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レーヴァティン

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第五十話 今度は南へその八

「いいことだな」
「そうだね、じゃあここでもだね」
 このハンブルグでもとだ、剛は久志に尋ねた。
「旅に出る前に」
「勿論だよ、入ってな」
 久志は剛にすぐに答えた。
「そうしてな」
「そのうえでだね」
「ああ、すっきりしてな」
 身体を奇麗にして心もそうしてというのだ。
「そうしてな」
「船旅に出るね」
「そうしような、あと勿論食ってな」
 久志はこのことも忘れていなかった。
「旅に出ような」
「まずはジェノヴァまで行って」
「そこからミラノだよ」
 ハンブルグからの行く先のことも話した、そうしてだった。
 久志達は船旅の用意を整えた、用意が終わった時はもう夕方で一行はまずは腹ごしらえで店に入った。そうして飲んで食べたが。
 翌日ハンブルグで一番大きな風呂屋の大浴場の湯に浸りつつだ、まずは芳直が言った。
「いや、いい風呂だよな」
「そうだな」
 久志はその芳直にいささか不機嫌な顔で答えた。
「ここの風呂はな」
「そうだな、ただね」
「予定としてはな」
「昨日に入るつもりだっんだけれどな」
「ああ、夜にな」
 こう芳直に答えるのだった。
「そのつもりだったんだがな」
「昨日も食べてな」
「飲んだからな、ハンバーグが美味くてな」
「ハンブルグ名物だったみたいだな」
「ドイツの呼び方だったけれどな」
 ハンバーグではなかったが久志達は日本の呼び方で呼んで食っていたのだ。
「美味かったな」
「そうだったな、それでな」
「ついついな」
「ハンバーグ何枚も食ってな」
「飲んでな、酒も」
「そうしてな」
「いや、昨日もでした」
 順一も湯舟の中で言う、肩までしっかりと入っている。
「飲んでしまいましたね」
「しかもワインな」
「赤の」
 肉といえば赤なのでこちらを飲んだのだ。
「美味しかったですね」
「発泡性のな」
「あれはミラノ辺りのものだとか」
 そちらの産だというのだ。
「そしてでしたね」
「あれを飲んでな」
「相当に楽しんで」
「夜は過ごしてな」
 そしてだったのだ。
「気付いたら朝でな」
「それで、でしたね」
「ああ、朝風呂になったな」
 昨日の夜に入るつもりだったがというのだ。
「そうなったな」
「そうですね」
「ったく、何か俺達ってな」
「こうしたことが多いですね」
「飲み過ぎて朝風呂でな」
 今の様にだ。
「酒を抜くって多いな」
「ヨハネスブルグでもだったね」
 源三も湯の中で言う。
「こうしてね」
「あの時はサウナに入ってな」
「二日酔いのお酒抜いたね」
「ああ、ここもサウナあるけれどな」
「お湯がいいって聞いたし」
 店に入った時に店で働いている男に言われたのだ。 
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