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リング

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156部分:ラグナロクの光輝その十


ラグナロクの光輝その十

「むしろそれが重要だな」
「迅速な輸送の為には」
「今勢力圏にある全てのヴァルハラドライブの見直しをしろ」
 ローエングリンは言った。
「いいな、全てのだ」
「全ての」
「問題がなければそれでよし、だが問題があれば」
「それを修復していく」
 部下はそれに応えてきた。ローエングリンもまたそれに頷いて応える。
「そして新たな航路も見つけていく」
「抜本的に変えていくのですね」
「そういうことだ。それでわかったな」
「はい」
 指揮官達はそれに頷いた。
「それではまずは見直しに取り掛かります」
「頼むぞ、私も直接見る」
 自身で掌握するつもりであった。ミス、見落とし、誤魔化しといったものが許されないことであるのは彼が最もわかっていることであるからだ。
「わかったな」
「わかりました」
「では」
「うん」
 ローエングリンはそれを受けたうえで頷いた。
「これでいいな。では取り掛かる」
「了解」
 ローエングリンは補給体制、航路、そして防衛に至るまで全てを整えにかかった。勝利の為に。彼の軍政により連合軍の戦闘力は飛躍的な伸びを見せることになった。それは徐々に現われるものであった。
 それと共に中立星系の取り組みも進められた。パルジファルとヴァルター、タンホイザー、そしてトリスタンがそれにあたっていた。
 そちらも順調に進んでいた。彼等は一つ、また一つと星系を自分達の勢力圏に組み入れていった。その側からローエングリンの整えている軍政に組み込まれていった。
「全てはつつがなし、ですね」
 パルジファルは一時トリスタンと合流していた。そして二人が共にいる場でこう述べた。
「今のところは」
「今のところは、か」
 トリスタンはその言葉を聞いてその知的な目の光を強めた。
「はい、今のところは」
「これからはわからないということだな」
「その通りです」
 表情は読めない。声からも感情はわからない。だが彼はここでこう述べた。
「今は戦争の準備段階です」
「準備か」
「そうです、彼等と戦うのに我々はまだ力が足りません」
「既に多くの星系を持っていてもか」
「左様です。この程度ではまだ」
 彼は言うのだった。
「足りないか」
「ローエングリン司令が再整備を進められていますがそれでも」
「帝国はそこまで強大なのだな」
「それは博士もよく御存知なのでは」
「イドゥンの技術ももたらされているしな」
 彼は今それを思い出した。
「あれを使ってファフナーを作り出した。それだけでも大きな力だ。だがあれは」
 さらに言った。
「シュトルツィング執政官に破壊されていたな。ミョッルニルで」
「ええ」
「だが。油断は出来ないな」
「帝国は恐らく新たな竜の建造に入っております」
「新たな竜の」
「その名はファゾルト」
 パルジファルの言葉に感情が入った。険しい声になっていた。
「そしてファフナーもまた再び建造されることでしょう」
「二匹の竜か」
「はい」
 パルジファルは頷いた。
「それでまた攻めて来るでしょう」
「ヴェルズング提督とヴァンフリート首領で大丈夫か」
「御二人のジークリンデとノートゥングにもミョッルニルは搭載されております」
 今ではケーニヒ級全てに搭載されているのである。これがファフナー対策であるのは言うまでもない。
 
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