを売ってしまったの…


_「そういうことやァ。平子はん?いや、お嬢はァ…次郎長の娘じゃぁッ!正確に言うと、昔離縁して実家に帰った姐さんが産んだ娘。」

_「ふざけろよォォッ!お、親父に天辺かよッ…って復讐っていう全く真逆の願望じゃねェかァァッ!」

_「最初から言ってるじゃないですかぁ。お花を飾りに来た、って。」

_「オレを日本一の大親分にするとか言ってたじゃねェかッ!次郎長と喧嘩させて喜んでただろうがァッ!」

_「ヤクザってのは、喧嘩負かした人を傘下に取り込み大きくなるんですぅ。かぶき町最強の男が入れば、親分も天下が取れますぅ。兄貴が大親分になれば、親父は大大親分ですぅ。」

_「お嬢、例の件、なったようでィ。」


_「兄貴ィ、これより次郎長一家は動き出します。何をしたか、分かりますかぁ?無法の町に決まりを作りましたぁ。これからこの町で暴れた人は、四天王の勢力に根絶やしにされますぅ。まず最初に崩れる核はぁ、か弱い女の子のために、次郎長一家に喧嘩を売った兄貴の親分、お登勢。」

!!

_「…になるかはぁ、兄貴次第ですぅ。ワシらの傘下に入ってください。さもなくば、兄貴はここで海に沈み、お登勢はかぶき町中から狙われることになりまぁーす。」

_「…オイ、脅してるつもりかもしれねェが、この状況でオレを殺れば、口火を切ったのはテメェらの方にしか見えねェぞ?」

_「ハハハハ)アホかァ。何のために芝居売って町中で騒ぎ起こしたと想うてんねん。目撃者は山程おるわィ。」

_「アホはテメェらだァッ!そんな小競り合いごときで四天王が動くかァッ!人質に出した方が重く見られるに決まってんだろォッ!死ねハゲ!分け目からどんどんハゲろォッ!全身がハゲろオッ!」

_「ハゲるかァァッ!ワシはな頭皮のダメージを分散させるために、週一で分け目揃えるローテーション組んどんじゃッ!」

アンタらのハゲトークについては、誰も興味ないわァァァッ!wwwwww


_「説得力が足りないんなら、これでどうかなぁ?兄貴は若頭を殺って、その報復として殺された。」

_「オィ…す…」


ドサッ

男が斬られた。
動き出そうとした男たちに刀を向け、平子が口を開く。

_「あなたたちの親父はその七三?それとも次郎長?」

_「し、しかし…」

_「動いたら、あなたたちにも花咲かせちゃうよぉ?
ウフフ)分かってくれたぁ?兄貴ィ。ワシの覚悟ってもん。」

_「テ、テメェッ…!」


_「や、野郎、コンクリ詰めで自ら海に飛び込み…」

_「逃げられるつもりかァッ!?」

_「違うよぉ。助けに行ったんだよぉ?」

_「あ、な、な…アホだァッ!あんな状態でェ…それも兄貴を…」

_「そう、アホなんだよぉ。私もビックリするくらい。でもそんなアホだから、ワシの兄貴でいて欲しかったのにぃ…結局兄貴もあの婆ァさんを選ぶんだねぇ。残念だよぉ…バイバイ、兄貴ィ。」

銀時を助けに向かうべく、私はその場を去った。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧