獣篇Ⅲ
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14 敏感さはたまに役に立つ。
無事に髪の毛をとって来てから、トランシーバーに向かって、今から戻る、と告げると、入り口にワープした。ドアからでると、また子たちが手前の植木に隠れているのがわかる。
合図なのか、こちらに手を振っている。手を振りかえして、そちらに向かった。
_「どうッスか?上手く行ったッスか?」
_「とりあえず、まずはお目当てのものを見つけたから、船に戻りましょ。お二方、先にこれを持って帰るのをお願いしてもいいかしら?私は、あともう少し用事を済ませてから帰るので。あと、帰るのは遅くなるやもしれません。総督に宜しくお伝えくださいませ。」
と言って、その場を去った。
編笠を被り、一週間ほど泊まるための場所を探してテントを張る。
一般人には分からないように魔法を掛け、中を拡張する魔法も掛ける。
この一週間の間に、反物を買って縫い物をしたり、薬を作ったり、仮面を作ったりしなければならない。
やるべきことは、たくさんある。
とりあえず、誰かに見つかった時が面倒くさいので、今日は徹夜で薬を仕上げるとしよう。一晩野宿を覚悟で、
明日、朝イチで宿屋を予約してから反物を買って、服を仕上げる間、仮面を作ることにした。
まずは晩御飯の準備だ。確か大江戸スーパーは24時間営業だったので、大丈夫だろう。着流しに着替えて髪を変えてからスーパーへと向かった。
***
スーパーで食材を買ったあと、テントに戻り、きっちり入り口に鍵をしめた。
万全に期してから料理の準備をする。刀を杖に戻し、設置したキッチンセットに魔法を掛け、簡単な夜食を作る。
その間にポリジュースを作る作業に入る。バッグから鍋と簡易ナイフとお手頃サイズのまな板を引っ張り出して布巾で拭く。それから材料を引っ張り出して、材料を切り出す。小さなコンロの上にのせた鍋に切ったものを放りながらじっくり煮込む。菜箸に魔法を掛け薬を作らせている間、私は洗濯物の手入れをする。
着ていた着物や衣服を和装ハンガーと衣桁にかけ、汚れがないかを確認していると、料理ができたようだ。
魔法を解いてテーブルと食器を出す。
食べる間に、空いた鍋でお湯をめいいっぱい沸かす。あとで使えるようにするためだ。
食事をしながらポリジュースの加減を見る。いつもの何倍もの量を作っているからか、まだまだ時間がかかるようだ。スマホの確認も同時進行で進める。LINEに32がついていたので、さすがにこれはまずいだろうと、一応確認した。メッセージは鬼兵隊幹部のLINEが一番多かった。内容を確認すると、ただ今日の件についてだったので、安心したが、最後に晋助から早く帰ってこいメッセージが付いていたので、そこは無視した。
食事が終わったので、沸かしておいたお湯で洗い、乾燥機にかけた。これも一応小さかった自前のものを大きくして使っているだけである。電気の問題は、魔法でどうにかなるので、心配はいらない。魔法とは、つくづく便利なものである。
乾燥機に掛けている間、残ったお湯を水筒に詰め、小さな冷蔵庫に入れた。
新しくお湯を沸かす間に、使った道具たちをまとめてバッグの中にしまった。
さっきおっぽり出していた着物の手入れに戻った。汚れがないかを確認してから、再度ハンガーや衣桁にかけて小さな扇風機を出してかけた。朝になったら乾いているだろう。
全てが小さいサイズになっているお布団を取り出し、適度に大きくする呪文をかけてから、布団を敷き直した。シーツも同様である。
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