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ドリトル先生と和歌山の海と山

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第六幕その二

「散るものだよ」
「騎士道も卑怯未練を嫌ってますよね」
「うん、正々堂々あれってね」
「そうですよね、けれど」
「武士道はまた違うね」
「正々堂々としつつですね」
「死ぬその時もね」
 まさにその最期の時もというのです。
「華があるんだ」
「幸村さんみたいに」
「平家物語からだね、そして第二次世界大戦までね」
「武士道があって」
「そして散る時はね」
「華々しくですね」
「散っていくことをよしとしていたんだ」
 死ぬその時はです。
「切腹した人も多いし」
「あれも日本ならではですね」
「そうだね、自害の仕方もね」
「あれは怖いよ」
 切腹についてダブダブは剣呑そうに言いました。
「腹を切って自殺するとか」
「あんなのよく出来るね」
「全くだよ」
 オシツオサレツも切腹についてはこう言います。
「日本の歴史にはよく出て来るけれど」
「武士の最期としてね」
「あんなのして死んだら」
 それこそと言ったのはガブガブでした。
「どれだけ痛いかしら」
「何か十字に切ったり横三段で切った人もいるのよね」
 ポリネシアは切腹の切り方を思いました。
「そうよね」
「どっちも嫌だね」
 ジップは即座に駄目出しをしました。
「お腹切って死ぬのは」
「というか誰がそんな痛い死に方考えたのか」
 チーチーはそこが気になりました。
「知りたいよ」
「切腹に美学があるみたいだけど」
「想像するだけで痛いわよ」
 チープサイドの家族もどうしても肯定出来ませんでした。
「自殺自体よくないし」
「日本人の風習で一番わからないものかな」
 トートーも理解出来ないです、切腹のことは。
「何といっても」
「そこに華なんてあるの?」 
 ホワイティは先生に本気で尋ねました。
「痛いだけなのに」
「日本の武士の人達って大変だったんだね」
 老馬の口調はしみじみとしたものでした。
「そんな風な切腹の仕方をしないといけなかったって」
「うん、確かに痛い死に方だね」
 先生も動物の皆にこう答えます。
「やっぱりね」
「自殺の仕方でもダントツでね」
「痛い方法よ」
「何か色々な時代劇で出るけれど」
「腹を切って介錯もあって」
「本当に痛そう」
「あれだけは」
 また言う動物の皆でした。
「よくあんなの出来るってつくづく思うよ」
「歴史でも色々な人が切腹して果ててるけれどね」
「源義経さんもそうだったし」
「忠臣蔵でもね」
 こちらでは浅野内匠頭も赤穂浪士の人達もです。
「皆痛い思いして死んで」
「何がいいのかな」
「切腹は名誉だっていうけれど」
「武士の死に方だって」
「本当にそうなのかしら」
「まあ自決しないことがベストだよ」
 先生もそれはと言います。
「やっぱりね、けれどしなければいけない時はね」
「その時はなんだ」
「見事切腹して果てる」
「それがいいんだ」
「そうだよ、そのせいか前にお話したハウスホーファーさんもね」
 この人もというのです。 
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