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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第百二話

 
前書き
現在の一夏はSAOオルタナティブGGOのピトフーイをモデルにしてパレードしています。 

 
「しかし敢えて聞こう。君のファミリーネームは『デュノア』で合っているか?」

「な…なんで…それ…を…!?」

「そんなに驚くなよなぁ…」

「うるさいっ! なんで知ってる!?」

シャルロットが腰のホルスターから拳銃を抜く。

女性用の小型オートマチックだ。

さすが西欧。

こんな子供まで銃を持っているとは…

「魔法使いを嘗めるなと言っておこう」

『ますたーの嘘つき』

魔法で調べた、とは言ってないからセーフ。

叙述トリックだよ。

「実を言えば君がデュノアだと最初からわかってはいたんだ。
だがまぁ、君がデュノアかどうかはその時は関係なかった」

そう、その時は。

「君のお母さんは呪いが掛けられている。
質の悪い呪いだ。人間のスピリチュアルな部分に干渉して体調を乱す呪いだ」

具体的には霊圧…つまり霊体の中のエネルギーが外へ出ようとする力が弱まっている。

魔法科原作で吸血鬼にレオが襲われたのと同じ症例だ。

とは言え動けない程ではなく、風邪のようなだるさや発熱を起こす程度。

術者の力量は低いようだ。

「君のお母さんはまだ体力に余裕がある年齢だからこんな風邪みたいな症状だけで済んでいるようだ」

「それと『デュノア』に何の関係がある…!」

関係なけりゃこんな話はしないさ…

だから撃鉄を起こすな。

「術者がデュノア社にいるから」

「…!?」

「アンタがデュノアの隠し子とかだろうけど、とりあえず術者はシャルロットの存在は知っていても名前は知らないみたいだ」

名前を知られているならば、シャルロットも呪いを受けている筈だ…

「銃をおろしてくれ。私は君と母親に危害は加えない」

シャルロットがゆっくりと銃をおろす。

「でだ…呪いを返すけどいいか?」

「返す…?」

「ジャパンの言葉に『人を呪わば穴二つ』という言葉がある。
これは他者を呪えば、反動が帰ってくるという意味だ。
本来はそんな事は起きないが、呪いを跳ね返されれば容易に死にうる。
死の呪いを返されるのだから」

なお、呪いを返されなくとも式神を使役する魔法の発動中に式神を破壊されても死に至る。

発動直後に術と術者を切り離す現代魔法と違い、古式魔法はリンクを維持することで継続的に魔法を発動させる事ができるからだ。

そのリンクによって精神に情報が逆流すれば、即座に死にうる。

「死の…呪い…?」

「君のお母さんのはそんなに強い呪いじゃないけどね」

では、返そう…というか術者を消そう。

術者のエイドスを認識。

目標設定。

あ…詠唱した方がいいかな…?

『如何にも魔法使いらしいからやった方がいいと思うよ』

オッケー…

「我夏を冠する者。世界を翔る我等が隣人達よどうか力を貸して欲しい。
地脈の支配者よ、我が願いを届けたまえ」

爆裂、キャスト。

メティス・サイトが、術者が血の飛沫と化したのを捉えた。

「これでいいはずだ。だが油断はできない。
また別の術者が魔法をかけたら繰り返しだ」

呪術に対する耐性をあげる必要がある。

「奏」

『なんだよ』

「血をよこせ」

『一夏。お前は俺様の血を万能薬か何かと勘違いしてねぇか?
だがまぁ、お前の血を貰えるってんならやってもいいぜ』

交渉成立。

プログレッシブナイフを取りだし、腕に突き立てる。

流れる血を影に落とす。

「わが影よ。幾百の時を死せる吸血鬼よ。
無情の世界で己が死を奏で続ける怨念の主よ。
我が血に応えよ」

side out









まず、魔法使いの瞳が黄金に輝いた。

その虹彩は電子基盤のようなラインが絶えず走っていた。

それから魔法使いの影が輝いた。

黒い光だった。

そうして、その輝く影から少女が出てくる。

「おん…なのこ?」

「私の使い魔だよ」

魔法使いが試験管を一本取り出す。

その試験管と腕から抜いたナイフを少女に渡した。

「奏」

「ん」

少女がその腕にナイフを突き刺した。

流れる血は試験管に溜まっていく。

やがて試験管の八割ほど溜まり、ナイフをぬいた。

その傷は瞬く間に癒えてゆく。

「もういいぞ」

「………」

少女が無言で影に沈んだ。

魔法使いはその試験管をシャルロットに見せる。

「これは吸血鬼の血液だ。
吸血鬼が人の血を飲めば人は吸血鬼になるが、人が吸血鬼の血を飲めば如何なる傷も病もたちどころに癒える」

「そう…なの?」

「そして副産物として、呪術への耐性があがる」

「お母さんが吸血鬼になったりはしないの?」

その質問に魔法使いは淡々と答える。

「ならない。ただ、例えば銀や茨の棘に触れたりすれば一時的には内包する吸血鬼の力が抵抗をしめし、その特徴や異能が現れる。
だが飲んだ血液の分の力を使い果たせば元に戻る。
もちろん、呪術への耐性も元通りだ」

原作の羽川翼は内に眠るキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの力で吸血鬼を退けた。

しかしその力を乱用したが故に、数ヶ月で力を失った。

「じゃぁ、お母さんは銀や薔薇や十字架に触れない方がいいの?」

「そうだ。できるだけ触れないほうがいい」

「わかった…」

「お母さんを起こしてくれないか?
今は術を断っただけで君のお母さんの霊体はまだ治っていない。
早くこの血を飲ませて楽にさせてあげよう」

シャルロットが母親の隣に行き、目を覚まさせる。

「お母さん。起きて。お母さん」

「…しゃる…ろっと…?」

母親がうっすらと目を開ける。

シャルロットが母親の背中とベッドの間に手を入れて、体を起こすのを手伝う。

「こんばんは、マダム」

「……あなた…は…?」

魔法使いが声をかけると、母親は彼の方へ視線を向けた。

「私は魔法使いです。娘さんに頼まれて貴方の病を診ました」

「魔法使い…? 病…?」

「はい。貴方の病は原因不明と診断されていたそうですが、無理はありません。
貴方の不調の原因は呪いでしたから」

「呪い…ですか?」

母親は不思議そうに尋ねた。

「はい。すでに呪いは解きましたが、再び術をかけられる可能性があります。
ですので此方を」

魔法使いは母親に奏の血液を見せる。

「吸血鬼の血液です。如何なる傷も病もたちどころに治す万能薬となり、呪いへの抵抗力を高めます」

そしてどこからともなくコップを出し、中に水を産み出した。

魔法使いがそのコップと試験管をさしだすと、母親はゆっくりと受け取った。

「それを飲んでも吸血鬼になる事はありませんが、アンチ・ヴァンパイアのアイテムに触れると吸血鬼の力が現れます。
なので茨や銀製品や十字架にはあまり触れないでください」

母親はコクンと頷いて試験管を煽り、水で流し込んだ。

すると母親の顔から苦悶が消えた。

「シャルロット。君も残った血を舐めておくといい」

魔法使いが母親が持つ試験管を、今度はシャルロットに渡す。

そしてまた一つコップを出し、水を生んだ。

「ほら」

シャルロットが試験管に残った血を舐め、水を飲む。

「これでよし。君達親子は例え呪いを受けようとある程度はレジストできる」

そう言うと魔法使いは部屋の出口へ向かった。

「あ、あの!」

「どうしましたマダム?」

「た、対価は!対価は何を支払えばいいですか!」

等価交換。

悪魔や魔女が持ちかける契約は、代償を必要とするのがお伽噺の常だ。

「対価は、いらない。これは私の自己満足。
だから対価はいらない。
強いて言えば、貴方の為に魔法使いと知った上で私を騙そうとした娘さんの強かさ、そして勇気に心を打たれたのです」

そこで魔法使いが、一対のイヤリングを取り出した。

「シャルロット、このイヤリングを耳に着けて強く念じれば私に届く。
もしも、魔法や呪い関連で何かあったら、私を頼れ」

魔法使いがイヤリングを放り投げ、シャルロットが受け取った。

彼女はそのイヤリングをつまんで、デザインを確認した。

「その石、君の瞳みたいだろう?」

イヤリングは三センチ程で雫の形をしており、上部は金属で、そこへ紫の石を嵌め込んだようなデザインだった。

石と金属との間に隙間はなく、その合わさった形状は完全な水滴だ。

「ま、魔法使いさん!こんな高価なものいただけませ………あれ?」

シャルロットがイヤリングから目を離し、魔法使いに目を向けた時、そこにはもう、誰も居なかった。













パリ郊外某所

『いいの?あれってフォールド・アクセサリーの試作品でしょ?』

「そうだよ。もういらないからね」

『要らないって…あれだけでコア抜きのIS5機に匹敵するよ?』

「いいんだ。あれは兵器に使うには大き過ぎるし純度が高い。
コストがかかるとはいえフォールド・クォーツの作り方もある程度簡略化の目処がたっている。
それに束さんや箒や姉さんにはもっと純度の高いヤツで作るさ」

『ふーん…』

「それにノリで作ったけど、イヤリングはだめだ。
姉さんは動く時の邪魔になるし、束さんと箒には【指輪】を渡したいからね」

『結局のろけなんだね。
シャルロットに渡したのは死蔵するよりマシってこと?』

「そういうこと。さっさとホテルに戻ろう。
そろそろ夜が明けちまう」

魔法使いの姿が一瞬ぶれると、そこにはプライマリースクールに入ったばかりくらいの女の子が佇んでいた。

女の子がトンっと地面を蹴る。

女の子は落ちる事なく高度をあげ、やがてその姿を消した。
 
 

 
後書き
一夏が撃たれてその血がマダムの口に入って終わりの予定だったんですが短すぎるのでボツにしました。
なのでシャルロットにフォールド・アクセサリーを渡す予定も皆無でした。
はてさてこれからどうなる事やら… 
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