リング
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141部分:ヴァルハラの玉座その二十二
ヴァルハラの玉座その二十二
「だが装填し、エネルギーを充填するだけだ」
「まだですか」
「そうだ。砲門及びミサイル管を開けるのはまだ待て」
「はい」
全艦それに従いその様に動く。
「暴発にだけは気を着けろよ」
「わかっております」
暴発はそれだけでその艦艇にとって被弾以上のダメージを与える。下手をしなくてもそれが艦艇を失うことになる。だからジークフリートもそれを警戒させたのだ。砲門等を塞いだままのエネルギー充填、及び装填はそれだけでイチかバチかの賭けだ。だが彼はそれを今あえて行っていた。
「距離は!?」
ジークフリートはもう一度問うた。
「こちらの射程まであと少し」
「よし」
答えるその顔も引き締まっている。
「その時になったら言えよ」
「はい」
部下達も同じく緊張していた。
「その時になれば」
「その時になれば」
「首領!」
その時だった。
「こちらの射程内に入りました!」
報告があがった。ジークフリートはそれを聞いて大きく頷く。
「よし!」
その右手を高々と掲げた。
「一斉射撃だ!」
「ハッ!」
部下達がそれに応える。
「砲門及びミサイル管を開け!」
「了解!」
それに従い次々と動く。時が迫っていた。
「撃て!」
「撃て!」
すぐに号令が下される。上下左右に向けてビームが放たれた。
帝国軍は今攻撃を仕掛けようとしていたところだった。だがそれより前に攻撃を仕掛けられた。彼等の前に無数の光とミサイルが迫って来たのだ。
「うわっ!」
「よ、よけろ!」
帝国軍の将兵達は何とかそれをかわそうとする。だが突然の一斉攻撃をかわせることは出来なかった。
次々と攻撃を浴び光と化して消えていく。ワルキューレはまずは機先を制したのであった。
「帝国軍の動き止まりました!」
「よし!」
ジークフリートはその報告を聞き頷く。
「今だ!まずは正面の敵を叩く!」
「はい!」
間髪入れず全面攻撃に取り掛かった。帝国軍とワルキューレの戦いは本格的に幕を開けた。
暫く戦闘が続いていた。ここでノートゥングの艦橋に報告が入って来た。
「オフターディンゲン公爵の艦隊が戦場に向かっております」
「来たか」
「さしあたっては我等ではなく帝国軍に向かっております」
「ならばよし」
ジークフリートはその報告に頷いた。
「公爵の軍とは共闘に入れ。よいな」
「はっ」
「このまま帝国軍を叩き続けるぞ」
艦載機を使っての激しい接近戦になっていた。ここでまた別の報告が入って来た。
「今度はどうした?」
「いました」
まずはあまりにも簡潔な報告であった。
「そうか」
「ニーベルングの旗艦ハーゲン。敵艦隊の中におりました」
「よし、すぐにこのノートゥングをそちらに向かわせろ」
「ノートゥングを」
「言った筈だ。乗り込んででも討つと」
「左様ですが」
「来たい者だけ来い」
しかしジークフリートの言葉は有無を言わせぬものであった。
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