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オズのトロット

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第六幕その四

「西半分がハイランド、東半分がローランドよ」
「王宮がそれぞれの奥になんですね」
「そうなの」
 まさにというのです。
「そうなっているの」
「一つの国にないんですね」
「ドウ一世は二つの国の王様だから」
「それでなんですか」
「両方の国に敷地があるの」
「半分がハイランドでもう半分がローランド」
「そうなっているの」
 まさにというのです。
「この国はね」
「そうですか、じゃあ王宮もです」
「行きたくなったわね」
「はい」
 カルロスは先生に明るい笑顔で答えました。
「本当に」
「そうよね、じゃあ王宮にもね」
「そこにもですね」
「行きましょうね」
「この港から」
「明日になったらね」
「出発ですか」
「そうするから」
「わかりました、何かです」
 ふとこうも言ったカルロスでした。
「思ったんですが」
「何についてなの?」
「いえ、ここはハイランドでも低いですね」
「いえいえ、高いわよ」
 トロットはカルロスにすぐに答えました。
「ここも」
「そうですか?」
「ええ、波止場を出てすぐに運河に出たからわかりにくいけれど」
 それでもというのです。
「よく見てね、街の中を」
「あれっ、そういえば」
「丘や坂道が多いね」
「どんどん高くなっていってるね、街が」
「先に進めば進む程」
「何か」
「そう、この街は海岸から離れる程ね」
 そうしていけばというのです。
「どんどんね」
「高くなっていってるんですね」
「そうなんですね」
「じゃあ山ですか」
「山に築かれた街なんですね」
「この港町はそうなんですね」
「そうなの、そうした街なの」
 トロットはケーキを切りつつ五人にお話しました。
「この街はね」
「ハイランドの街で」
「それでなんですね」
「山に築かれている」
「そうした街ですか」
「運河の周りも高くなっていますし」
 見ればどんどんです、そうなっています。
「何ていいますか」
「不思議な港街ですね」
「こんなにすぐに山になるなんて」
「日本も山が多いですけれど」
「山に街はないですから」
「けれどこの国は違うから」
 ハイランドはというのです。
「山に街があって田畑も牧場もあるのよ」
「じゃああれですね」
 カルロスは今度はこうトロットに言いました。
「高原都市とかも」
「あるわよ、山の頂上にある街もあるわよ」
「やっぱりそうですか」
「まるで空中都市みたいにね」
「僕達の世界でいいますと」 
 こうも言ったカルロスでした。
「インカ帝国みたいな」
「ああ、ペルー辺りにあった国だね」
「あの国だね」
 キャプテンもモジャボロも言ってきました。 
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