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オズのトロット

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第三幕その十

「いつもそこで食べてるよ」
「ここも知れば知る程面白いね」
 こう言ったカルロスでした。
「トロットさんに案内してもらってよかったよ」
「有り難う、そう言ってくれるのね」
「はい、本当に」
「僕もそう思ってます」
「僕もです」
「この目で恐竜も見られましたし」
「本当によかったです」
 四人もこう言います、そうしてでした。
 トロットは皆の言葉を受けて微笑んでこう返したのでした。
「じゃあまたね」
「はい、またですね」
「ここに案内してくれるんですね」
「ギリキンに来る機会があれば」
「その時はまた」
「今みたいにですね」
「そうさせてもらうわね。皆気に入ってくれたから」
 だからというのです。
「またね」
「はい、じゃあ三葉虫も見たいんですが」
「この虫だね」
 キャプテンはその足元のかさかさと動き回る長い触覚と沢山の足と節を持っている虫を見てカルロスに答えました。
「それは」
「あっ、その虫です」
 まさにと答えたカルロスでした。
「三葉虫は」
「そうだね」
「この虫もなんです」
「今はこの世界にいないね」
「はい、そうなんです」 
 目を輝かせて言うカルロスでした。
「この虫も、ただ虫かといいますと」
「違うね」
「虫の身体の構造は決まっているよ」
 教授がお話してきました。
「頭、胸、腹の三つに分かれていてね」
「足が六本ですね」
「そう決まっているからね」
「三葉虫は虫じゃないですね」
「そうだよ」
 その通りだというのです。
「この虫はね」
「そうですよね」
「また別の種類だよ」
 虫とは違うというのです。
「虫という名前が入っていても」
「そうした生きものも多いですね」
「そうなんだ、けれど三葉虫も見られてだね」
「はい、嬉しいです」
 にこりと笑って答えたカルロスでした、勿論恵梨香達もです。
「とても」
「それは何よりだよ、それとね」
「それとですか」
「湖の中にはアンモナイトもいるよ」
「あの生きものもですか」
「そう、いるよ」
 そうだというのです。
「見たいよね」
「はい」
 五人同時に答えました。
「見られるなら」
「それならね」
 トロットは五人の返事を聞いてすぐに応えました、そうしてその湖のところに行くと実際にでした。
 アンモナイト達が泳いでいるのが湖の岸からも見えます、五人は湖の中で泳いでいる彼等を見てまた言いました。
「アンモナイトも見られるなんて」
「水族館にオウムガイがいるけれどね」
「アンモナイトそっくりだけれど」
「アンモナイトはまた違うわね」
「また別の種類の生きものよね」
「そう、オウムガイとは似ているけれどね」
 教授がまた五人にお話してくれました。
「君達が言う通りまた違う種類だよ」
「そうですよね」
「アンモナイトとオウムガイは」
「また違う種類で」
「外の世界じゃもういないですね」
「オズの国だからいるんですね」
「そうだよ」
 その通りだというのです。
「この国だからだよ」
「ううん、オウムガイまで見られるなんて」 
 カルロスは唸って言いました。
「本当に何て言っていいのか」
「わからないかな」
「はい、一度にこれだけ色々なものを見られて」
 恐竜以外にもというのです。 
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