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レーヴァティン

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第五十一話 川旅その六

「このブランデー美味しいからね」
「確かに美味いな」
「そうだよな」
「このブランデーな」
「肴も合ってるしな」
「チーズやソーセージもな」
 そしてクラッカーもだ。
「何だよこのブランデー」
「それに肴も」
「合い過ぎてるだろ」
「酒が進んで仕方ないぜ」
「どうにもな」
 彼等は口々に言いつつだ、そんなに飲んでいないと言いつつ飲んで食べていく。そうして酔いがさらに回って。
 頭が動かなくなり淳二に隙を衝かれてだった。
 負けに負けた、それで彼等は遂にたまりかねて言った。
「もういいよ」
「俺達の負けだよ」
「これ以上は勘弁してくれ」
「もう金が心配になってきたからな」
「これでな」
「あっ、終わるんだ」
 淳二も飲んでいるが普通の酔い方だ、そのうえでならず者達に応えた。
「これで」
「だから金ないんだよ」
「あと酔い過ぎたからな」
「負けた分の金はちゃんと払うからな」
「もうこれで勘弁してくれ」
「モンスター共倒して手に入れた金だが」
「出すぜ」
 こう言ってだ、彼等はだった。
 淳二に金貨がかなり入った袋を差し出して自分達の客室に帰っていった、その彼等を見送って淳二は言った。
「いやあ、大勝利だったね」
「元々勝てる相手にですね」
「うん、お酒を勧めてね」
 自分達の卓に戻って順一に笑顔で話した。
「出すお酒と組み合わせも考えて」
「肴も」
「あのブランデーにはあしたものなんだ」
「チーズやソーセージですか」
「クラッカーもね」
 これもというのだ。
「合うからね」
「あえてですか」
「あの組み合わせを出してどんどん飲んでもらって」
「そこにですか」
「付け込んでね」
「儲けたのですか」
「うん、ただ確かに柄の悪い連中だけれど」
 ならず者達であるのは間違いないがというのだ。
「それでもね」
「お金の儲け方とですね」
「出し方はね」
「よかったみたいですね」
「出さずに暴れるのを覚悟してたんだ」
 先に話した通りにだ、このことは。
「もうね、けれどね」
「それでもでしたね」
「潔かったよ」
「ならず者達にしても」
「人としての最低限の筋は弁えていたみたいだね」
 淳二はこのことは自分が思っていたよりもと内心ほっとすると共に自分の人を見る目はまだ甘いとも自責もしていた。
「どうやら」
「それは何よりでしたね」
「あの位だったらね」
「ならず者でもですね」
「いいんだけれどね」
「ならず者も段階がありますね」
「酷いのになるとね」
 それこそというのだ。
「もうお金の儲け方でも」
「強盗等で、ですから」
「そういうのでね」
 モンスターを倒したりせずにだ。 
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