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オズのトロット

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第三幕その六

「学ぶ対象だよ、人間もね」
「人間もなんだ」
「つまり教授ご自身もそうなんだ」
「学ぶ対象なの」
「そうなの」
「そう、例えば人体のことも」
 身体のこともというのです。
「そうだよ。人間は実は自分達自身のこともまだ全部はわかっていないんだ」
「そうなの?」
「自分自身のことについても」
「全部知らないの」
「そうなんだ」
「そう、脳だってね」
 自分の頭を指差して言う教授でした。
「そうだしね」
「頭もなんだ」
「まだわかっていないの」
「そうなんだ」
「全部わかっていないの」
「そう、何か日本の漫画であったらしいけれど」
 ここでこも行った教授でした。
「脳に何か刺さって吸血姫になるとかね」
「そんなお話あるの?」
「以前恵梨香君から聞いたよ」 
 その日本人の恵梨香を見つつトロットにお話します。
「そうした漫画があるってね」
「日本には」
「石の仮面を被るとそこから出た針が脳に刺さってね」
「かなり痛そうね」
「けれどそれがね、脳にあるツボを刺激するらしくて」
 それでというのです。
「吸血姫になるらしいよ」
「本当かしら」
「日本の漫画の話だけれどね」
「オズの国の図書館にもその漫画あるかしら」
「王立大学にあったかな」
「じゃあ今度読んでみるわね」
 トロットは考える顔になって教授に答えました。
「そうしてみるわね」
「うん、じゃあ今度王立大学に来たらね」
「図書館でよね」
「読むといいわ」
「そうさせてもらうわね」
「そうしたらいいよ、けれど人間の身体も」 
 ここでこう言った教授でした。
「わかっていないことがまだまだあるんだよ」
「それがわかれば医学にも役立つね」
「その通りだよ、まあオズの国では誰も病気にならないけれどね」
 そして死ぬこともありません。
「けれど学ぶことはね」
「いいことよね」
「そのこと自体はね」
「じゃあ僕もだね」
 ここでティラノサウルスが言ってきました。
「まだまだ自分のことを知らないんだね」
「そうなるよ」
「そういえば自分の頭の後ろを見ることは出来ないから」
「それは誰でもじゃないかな」
 カルロスは自分の頭の後ろを見られないと言ったティラノサウルスに笑って言いました。
「自分の頭の後ろについては」
「それは普通にしたら無理だよ」
 ジョージもティラノサウルスに言います。
「絶対にね」
「合わせ鏡をしたら見られるけれどね」
 神宝はその見方をお話しました。
「そうしたら」
「けれど普通にしたらね」
 どうもと言ったナターシャでした。
「絶対に出来ないわね」
「頭を回すみたいに振り回したら一瞬見られるっていうけれど」
 最後に恵梨香が言いました。
「それは気のせいよね」
「多分ね、それは漫画の演出だと思うよ」
 キャプテンはこう言いました。
「流石にね」
「まあ自分の頭の後ろについてね」
 モジャボロは笑って皆にお話しました。
「見られる生きものはいないよ」
「そうなんだ」
「うん、けれど他のことでもね」
「僕達もだね」
「君達自身を全部しているかというと」 
 こうティラノサウルスにお話するのでした。 
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