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おぢばにおかえり

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71部分:第十一話 おてふりその四


第十一話 おてふりその四

「数やるしかないから」
「家でもやるとか?」
「そうね。私はそうしてたっていうか」
 ここはまあ事情が私の家の関係なんですけれど。
「教会ってやったらいいと思うわ」
「わかったわ。教会ね」
 彼女は私の今の言葉を聞いて頷きました。
「それじゃあ教えてもらって数やってみるわ」
「それがいいと思うわ。最近じゃDVDまで出てるし」
「そんなのも出てるのよ」
「ええ、奥華の教会には何処にでもあるけれど」
 これは大教会ごとによって違うみたいです。置いてあるところと置いていないところがあります。私の家はありますのでそれで勉強されている信者さんもおられます。
「そこのところはね。それぞれね」
「ふうん」
「お店でも売ってるわよ」
 これも教えてあげました。おぢばの商店街には天理教の服や道具、本を扱っているお店もあります。DVDもその中で売られているのである。
「だから買おうと思ったら買えるし」
「買ってみようかしら、それじゃあ」
「また随分真面目ね」
 これには私が驚きました。
「自分で買ってまでするなんて」
「授業だしね」
 これは彼女の答えでした。
「やっぱり真面目にしないと駄目じゃない」
「それはそうだけれど」
「何かちっちに真面目って言われるとは思わなかったわ」
 今度は微笑んで言われました。
「ちっちにね」
「私は別に」
「だってクラスで一番真面目だから」
 何かこう言われることが多いのは本当です。寮でも言われます。
「そのちっちに言われるなんてね」
「嬉しいとか?」
「それもあるけれど意外っていうか」
 話がわからなくなりました。
「そんな感じかしら」
「そうなの」
「あとさ」
 ここでふと話が変わりました。
「何?」
「ちっち、やばいわよ」
「やばいって?」
「スカートよ、スカート」
 耳元で囁いてきました。
「そのままだと」
「そのままって」
「正座か何かしなさいよ」
 急に焦ったような声で囁いてきました。
「こんなところで三角座りなんて駄目よ」
「あっ・・・・・・」
 言われて気付きました。私も無意識のうちに。
「そ、そうね」
「やっぱり無防備になってるじゃない」
 そのうえでこう言われました。
「気をつけても気をつけ過ぎることはないっていうのに」
「そういうものなのね」
「そうよ。相手は獣よ」
 それは言い過ぎだと思いますけれどよく聞きます。確かに向こうはいつも狙っていますからそれは気をつけないといけないですよね。
「よく覚えておいてね、そこ」
「そうね。くれぐれも」
「ただでさえスカートなんだから」
 スカートはこうした時問題になるんですよね。そういえばおぢばにいるとズボンの女の人が多いと言われますが修養科の人達がそうだからです。他にも色々とひのきしんや学校の娘とかの場合もありますけれど。私達も寮の中では殆どジャージですから。
「気をつけてよね」
「うん。そうするわ」
 ここまで言われたところで不意に彼女は話を変えてきました。
「ところでね」
「ええ」
 その彼女の話を聞きます。
「下着は何なの?」
「何なのって?」
「だから。色よ」
 何かそちらの方に興味津々みたいです。目でそれがわかります。
「今日の色は何よ。白?ピンク?」
「聞こえるじゃない、声大きいわよ」
 男の子の方をチラリと見て言い返します。流石にこれは聞こえたらまずいどころじゃないです。
 
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