レーヴァティン
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第五十話 今度は南へその五
「結局はな」
「エゴってやつか」
「ああ、人間は利己的な生物である」
「哲学的な言葉だな」
「そうだな、けれどこれはな」
芳直はこうも言った。
「人間だけじゃないだろ」
「他の生きものもか」
「モンスターもな」
「セイレーンもローレライもかよ」
「結局はな」
それこそというのだ。
「そこにいたいからいてな」
「人間に迷惑かけてるか」
「そうなんだよ」
まさにというのだ、久志に対して。
「そうした意味で相手も同じだよ」
「人間だけじゃないか」
「ああ、ここで人間だけを悪く言うのはな」
それはともだ、芳直は一昔もっと言えば二昔位彼等が起きている世界で流行った環境保護から言われることについて述べた。
「自分が人間じゃないみたいな言い方だろ」
「自分をもっと高みに置いたか」
「人間以上のな、じゃあ自分はどうか」
そうした話になるとだ、芳直は久志にさらに話した。
「環境破壊してないか」
「してるだろうな」
「生きてるならな、もっと言えばな」
「自分を人間より高みに置いてもか」
「結局は人間なんだからな」
そのエゴがある生物だからだというのだ。
「大なり小なりな」
「環境破壊をしているか」
「それでそう言うのは傲慢でな」
そしてと言うのだった。
「アホだろ」
「アホか」
「自分は違うとか思うってそうだろ」
他人は批判していてだ。
「人を指差す時は人差し指でそいつを指差してな」
「ああ、武田鉄矢さんのお母さんが言ってたってな」
この人の歌で歌っていたことだ。
「三本の指でだな」
「自分を指差してるってな」
「そう言うからな」
だからだというのだ。
「そうした奴はそれに気付かないアホだろ」
「そういうものか」
「誰だって同じなんだよ」
「人間も生きものもモンスターもか」
「全部な、人間がどうとか言う奴もな」
芳直が言うその『アホ』もというのだ、彼は久志に話していった。
「そうなんだよ」
「誰もが同じか」
「ああ、それじゃあな」
「これからだな」
「旅に行こうな」
「またな、セイレーンやローレライが出ても」
それでもと言うのだった。
「エゴでも何でもな」
「倒してだな」
「人の安全もな」
「守っていこうな」
こうしたことを話してそうしてだった、一行はまた旅支度を整えてまずはコペンハーゲンからハングブルグ、川の港町に向かった。
そしてハンブルグに入るとだった、この街も賑わっていて多くの商人達が様々なものを商っていた。
その状況を見てだ、久志はこの街でも言った。
「何かここもな」
「ハンブルグもだね」
源三が応えた。
「商人の人達が一杯いてね」
「かなりの賑わいだな」
「そうだね、いい感じだよ」
「何かと戦乱が絶えなくてモンスターが出ていてもな」
そうした危険は多いが、というのだ。
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