NEIGHBOR EATER
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EATING 23
開発室
「雷蔵、トリオン体に武器って仕込めるか?」
「メインサブとは別に、か?」
「うん。風間の所の隊服みたいにさ」
「あれはカメレオンの補助程度しか…」
「無理っぽい?」
「いや、やってみよう。面白そうだ」
「じゃ、よろしく」
「あぁ、何をどう仕込みたいのか教えてくれ」
「肩と足と背中にスラスター付きのレイガストをな」
「レイガスト?」
「MSのスラスターみたいにレイガストのスラスターを使えたら面白そうじゃないか?」
「なるほど…」
「あとシールドモードにすれば鉄壁だし、頑張ればAGE-FXみたいに出来そうだろ?」
「レイガストの本数は?」
「出来るだけ多く。あぁ、あとビットみたいにできるか?」
「いやぁ…直ぐには無理だ」
「ハウンドとかバイパーの応用でできないか?」
「難しいな…そもそもフォーマットがちがうから…」
そういえばレイガストはスコーピオン、つまり迅が玉狛で開発したトリガーとシールドの組み合わせだ。
玉狛のトリガーは林道さんが秘匿しているトリガーの応用…今のボーダーで正式採用しているトリガーとは規格が違う。
「翼、代わりにスパイダーで有線接続するのはどうだ?」
「あ、それで御願い」
「よし、やってみよう。出来たら呼ぶ」
翌日 清輝隊退室。
リビング兼応接間兼作戦室のソファーで夜架とハルに羽の毛繕いをしてもらっていたら、入室した雪乃に呼ばれた。
「翼君、寺島さんが呼んでいたわ」
「雷蔵が?なんて言ってる?」
「『完成した』って言ってたわ。何が完成したのかはしらないけど、早く行ってあげなさい」
マジか…昨日の今日で…いや、一晩でやったのか?
「翼君、今度は雷蔵君に何をたのんだの?」
「レイガストを仕込んだトリオン体」
「無茶苦茶な注文でございますね。
いつ雷蔵様にたのまれたのですか?」
「雷蔵が一晩でやってくれました。
昨日の朝だよ。あのバカまた徹夜しやがったな…」
立ち上がり、トリガーを使う。
髪染めは面倒なので、トリオン体になった方が早い。
「開発室へ行くのかしら?」
「そうだよ」
「主様、お供いたします」
「面白そうだから私も行こうかな」
開発室
トリオン体を解除して開発室に入る。
「雷蔵。もうできたのか?」
「意外と簡単だったよ。お、今日は切姫と魔王も一緒か」
雷蔵は二人のプレッシャーに負けない数少ない奴の一人だ。
「あら、魔王とは心外ね雷蔵君」
「姉さんにはぴったりよ」
雷蔵が雪乃を見る。
「君が魔王の妹か…。
翼の御守りは大変だろうが頑張ってくれ」
「おい御守りとはなんだ雷蔵。さっさとトリガーを寄越せ」
「はい」
雷蔵から手渡された物は…
「AGEデバイス?」
「ソウルジェムは似合わないからな」
「まぁいいや…」
「名前はイージス。ただ要領かなりキツキツだから、レーダーとベイルアウト外してあるよ」
「ん、了解。活動限界が来たら何時ものを展開し直せばいいんだな?」
「そういう事。ルーム開けてるけど、やる?」
ルームとはテストルームの事だ。
「やる。動作確認しないといけないだろ?」
仮想戦闘ルーム
『仮想戦闘モードを起動します』
アナウンスが流れる。
「レーゼン」
トリガーを起動すると、普段着の各所にレイガストをマウントした可動式の装具が装着されていた。
『両肩、両肩甲骨、両前腕、両足太腿と脹ら脛につけてある』
「りょうかい」
両肩のレイガストのシールドモードを展開する。
体を被う半透明のシールドが現れる。
「ふむ……」
形状をザクⅡのシールドに変化させる。
「おぉ…いいなこれ…」
肩もレイガストを色々なMSの肩アーマーの形にして遊んでいると、通信が入った。
『翼、気持ちはわかるけど他の部分も試してくれ』
「あ、ごめん」
両腕のレイガストで手甲のように前腕を覆い、手の甲の所だけ伸ばしてブレードにする。
肩甲骨のレイガストはフリーダムとかディスティニーのような羽に。
両足のレイガストはMSの装甲のように。
「全部やってみたけどどう?」
『全部問題なく起動している』
「この状態で普通のメインサブって使えるの?」
『一応』
現在の俺のトリガーの内容は以下の通りだ。
メイン
SPT-28
APT-87-scc23
シールド
バイパー
サブ
SPT-28
APT-87-scc23
シールド
アステロイド
これにイージスのレイガスト十本とスパイダーが加わる。
レイジのフルアームズ並みだ。
手にマスケットライフルをイメージする。
「ぶっぱなしていい?」
『いいぞ』
適当にマジカルマスケットライフルをぶっぱなしたり、リボンを出したりしたが問題なく動ける。
『主様』
「どうした夜架?」
『重くはないのですか?』
「重いけど問題ないよ。それに重量は気にしなくていいんだ」
さて、本来の使い方をしよう。
「スラスター、オン」
全身のレイガストから少しずつトリオンを放出し、体を浮かせる。
自分の羽とは勝手がちがうけど…
「問題なく飛べるな」
背中と脹ら脛のレイガストに集中してトリオンを回す。
ルーム内を結構な速さで飛ぶが、問題はない。
「MSっていうよりアイアンマンだな…」
『翼、ターゲットを出すぞ』
「了解!」
周囲に現れたターゲットにマジカルマスケットライフルを叩き込む。
背中や足のレイガストを変形させたり装具を可動させ、急制動や急加速をしながらターゲットを破壊する。
時折リボンを伸ばして切り刻む。
最後はティロフィナーレで全て粉々にした。
「なんか不具合とかって出てるか?」
『出てない。出てないがトリオンの消費量が凄いことになってる。
倦怠感はあるか?』
「ないよ」
数百人分のトリオン器官の並列接続は凄まじい。
『じゃぁこのまま模擬戦だ』
「は?」
後ろから、気配がした。
「さっ、やろうか翼君」
「OKハル。
雷蔵、雪乃にオペレーションルーム使わせてやれ」
『もう向かわせた』
さすが雷蔵。
「じゃぁ、雷蔵、お前は俺のオペレートを頼む」
「あら、雪乃ちゃんを貰ってもいいの?」
「いいよ。っていうか俺のは試作トリガーだからな。
雷蔵に見てもらわないといけないんだ」
「そういえばそうだね」
「聞いてたか雪乃?」
雪乃と通信が繋がっているの確認して呼び掛ける。
『ええ、聞いていたわ。今オペレートシートに座った所よ』
「雷蔵、ハル、いけるか?」
「いけるよ」
『モニター問題なし』
「じゃ、始めようか。先手はゆずろう」
「あらいいの?」
「イージスは鈍重だからな。カウンターがあってるんだ」
「スラスターは使わないの?」
「試したい作戦があるんだ」
「まぁ、元々新型のテストだし…つきあってあげる」
ハルがグラスホッパーで突撃してきた。
その手には弧月が握られている。
「フルガード」
十枚分のレイガストシールドモードとノーマルシールドフルガード、さらにはリボンで全身を被う。
カキィン…! と計十四枚の半球防壁が弧月を跳ね返した。
「物凄い重装甲だね」
「ああ、かなり重い」
ハルがグラスホッパーを使い、今度は距離を取る。
「これならどうかしら」
ハルが弧月を鞘に戻し、居合いの構えを取る。
そこから繰り出されるのは無論…旋空弧月だ。
一時的に拡張された弧月の鋒がフルガードイージスに食い込む。
八枚程切られたが俺にはノーダメージだ。
「馬鹿げた防御力ね…
アステロイド+アステロイド」
今度はギムレットか…
「これで削れるとは思わないけど…」
ギムレットが放たれ、着弾の光で前が見えなくなる。
まず、リボンに少しずつ穴が開く。
トリオンレギュレーターのリミッターを一部解除してトリオンを回してはいても、スコーピオンの派生であるリボンの耐久性は高いとは言えない。
更にはシールドも割られ、レイガストシールドモードも削られる。
弾バカが編み出した合成弾の威力はやはり侮れない。
弾幕が止むとハルがもう一度ギムレットを撃とうとしていた。
「ちっ…やるしかないか…」
レイガスト+スラスター+スパイダー=インコム。
レイガストブレードモードのポメルにスパイダーを付け、スラスターで飛ばす。
「そんなの撃ち落としちゃうよ」
インコムの軌道がギムレットの射線上に入る。
「おいおい。これはインコムだぜ」
ギムレットが放たれ…
「スラスター、オン」
インコムがギムレットの射線上から逃れる。
「なっ!?」
そして再びスラスターで軌道が変わり…
『戦闘体活動限界』
ハルを切り裂いた。
『戦闘体再構築』
しかし仮想戦闘モードなので直ぐ様元通りだ。
「雷蔵」
『問題なし、インコムは正常に作動してるよ』
よし…
「ふぅ、負けちゃった」
「流石に負けないさ。というかコレだけやって負けたらそっちの方が問題だろ」
「そう?ピンボールかテレポーターで撹乱すればいけそうな気もするんだけど?
翼君正面しか覆ってないし」
「その時はスラスターで高速戦闘だな」
「スキがないね」
「いや、まだ死にたくないし」
とは言え、フリューゲルを飲み込んでからと言うもの、半人半トリオン体なので早々死にはしないが戦場では何が起こるかはわからない。
「じゃ、続きやろうか」
「OK」
その後のハルとの戦績は七割三分。
まだまだ扱いが難しい。
しかし夜架との戦績は八割五分だった。
純アタッカーに対しては大きなハンデとなるようだ。
「よし、明日太刀川をハメ殺そう」
「やめてあげて翼君…」
後書き
このレイガスト+シールドで空間機動ってのをかきたかったんですよねぇ。
ワートリ読み始めてからずっと思ってました。
なお翼のトリオン量はレプリカが量るとエラーを起こすくらいの量です。
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