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リング

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148部分:ラグナロクの光輝その二


ラグナロクの光輝その二

「はい、彼等です」
 その部下は述べた。
「パルジファル様が待ち望んでいた彼等です。遂に来ました」
「そうですか、遂に」
「まずはシュトルツィング執政官とヴェルズング提督の軍が」
 部下も興奮しているのであろうか。声が上ずっていた。
「そしてブラバント司令とカレオール博士の軍も」
「彼等が。来ているのですね」
「そうです、そしてオフターディンゲン公爵とヴァンフリート首領の軍もまた。全て来ております」
「全てのノルンの導き通りです」
 パルジファルはそれを聞いて静かに述べた。
「ノルンが。彼等を導いているのです」
 ノルンとは時を司る三柱の女神達である。それぞれ過去、現在、未来を司り、時は彼女達の支配下にある。過去は長女であるウルズが、現在は次女であるヴェルザンティが、未来は三女であるスクルズが。それぞれ司っているのだ。この時を操ることはオーディンにすら出来ないことである。そうした意味でノルン達は絶対的な存在であるのだ。
「彼等に伝えて下さい」
 パルジファルは指示を出した。
「何と」
「このライプチヒに来てくれるようにと」
「ライプチヒに」
「そうです」
 彼はそう伝えた。
「そして。会いたいと」
 自分自身で会うことも述べた。
「宜しいですね」
「はい」
 部下もそれに頷く。
「それでは。彼等に会うとしましょう」
「わかりました。では」
「ええ、港へ」
 彼はその足で港に向かった。ライプチヒの港は巨大なものであった。そこに軍艦も商船も置かれていた。そこに今六隻の同じタイプの艦が降りようとしていた。
 六隻の戦艦は歩調を合わせるかの様に並んで港に降りて来る。横一列に並び、その高さまで全く同じであった。
「おいおい、七隻同じタイプのがあるって聞いてたけどよ」
 そのうちの一隻であるジークリンデの艦橋においてジークムントが声をあげていた。
「まさか。それが全部揃うなんてよ。夢みてえな話だぜ」
 見れば港にももう一隻ケーニヒ級が置かれていた。それで七隻なのである。
「勢揃いかよ、こんなところで」
「そしてまた我々が出会うことになるとはな」
「ああ」
 彼のイゾルデの横にはケーニヒがいた。そこに乗っているのはローエングリンである。
「相変わらずのようだな、卿は」
「司令の方こそな」
 ジークムントはニヤリと笑ってそれに言葉を返した。
「心配したんだぜ、行方不明になったって聞いたからな」
「それは私が何とかした」
「あんたがか」
 トリスタンが彼に応えた。
「そうだ、イドゥンを使ってな」
「死者を復活させるというあの妙薬だ」
「如何にも」
 トリスタンはヴァルターの問いに答えた。
「あれが。ファフナーに悪用されたのは無念であったが」
「そうか」
 ヴァルターはそれを聞き沈痛な顔になった。
「クンドリーが盗み出したのだったな」
 今度はタンホイザーが問うてきた。
「あの金色の髪と目をした女が」
「卿もまた。会ったのだったな、クンドリーに」
「そうだ」
「私もな」
 ジークフリートも出て来た。
「取り逃がしてしまったが」
「だがあの女は死んだのだったな」
「うむ、間違いなくな」
 トリスタンは二人にそう答えた。
「私は。彼女の最後を看取る形になった」
「そうか」
「今は。弟と一緒の場所なんだな」
 ジークムントはそれを聞いて俯いてこう述べた。それを思うと何か寂寥なものがあった。
「あの女とは。色々とあったが」
 これはこの場にいる全ての者が同じであった。
 
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