アイツはジョーク
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第一章
アイツはジョーク
かなり熱心に告白されてしかもこの時特に付き合っている相手もいなかった、それでその告白を受けた。
それでだ、私は親しい友達に笑ってこう言った。
「一応は受けたけれど」
「それでもなの」
「本気かっていうとね」
「そうでもないの」
「実はね」
こう話した、二人で行きつけの喫茶店で紅茶を飲みながら。
「特になのよ」
「それって駄目でしょ」
「本気の告白には本気で応えないと」
「やっぱりね」
「そう言われれるけれどね」
それでもとだ、私は友達に返した。
「今の私はなのよ」
「本気じゃないの」
「そう、強いて言うならジョークっていうか」
「そうした恋愛なの」
「そうなのよ」
紅茶を飲みながら話した。
「どうもね」
「そういうのはよくないわよ」
友達は真面目だ、それで私に怒ってきた。
「やっぱりこうしたことはね」
「だからわかってはいるのよ」
「それでもなの」
「今一つ本気じゃないのよ」
「じゃあ気が向いたから付き合ってて」
「気が向いたらね」
「別れるのね」
私にむっとした顔で言ってきた。
「そうするのね」
「そのつもりよ」
「駄目な恋愛ね」
「彼は凄く本気だけれどね」
「死にそうな顔で告白してきたのよね」
「ラブレター両手で出してね」
私の前にだ、決死の顔でそうしてきて告白してきた。放課後に校舎裏で呼び出してそのうえでだった。
「そうだったわ」
「その本気には応えないの」
「そうなの、まあたまたまね」
「彼氏もいなかったし」
「そういうことで」
「じゃあ断ったらよかったのに」
私を咎める顔で見ていた、そのうえでの言葉だった。
「そんなのなら」
「だから気が向いたから」
「それで痛い目見ても知らないわよ」
「私が振られるっていうの?」
「そうなってもね」
「別にそうなっても」
私も今はそうだしだ。
「いいわ」
「それもまたなの」
「ええ、彼がそうしてきてもね」
「サバサバっていうか本当にやる気ないわね」
「どうもね、感情も篭ってないし」
「そんな恋愛したくないわね、私は」
今度は溜息と共に言ってきた。
「もう全力で真剣にね」
「愛し愛し合い」
「そんなのじゃないと」
「そう言うと私もだけれど」
「今はなの」
「そこまでいかないわ」
私の返事は友達とは正反対だった、熱くなくかといって冷えている訳でもない。素っ気ないものだった。
「やっぱりね」
「やれやれね」
「やれやれなのね」
「そうよ、恋愛もね」
「真面目にしないとっていうのね」
「何度も言うから」
こう私に言ってきた、けれどその彼女の真面目さをよそにだった。
私は彼との交際は適当にやっていた、デートの誘いは気が向けば受けて向かないと適当な理由を付けて断ってだった。
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