おぢばにおかえり
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69部分:第十一話 おてふりその二
第十一話 おてふりその二
「わからないわね」
「テレビでやってるんじゃないの?」
私の疑問に対する彼女の返答はこうでした。
「最近深夜でも面白い番組多いらしいし」
「テレビねえ」
寮生活では全然縁のないものの一つです・
「最近全然観ていないんだけれど」
「やっぱり寮じゃそうなんだ」
彼女は私の言葉を聞いて言ってきました。
「全然自由とかないっていうし先輩も凄く怖いって聞いてるし」
「先輩はそうでもないわよ」
私はそれは否定しました。
「とても優しいわよ」
「本当!?」
「ええ、本当よ」
そう彼女に答えました。
「だからそんなに生活は苦しくないけれど」
「そうなの。ところでさ」
「何?」
ここで彼女の言葉が変わりました。
「さっきから視線が気になるんだけれど」
「視線って?」
「ちょっと」
ここで私の耳元に口を近付けてきました。
「男の子よ。見て」
「男の子って?」
「何かちらちらとこっち見ていない?」
「そう?」
私にはそうは思えません。気のせいとしか。
「気のせいじゃないかしら」
「だったらいいけれど」
「そうよ、気にしないでいいわよ」
私はこう答えました。見てみましたけれど別におかしなところはありません。彼女の考え過ぎじゃないのかしらって思いました。
「全然見ていないし」
「そうだったらいいんだけどね」
「ええ。こっちだって・・・・・・って」
見たら何人かが。座っているのはいいんですけれど。
「あの、ひょっとしたら」
「わかったでしょ」
また彼女に耳元で言われました。
「何が言いたいのか」
「そうね。じゃあやっぱり」
「見られてるわよ」
またこう言われました。
「それも確実にね」
「何とかしないと」
「今注意するしかないかしら」
彼女は怪訝な顔でまた私に言います。
「やっぱりこれって」
「注意するしかないわよね」
私もそれに頷きます。答えながら自分の座り方も見て気をつけます。
「下手したらもっとまずいことになるわよ」
「今、ギリギリよね」
その娘を見ながらの言葉でした。
「あの態勢だと」
「付け根までかしら」
私もその言葉に応えます。
「あれだと。けれどそれはそれで」
「危ないわよね」
「危ないっていうレベルじゃないんじゃ」
それもかえって。考えれば考える程危険なものがあります。
「やっぱり」
「じゃあ言うわね」
「ええ、御願いね」
彼女の言葉に頷きます。こうして彼女に教えると顔を真っ赤にして慌てて姿勢を正しました。流石に本人もまずいって気付いたからです。
「これでいいわね」
「ええ。それにしても気をつけないと」
これは私自身にも言う言葉です。
「片膝立てていたらそれこそスカートがね」
「そうね。それにしても」
ふと疑問が。
「何でそんな格好するのかしら。向こう側にちゃんといるのに」
「そういうちっちだって」
「私も?」
「座る時結構危ないわよ」
「えっ・・・・・・」
これには絶句でした。本当にそうだったらまずいなんてものじゃありません。ひょっとしたらもう見られてるかも、なんて考えちゃいました。
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